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覇月隊

更新が遅くなりました。

ですがこれからもいいものが思いついてから投稿していこうと思います。

ご理解の程、よろしくお願いいたします。

「セツガさん、10年の鍛錬、本当にお疲れ様でした。部下の方々も、よくこの過酷な鍛錬を一人も欠けることなくやり遂げましたね。改めて、皆さんに敬意と賛美を」


10年前の、いや、現実で言えば10時間前のセツガならば、ここでフルハに対し、「あ、ありがとう」と、照れながら返していただろうが、心身もとに大きく成長した彼は堂々とした面持ちで答えた。


「いえ、これはまだ序章に過ぎません。我が隊の隊員なら、乗り越えて当然かと」


他の人が聞いたら「なんて偉そうなんだ」と不快に思うかもしれない。

だが、フルハは違った。実際、それ程の力を身につけていると知っているからだ。


また、隊員たちも、「乗り越えて当然」という隊長の強い言葉に己への誇りを抱いていた。


それを感じたフルハは安心したように笑みをこぼした。


「巨大な力を持ったにもかかわらず、尊大になることなく、さらに上を目指す。その心意気を大事になさって下さい」


その言葉にセツガはじめ、部隊員が跪き、頭を垂れる。


『御意』


たった一言。だが、それは一切の濁りもない、完全に一致し、統率された返答だった。


フルハはそこで、思い出したように切り出した。


「あ、そういえば、部隊の名前を決めていませんでしたね」


部隊の名称。創造神直属の部隊の創立にあたり、フルハは名を付けたいとずっと思っていた。


「何か希望はありますか?」


「お前たち、何かあるか?」


フルハがそう問いかけると、セツガは部隊員に目だけを動かし催促した。


「発言してもよろしいでしょうか?」


「許可する」


するとその中でセツガのすぐ後ろにいた2人の内の1人、ロイが挙手した。


その上で許可を求め、上が許可を出す。このような細かいところまで徹底されてるからこそ、精鋭へとなりうるのだ。


もちろん、緊急を要する時は一人ひとりの部隊員が臨機応変に動けるように訓練されている。


「セツガ様の《()》と、フルハ様の《()》を入れてみては如何でしょう?」


それにフルハは両手を合わせて頷く。


「いいですね!では…シンプルに『はく』がいいかもしれませんね」


セツガが若干困った顔でフルハに問う。


「私の名と結構似ていると思うのですが…」


「ふふ、それがいいんですよ。貴方が総隊長なのですから」


フルハがそう諭すと、部隊員たちも頷いた。


それをみたセツガは軽く息をつくと、フルハを真っ直ぐと見つめ、声を上げた。


「ここにいる『覇月』隊、計103名。御身より承りし任務をこれより遂行致します」


そういうと、覇月隊は首を垂れ、フルハの言葉を待つ。

それに対し、フルハも凛とした声で言葉をかける。


「はい。改めて、あなた方103名を私直属部隊として認め、任務を与えます。必ずや成し遂げなさい。……そして、必ず、生き残るように」


フルハも無理を言っているとは分かっている。現に彼女はわずかだが、目尻に涙をためていた。


最後の言葉を遂行することは、これからの戦いを考えれば、ほとんど不可能に近い。それは彼らもよく分かっている。だが、それでも――


『ーー御意!!ーー』


覇月隊は、力強く、答えた。

必ずや嘲悦神を滅する。そして、必ずや生き残る、と。


フルハは少し驚いた顔をしたが、次の瞬間にはこぼれるように微笑みを浮かべた。


「……頼みましたよ、どうか、ご無事で」


セツガもフルハを見て、微笑む。


「ええ。必ず」


そしてフルハは彼らに祈りを込めながら、人里の郊外に転移させた。


面白ければブックマーク追加よろしくお願いしますね!

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