表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界では幼児が最強のようです~元社畜による正しい生体兵器の育て方  作者: 黒辺あゆみ
第七章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

179/201

178話 忙しいブリュネ

「連れ出したところで、そのまま捕縛されて牢屋に直行。

 これから厳しい取り調べが始まるでしょうね。

 今のところは黙秘中らしいけど」


そう話すブリュネ曰く、この二人があの街中に響いた警報音に恐れをなして、逃走しようとしたものの失敗してあそこにいたのではないか? と思われているそうだ。

 確かに、アマンザの教会以外にもあの施設から隠し通路が伸びている場所があっても、おかしくはない。

 しかし一方で、この騒ぎで土木系の人手が不足していて、あちらこちらからかき集めているところだそうで。


「あれだけデカい建物な上でしょう?

 片付けるのも大変よぉ。

 まあ、中に人がいなかったことだけは幸いだけど」


あの警報は正しく作動していたようで、施設が自爆する前にちゃんと中の人の避難が完了していたようだ。

 逃げた本人たちは避難の意識はなかったかもしれないが、大きな音から逃げようと思ったら、自然と外に出ることになったのだろう。


「そういえば、撤去の仕事がここの掲示板にありましたね」


アキヒサの言葉に、ブリュネが頷く。


「そうよ、とにかく使える人は誰でも欲しいみたい。

 領主様からの依頼だから支払いも安心だし、人気のお仕事になっているわね」


そう言ってブリュネがやれやれといった調子でホットミルクを飲む。


「あの瓦礫の撤去費用も馬鹿にならないし、領主様はそれを金ピカに請求するつもりでしょうね。

 すっごい金額になるはずだし、一番いい手はあの金ピカの建っていた場所を没収して、費用と相殺ってところかしらね。

 けど、これだと揉めるとは思うケド」


「そうでしょうね。

 あちらの上層部は、あの地下施設がもう駄目になったなんて、まだ知らないだろうし」


ブリュネの意見に、アキヒサも苦笑する。

 そして、やはりこの件で王都も大騒ぎであるらしい。


「金ピカが起こした不祥事でしょう?

 国は今回の件を突いて、連中の影響力を削ぎたいらしわ。

 国のやることに口出しをするくらいに面倒な連中ですものね。

 嬉々として近くに調査団を派遣するそうよ。

 金ピカたちも大慌てで、こっちも調査団という名目の連中を送りつける算段らしいってことよ。

 全く、騒がしくなるワァ~」


ブリュネがそう言って肩をすくめる。

 一晩で色々と事態が動いたらしいが、それらをブリュネが全て把握している風であるのは、さすがギルドマスターということだろう。

 きっと昨日からろくに休息をとっていないに違いない。

 アキヒサはこの騒ぎの一端に自分が関わっているということが申し訳なくなってきた。


 ――いや、ある意味早めに膿を出せたとも言えるのか?


 けれどそれでも、あんなに瓦礫の山にしてしまわなければ、もう少し穏やかな騒ぎになっていた気がする。

 まあこれも全ては、遺物とやらのでたらめな威力を計算できていなかったのが原因だが。

 そしてそれを言うならば、あの自爆装置がなにかの拍子に作動してドカーン! となったのではなく、リュウが誘導する形で作動できたのは、幸いだという見方もある。

 リュウがちゃんとガードしていてコレなのだから、もしリュウがいない時に自爆していたらと思うと空恐ろしい。


「なんていうか、お疲れ様です。

 これをどうぞ」


アキヒサがせめてもの慰めにと、ホットミルクのお供に野菜クッキーを提供した。


「あら、色とりどりで可愛いわね」


ブリュネはこの野菜クッキーを初めて見たらしい。


「野菜クッキーです、市場で売っているんですけど、レイが気にいっていて」

「ふぅん……、優しい味がして美味しいワ。

 今度アタシも買いにいこうかしら」


ブリュネが野菜クッキーをパクリと頬張ると、表情を緩めた。

 どうやらイライラや疲れを紛らわすことに成功したらしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ