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異世界では幼児が最強のようです~元社畜による正しい生体兵器の育て方  作者: 黒辺あゆみ
第七章

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187話 地下があるらしい

レイの案内でリュウが立つ場所に近付くにつれて、アキヒサはソレに気付く。


「なんか臭うな……」

「確かに、焦げ臭いですな」

「すごくくさい」


アキヒサとバウスがそう言うのに、レイも同意する。

 そう、焦げた臭いが風に乗って漂ってきていて、その臭いはどうやら行く手からしているようなのだ。


 ――ということは、穴が焦げ臭いのか?


 そんなことを考えながら到着したその穴は、やはりリュウが立っている足元にあった。

 しかもなかなか大きな穴で、雑草の中に黒く焦げた穴がぽっかりと開いている。


「こんな穴、なかったはずですがのぅ」


バウスは首を捻りつつ穴の縁に膝をついて、焦げ臭い穴に頭を突っ込み、中を覗く。


「なんなんだろうな、この穴」


アキヒサはそう呟きながら眉をひそめる。

 あるはずがない物があるというのは、嫌な感じがプンプンするものだ。

 すると、リュウが告げて来たのは。


「この下は、なかなかに広い空間だぞ。

 おそらくは地下室があったのだろう」


リュウはなんらかの手段で軽く調べてみたのか、そう解説してくれた。

 この話に反応したのが、穴に頭を突っ込んでいたバウスだ。


「地下室ですとな?

 そのようなもの、この家にはありませんでしたぞ?

 自分のこの目と耳で確認したのだ、間違いない」


バウスが穴からズポッと抜いて、またも驚きの声を上げる。

 職人でもあるバウスが言うのだから、これもまた真実なのだろう。

 しかしこれに、生産系生体兵器が告げる。


「そうだろうな、巧妙に隠してある残滓が見受けられたので、ドワーフ族であっても感知できないのも無理はない」

「おや、わたくしがドワーフ族だとお気付きでしたか」


確かにアキヒサは、バウスの口から「ドワーフ族です」と自己紹介された覚えはない。

 言わなければそこいらのお爺ちゃんと同じように見えるので、これまで指摘されたことがあまりないのだろう。

 ニケロには色々な人種が暮らしているのだが、その中でも人族が圧倒的多数派だという。

 恐らくこの国が人族主体の国なのだろうと推測された。

 そこでバウスは敢えて「ドワーフ族」だと名乗らずとも困らないからなのか。

 はたまた人族の方が多数派な街では、「人族ではない」と名乗らない方が過ごしやすいのか、ふとそんな思考がアキヒサの脳裏をよぎる。

 それはともかく、今は穴の下にあるという地下室についてだ。


「我々ドワーフを欺く術だなんて、この世にあるものなのか?」


バウスが「う~ん」と唸る。


「あまり使わない類の術であったので、知らぬとて無理はない」


リュウがバウスにそう告げるのを聞きながら、アキヒサは「あれ?」と思う。

 「地下」「隠してあった」「なんか焦げ臭い」この三つのキーワードで、アキヒサには思い当たるものがあるように感じる。

 そう、つい最近に自分たちは、地下で大爆発を起こしたばかりではないか。

 アキヒサはリュウをツンツンと突く。


「リュウさん、ひょっとしてこの下に、あの金ピカの地下に通じている部屋があったとか?」


アキヒサの考えに、リュウが「うむ」と頷く。


「おそらくは。

 このあたりに隠し扉があったのが、なんらかの理由で吹き飛んだのだろうな」


リュウがそう解説してくる。

 つまり、アキヒサたちはアマンザの教会から金ピカまでの直通路しか通っていなかったが、実は他にも道があったのだ。

 被害がこのくらいであるのは、金ピカから遠いために爆風も弱まったためかもしれない。

 むしろあの道が外れにあったもので、他のどこかに交差点みたいな場所があったのかもしれない。


「リュウさんでも、地下道に気付かなかったのか?」

「そうだ、どうやら高度な隠蔽が為されていたらしい。

 知っていれば我とて、自爆に慎重になった。

 施設を地下に広げたのも、マスターの目を欺くためであろう。

 その隠蔽があの自爆で壊れたのだな」


リュウが一人納得しているが、アキヒサとしては恐ろしいことこの上ない思いだ。


 ―― 一歩間違えば、ニケロの街が穴に沈んだかもしれないってことか!?


 ゾッとするなんていうものではない。

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