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異世界では幼児が最強のようです~元社畜による正しい生体兵器の育て方  作者: 黒辺あゆみ
第四章 冒険者デビュー

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70話 帰ってきた

こうして、魔物狩りを兼ねたピクニックからニケロの街へ戻ると、冒険者ギルドのホール内は他の冒険者の姿はまばらだった。

 アキヒサたちが早く帰ってきたせいで、まだ冒険者の戻りのピーク前であるようだ。


「おや、お早いお戻りでしたね」


アキヒサたちの姿を見て、ニールがカウンターから出て来た。

 このニールはブリュネと対等に話すくらいだから、カウンター業務をするような人じゃあないのだろうけれど、どうしてここにいたのだろうか?


 ――もしかして心配して、僕たちが戻るのを待っていたとか?


 ニールは最初から、幼児のレイの事を気にしてくれていたのを思い出す。


「ただいま戻りました。レイの体力に合わせて帰ってきましたから」


「お帰りなさいませ。

 無理をしないのは、冒険者稼業を長く続けるためにはいい心がけですよ」


アキヒサがそう挨拶すると、ニールが微笑んでそう返してくる。


「それで、なにか狩れましたか?」


続いてニールが手ぶらのアキヒサたちを見て首を傾げつつも尋ねた。

 確かに今持っている獲物というか魔物は、レイが抱いているシロだけだ。

 なのでニールの視線がちらりとシロを見るが、もちろんシロを出すつもりはない。

 だからレイはそんなにギュッと腕に力をこめないであげてほしい、シロが苦しそうだ。

 アキヒサはニールに説明する。


「この鞄が妖精の鞄でして、ここに全部入れてあるんですよ。

 ちょっと大きいのがあるんですけど。

 ここで出したらマズいですよね?」


「ああ、妖精の鞄をお持ちでしたか。

 では、こちらへどうぞ」


ニールが納得したように頷くと、場所を移動するように促す。

 そして連れていかれたのは、大きな倉庫だった。

 あちらこちらに討伐された魔物が置かれているところを見るに、冒険者が持ち帰ったものを一時的に保管する場所のようだ。

 しかもちょっと生臭いので、ここで解体もするのだろう。


「ここの空いている所へどうぞ」


ニールに指示されたのだが、アースドラゴンはここでも出すには明らかにサイズオーバーだったので、アキヒサはまずアースドラゴン以外のものを全部出すことにした。


「なんとまぁ……」


どんどん出していくアキヒサに、ニールが目を丸くしている。

 恐らくはビックリする量なのだろうとは、さすがにアキヒサにも想像できた。

 けれどこういうのは下手に隠さずに、最初にやらかした方が、後々楽だと思ったわけだ。


 ――なにより、鞄の中に魔物の死体がみっちり入っているって、なんか嫌だし。


 というわけでひたすら鞄から魔物を出していくアキヒサの横で、レイはというとシロと遊び始める。

 レイは退治した後の魔物には一切興味がないらしいのだ。


「これはこれは、トツギさんがこれほど強いとは。

 私はあなたを少々見誤っていたようです」


ニールはどうやら、これらを狩ったのはアキヒサだと思ったようだ。

 これを敢えて訂正することもないかと思い、アキヒサは「すみません、ちょっと多かったですよね?」と謝っておく。

驚きすぎて呆気にとられた様子のニールは、「いえ」と首を横に振る。


「ブリュノルドがたまに大量に持ち込むことがあるので、量は問題ないんですが」


そんな反応が返ってきた。


 ――あ、問題ないんだ。


 というかこの倉庫は、どうやらブリュネに合わせたサイズだったらしい。


「それよりもトツギさん、きちんと説明したつもりでしたのに、まさか山へ入ったのですか?」


「はい?」


ニールが厳しい顔で詰め寄ってくるのに、今度はアキヒサが呆気にとられた。

 確かにニールからは、「エリア区分を守るのは他の冒険者を守るためのルールでもある」とくどい位に言われたものだ。


「いえいえ、山に入ったらこんな時間に戻っていませんってば」


「そうか、そうですよね、失礼しました」


アキヒサの言い分にニールも理解を示し、引き下がって謝罪するものの、一方でまだ納得しかねる顔である。


「これは全部、林の奥のエリアで狩ったんです」


続けてアキヒサが説明すると、「なんですって⁉」とニールが驚愕した。


「林に、これらの魔物がいたんですか!?」


なにやら、話がややこしくなってきたような気配である。

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