木刀作り。そして2人の部下
色々創るって書いてたのにそんなでした。
許してください。
創造魔法とは、練金魔法のように有(素材)から有(物)を作るという等価交換とは違い、その名の通り、無から有を創るという、チートじみた魔法である。
実際、バイルーク全土で見ても、創造魔法を使える者は数名しかいなかったとされている。それも、伝説で、である。
つまり、少なくとも現在使えるのはセツガしかいないということになるのだ。
何故こんな魔法を使えるかというと、言うまでもなく全て創造神のおかげである。
このバイルークでセツガの能力が知られれば、魔法を極めた大賢者と呼ばれる者でさえも、弟子入りを懇願することは想像に容易い。
「よっと、こんなもんかな……」
本来木刀は樫の木を使うが、俺はびわが好きなので枇杷の木を使うことにした。
せっかくなので、素材となる枇杷の木だけを創造し、後は一から作ってみることにした。
最初は何年か適度な水分状態になるまで自然乾燥するらしいが、そんなに待てるはずもないので、乾燥魔法で適度な水分量にする。
次に、長さや厚さ、刀の反りなどの寸法を決める。
型取りした後、鉋がけを行い、ヤスリがけを行えば大体完成だ。
最後にニスや油を使うところで、俺の〔正確にはフルハから授けられた〕[耐久力上昇・極]と[重力魔法・+10kg]の魔法を使った。耐久力の魔法は劣化防止効果もあるので、とても便利だ。
本来ならもっと細かく工程があるが、まあ、いいだろう。
「ーーフッ、ーーシッ、ーーハッ」
軽く振ってみると、ヒュッ、と風を切る良い音がする。
重さもあり、良い鍛錬になりそうだ。
「さてと……他にも何か作ってみたいな」
『それならば、部下を創造されてはどうでしょう?』
話を聞いていたのか、フルハがそんな提案をした。
〈部下、ですか。それにどんな意味があるのですか?〉
自分は影からこの世界を救わなければならない。部下など嵩張るだけで要らないように感じた。
『意味ならあります。情報収集の際は人数がいた方が効率的ですし、戦力にもなります。
何より、セツガ様が創造すると、貴方の命令を第一に優先するので絶対に裏切らない、というメリットもあります』
なるほど。それは確かにいいな。隠密部隊とかカッコいいし。
〈分かりました。では、早速創造してみたいと思います。最初なので2人ほどでいいですよね?〉
だが最初は何かと間違えたりしたら怖いので、2人に限定することにした。
するとこちらの意図が通じたのか、美しく優しい声音で返事がきた。
『ええ、構いません。ではその2人を創造したら、木刀と一緒に見せて下さいね?』
〈ええ、心得ています〉
よし、じゃあやってみるか!
先ずは顔やスタイルだな……性格は真面目がいい……
頭の中で想像しながら、創造魔法を使用する。(決して掛けているわけではない)
すると目の前に魔法陣が2つ現れる。自分でもとてもワクワクしていることに気づいた。
そしてーー
短く濃い茶髪が特徴の身長175cmほどの美青年と、藍色のショートが特徴の身長160cmないくらいの美少女が片膝をつき工場を垂れた状態で現れた。
成功だ!と内心すごく喜んでいると、おもむろに2人とも自己紹介をはじめた。
「はじめまして、名を承りました、ロイと申します。セツガ様に忠誠を誓います」
「はじめまして、名を頂きました、リンと申します。セツガ様に忠誠を誓います」
始めが青年で、最後が少女の自己紹介だ。
名前に関しては、頭の中で考えている時に、一緒に名前も付けていたので、それぞれ名乗った形だ。
「ああ、これからよろしく頼む。我々の目的は把握しているか?」
「「承知の上でございます」」
うん、それにとても優秀そうだ。ただ……
「すこし固すぎる。これからも部下は増やすつもりだが、お前たちは俺が最初に創った特に大切な存在だ。
任務中はその態度で構わないが、せめて普段はもっと気軽に接してくれ」
きっとこれから俺は人間がいる所に行っても友はあまり作れないだろう。ならばせめて、彼らにだけは自然に接して欲しい。
2人は少し戸惑っていたが、こちらの気持ちが伝わったのか、「わかりました、良いですよ」「これからよろしくお願いしますね!」と笑ってくれた。
ほんといい子達や。他の部下を創ったらこの子達を長にした隊を作ろう。うん、絶対。
「それじゃとりあえず、フルハ様の所に行くからついて来て」
そう彼らに伝えて、これまたハイテクな風魔法具のエレベーターみたいなのを使って5階へ上がった。
ボチボチ書いていくのでブックマークに追加してもらえたら、もっと頑張れる!!………かも。