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空の彼方に  作者: しまねこ


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33/98

お手伝いと予想外の展開

「荷物を運ぶように言われて来ました。どれを運べば良いですか?」

 倉庫の中は、真ん中の広い部分に荷物が積み上げられて、壁面の高い棚では何人もの人達が忙しそうに飛び回って荷物を集めている真っ最中だった。

「ああ、ご苦労さま。ルリさんは大容量の収納持ちだったな。ここに並べてる荷物を、とにかく外へ運んでくれるかい。表で木箱に整理して詰めるから、列ごとに運んでくれるとありがたいよ」

 倉庫係の年配のミミズクの翼を持った男性が、こっちを振り返って手招きしている。

「グレッグさん、わかりました。じゃあここから順番に運びますね」

「おう、頼むよ」

 手を上げて、また遥か上にある棚に向かって羽ばたいて飛んで行く彼を見送り、私は目の前に積み上がった荷物をせっせと収納していった。




「あれ、ルリ姉さん。今日はお休みじゃあなかったの?」

 二列目を運び終えたところでふわりと舞い降りて来たのは、いつも採集に一緒に行く警備班の双子の片割れだ。

「ええと、カーク君かな?」

「残念! キースで〜す!」

「ああ、ごめんなさい。また間違った!」

 笑ってそう言われて、私も態とらしく顔を覆って叫ぶ。

「よし、三連勝だ!」

 キース君に嬉しそうに笑いながらそう言われって、私も笑うしかない。

 何しろ彼らは本当にそっくりで、しかもわざわざいつも着ている服まで一緒にしてるのもだから、本当に全く見分けがつかない。

 他の人達は彼らの事は適当に呼んでるみたいで、呼び間違っててもお互い気にしていないっぽい。個人に用がある時は、名前を呼べば本人が返事をしてくれるので問題なし。

 だけど私は何とか見分けてやろうと必死になっていて、いつもあなたはどっち? と聞いていたら、いつの間にか会う度に、どっちなのか当てる遊びが始まってしまった。

 そして二分の一の確率なんだから勝率五割になってくれそうなのに、残念ながら今の所連敗続き。たまにまぐれで当たる事があっても、なぜ正解したのかがわからないからその後が続かない。



「ねえ、本当に見分ける方法って無いの? どっちかにしかないホクロとかさ」

 倉庫の真ん中に積み上がる、次々と棚から取り出される包みや木箱を収納しては表に運びながら、一緒に手伝ってくれているキース君にそう尋ねる。

「皆、それを言うよね。だけど少なくとも、自分で知る限り俺にあってカークに無いものなんて無いと思うよ」

「ええ、じゃあ本当に全く一緒なの?」

「そりゃそうだよ、双子なんだからさ」

 その時、背後から聞こえた羽ばたく音に振り返る。

「ああカーク君、見〜つけた!」

 一応これは正解になるのかしら? そう思いつつ名前を呼ぶとすぐ側に舞い降りてきたカーク君に不思議そうな顔をされた。

「残念でした。俺はキースだよ? ってルリ姉さん、カークと話してるのにどうして俺がカークなんだよ」

 目を瞬く目の前の彼の言葉に、慌ててまた振り返る。

「ええ? だって……」

 すると、たった今まで話していた自称キース君が私の顔を見ていきなり吹き出した。

「ああ残念、上手く騙せてたのに!」

「ええ、ずるい! じゃあさっきの私ので正解だったんじゃない!」

「バレちゃったらしょうがない!」

「ああ逃げるな〜〜!」

 笑って羽ばたいて逃げ出すカーク君をキース君と一緒に追いかける。

 私が下から追いかけ、上に逃げたところでその背後からキース君が覆い被さるみたいにして一気に捕まえてしまった。

 ううん、飛ぶ技術はキース君の方がちょっとだけど上っぽい。

 だけど、捕まえてそのまま地上に降り立ったは良いけど、もうその時にはどっちがどっちか分からなくなってしまい顔を見合わせて大笑いになった。



「じゃあもう一度! どっちがどっちでしょうか?」

 ようやく笑いがおさまった時、一人がそう叫んでお互いにぐるぐると立ち位置を変えて入れ替わり、それから並んで私の前に立った。

「ええ、そんなの分かるわけないわ!」

 本当に全く分からなくてそう文句を言うと、誰かに手の甲を叩かれた。

「え? 何?」

 驚いて振り返ると満面の笑みのチムニーがいて、並んでこっちを見てる双子を見て自信ありげに胸を張って口を開いた。

「こっちがカークで、こっちがキース!」

「「正解〜〜!」」

「やった〜〜!」

 双子が笑顔でそう言い拍手するのを見てチムニーが得意げに飛び跳ねる。

「ええ……どうやって見分けたの?」

 思わず最後は小さな声でそう尋ねると、チムニーに呆れたような顔をされた。

「そんなのいつも一緒にいたら自然と分かるようになるよ」

 当然のようにそう言われて、私は十歳ほどの子供に完敗を喫したのだった。



「ああ、いたいた」

 その時、リッティさんが倉庫の中に顔を出した。

「長老から許可をもらったから、ルリも行っておいでってさ」

「ああ、ありがとうございます!」

「何、ルリも行くの?」

 足元から、チムニーの元気な声が聞こえて振り返る。

「ええ、そうなの。せっかくのお休みだから社会見学だと思って行ってくるわ」

 いってらっしゃい。当然そう言われると思っていたら、何と三人全員から揃って笑顔で同じ言葉を言われてしまった。

「それなら一緒だね。俺も行くんだよ」ってね。



 ええ待って。キース君とカーク君はいざ知らず、チムニーまで行くの?

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