フォレスト神聖国へ
「――ではこれより、我々『紅龍兵団』は、フォレスト神聖国へ向け再出発する」
セツガ団長の号令で、兵達は馬に跨る。この馬はセツガが『汗血馬』をモデルに創造したものだ。何でも、「赤で統一したい」らしい。ちなみに体力はセツガから補給されているので食事不要でスタミナも無尽蔵だ。
ちなみに彼は結構な歴史オタクである。赤の団服も戦国時代の赤備えをモデルにしているらしい。
「神聖国まではこの駿馬でも3日かかる。今日の最終目標地点はその途中にある《バルク》という名の都市だ。
野宿でもいいんだが、バルクはフォレスト神聖国とルバン王国の中継地点なだけはあり、その人口は1万を越すらしい。名を売るにはもってこいだ。
そこで1週間ほど滞在し、十分に名を広めた後、2日休まず馬を駆けフォレスト神聖国聖都へ向かうぞ」
『はっ!』
全員が返事したことを確認すると、南の草原に馬を駆ける。その速さは騎士団よりも少し速い……くらいに調節している。
やろうと思えば風だけが通り過ぎたように感じられるほどには早くできるが、それでは当然誰も気づかない。
それでは『表』の意味がない。
と、いうことで絶賛行商人の馬車や人々をごぼう抜きしていっている。漏れなく、全員が目撃し、あまりの速さと一矢乱れない隊列に驚愕している。
中には「ラバン王国の精鋭部隊か!?何かあったのだろうか!?」「なるほど、勇者任命式にあの部隊を出席させ、軍力をアピールしようとしてんのかな?」などと噂する人も居るほどだ。(セツガは一般人とは程遠いので一瞬で通り過ぎても話の内容が聞き取れる)
と、そんなこんなで夕刻頃には、バルクに到着した。
セツガ達は先に城壁郊外に簡易馬小屋を創り馬たちを入れておく。一応結界も付けておく。
その後城壁外の列に他の人々に習って並んでいる。が、そのどことない高潔さ、騎士団にも勝る統率感により、とても目立っている。
すると城壁の方から門番と思われる兵士数名が駆け足で近づいてきた。その顔はどこか厳しく、少し青ざめているようにも見えた。
すると意を決したような顔で一番年長と思われる兵士がこちらに疑問を投げかけた。
「し、失礼ですが、貴殿たちはどこの国所属の騎士団でありますでしょうか!」
その鬼気迫る問いに、少し呆気に取られながらも団長であるセツガは説明する。
「いえ、我々はどの国とも関係はありません。ただの兵団です。……あ、実はラバン王国第二王女殿下からの紹介状があるのですが、その方がどなたか分からなくて……」
「!!はっ!少し拝見させて頂きます!ふむ、書状は本物で間違いありませんね。………っ、こ、この方は……!城内すぐの待合室までご案内致しますので、そこで少々お待ち下さい!」
セツガたちは絶対やばい人だ、と感づきながらも大人しく待合室までついて行く。
普通なら誰となく「順番とばしかよ」という視線を飛ばしてくるものなのだが、その移動も一矢乱れぬ動きに、もはや見蕩れている者や畏怖している者しかいなかった。
待合室まで案内していた年長者――門番長はというと、「絶対あの人たちどっかの精鋭部隊だ、じゃないと王族の招待状なんて貰えるはずない」と思っていた。
そしてもう少しで日が完全に沈むという頃、待合室に落ち着きがありながらも高価である事が分かる服を身につけた
、初老で物腰が柔らかそうな男性が入ってきた。
後ろの2人は騎士で護衛のようだ。
こちらが立とうとすると手で制され、もう一度座り直す。男性は向かい側に座ると、自己紹介を始めた。
「初めまして。ラバン王国の王女殿下にお聞きしているかもしれませんが改めて、フォレスト神聖国で公爵の地位を賜っています、ナント・ハル・フォレントと申します。以後お見知り置きを」
………予想は大当たりのようだ。
ども、禮鏡珀です!気軽に『レイ』とお呼びください!
セツガ「おーちょうど良かった。おいレイ、何であんな目立つ兵団創ったんだ?おかげで俺が冷ややかな目で見られたんだぞ!」
レイ「え、いや、その……だってカッコいいじゃん!」
セツガ「おいおい……そんな理由かよ……仕事が増えたこっちの身にもなれ!」
レイ「作者俺だからいいの!!」
セツガ「この自己中が!!(っセツ・д・)≡⊃)レイ3゜)∵」
レイ「はぁはぁ、……とにかく、これからも紅龍兵団の活躍をご期待下さい」
セツガ「いやそこは覇月隊だろ!!Σ\(゜Д゜;)」