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女神様の許可

ちょうど中二的な話でセツガと隊員(名をキョクという)が盛り上がっていると、懐かしい声がしてきた。


『まさかとは思いますが……任務、忘れてませんよね?』


ビクッと肩を震わせながらセツガは声がしてきた方を向く。そこには、女神フルハが半透明で顕現していた。ジト目で、呆れたような表情をしている。


「も、もちろん!我々の最終目標に向け、まずは勇者と魔王の所在地、その他情報を集めている最中です」


『では……その派手な衣装も必要だと?』


トゲのある声でそう問われる。だが、そこら辺はセツガも言い訳を考えていた。


「もちろんです。我々の目標は彼奴の討伐。その前に魔王と勇者が衝突するのを秘密裏に避ける、ということですが、それは暗躍時のこと。全てを闇の中だけでこなすことには限界があります」


するとフルハは視線を外すと、少し考え込んだのち、答えを導きだす。


『つまり、名声を伴った表の活動も必要だと?』


それにセツガは深く頷く。さっきの王国の王女、騎士たちも、勇者が誕生することを心の底から喜んでいた。

裏を返せばそれほど魔王を脅威と感じているのと同義だ。


「ええ、その通りです。勇者と魔王の決戦は、世界中で当たり前、肯定されている争い。つまり、双方の生存のためには避けては通れないものだと考えられているのでしょう。ならば、その考えを根本から変えてしまえばいい」


その言葉に、フルハは目を見開く。


『まさか……貴方が成そうとしていることは……!』


「…はい。我々はこれより、《表では紅龍》と名乗り、勇者側、魔王側関係なく援助活動を行います」


フルハはそのとんでもない宣言に息を呑む。どちらも助けるということは、双方から感謝されることより、敵視されることの方が多いのだ。


それは勇者側、魔王側、嘲悦神、全てを敵に回すということを意味していた。


「我々が動けば動くほど勇者側、魔王側共々、我々に戦力を注がねばならない。

また、我々に助けられた者たちの中にはその行為に反対する者も出てくるでしょう。

そうなればたちまち自軍内で混乱を誘発することもできる。嘲悦神としても我々のことを無視できなくなり、勇者と魔王どころじゃなくなる。一石二鳥です」


『そういう問題では――』


「――フルハ様」


『ーッ!』


突然名前を呼ばれ、フルハが声を詰まらせる。


「どうか、《紅龍》併設許可を」


フルハは目を閉じ、軽くため息をつく。


『……どうせ、ダメだと言ってもやるのでしょう。分かりました。では、表ではこれから《紅龍兵団》と名乗りなさい。あなたたちが傭兵団と言っても誰も信じませんよ?』


ラバン王国の方たちは信じてくれたが……それは置いとこう、とセツガは思った。


「では、そのように」


『あと、これから重要なことは逐一私に相談するように』


「…はっ」


こうして、正式(?)に『紅龍兵団』が誕生した。

その名は、これから全世界に轟くことになる。

あぁ〜……いい天気だ。うん。

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