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異世界では幼児が最強のようです~元社畜による正しい生体兵器の育て方  作者: 黒辺あゆみ
第六章 グランデ神聖教会

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138話 ただの教会

「とりあえず、ようこそ私共の教会へ。

 歓迎いたしますわ」


ニコリと笑って言うアマンザに、アキヒサは問いかけた。


「こちらは、グランデ神聖教会の所属ですか?」


ブリュネは元はあちらで司教をやっていた人だと言っていたが、元ということは現在は違うということだ。

 それは、組織の真ん中から追いやられたのか、はたまた組織自体から抜けたのか?

 金ピカ呼ばわりしていた様子から、あちらに未練があるようには思えないけれども。

 グランデ神聖教会にはトラブルの気配がするので、できれば近寄りたくない。

 アキヒサのこの疑問に、アマンザは気を悪くするかと思いきや、コロコロと声を上げて笑った。


「まあ、直球で聞いてきたわね。

 ここはあちらとは違うのよ、ご近所さんからはただ『教会』と呼ばれているわね。

 お金を一定額寄越せだなんて野暮なことは言いませんわ。

 心に秘めた重しを託すために神に祈ることだけが、私共の決まりです」


「そうなんですか」


アマンザの答えに、アキヒサはちょっとホッとする。

 どうやら彼女はあちらの教会組織から抜けた人のようだ。

 そしてこちらは素朴な教義の教会のようだけれども、それだと運営費が集まらないのではないだろうか?


「あの建物とかボロボロですけど、運営費とかはどういう……?」


余計なお世話かと思ったが、アキヒサはどうしても気になってしまって尋ねる。

 これにアマンザはにこやかな笑顔のまま、頬に手を当てて首を傾げる。


「領主様が気にかけてくださって、私財からひっそりと援助をくださっているわ。

 とてもありがたいことです。

 けれどそれも、子どもたちの食費に消えてしまうの」


そう語るアマンザ曰く、どうやら領主側はグランデ神聖教会を刺激しないために、表立っての支援ができないのだという。

 でないと、過激な信者が襲撃に来る可能性があるのだという。


 ――え、なにその攻撃的な宗教集団。


 この手のことは、地球でも聞いたような話だが、どこの世界にも他に迷惑をかける武闘派宗教というのはあるようだ。

 そんな話をアマンザとしていたアキヒサだったが、ふと周りを見るとレイが床ズリズリ遊びには飽きたのか、神像の台座によじ登ろうとしていた。

そしてリュウはなにがそんなに気になるのか、教会の壁を念入りに調べている。


「こらレイ、登ったらダメ!」


とりあえず神像登りは罰が当たりそうなので、速攻でレイを回収する。

 けれど一方のアマンザは、レイの様子に気を悪くする様子はない。


「まあ、我々の神に興味があるの、いい子ね。

 大丈夫、神は登られたくらいで怒りはしないわ」


こう告げるアマンザが、次に壁をペタペタしているリュウに視線を寄越してから、教会内をぐるりと見回す。


「この建物はね、このニケロがまだ村だった頃からあるのよ?

 もちろん建物は立て替えているでしょうけど、場所はずっと同じなの」


そう話すアマンザは、アキヒサには優しいけれどもどこかさみしそうなものに見えた。

 その表情に、アキヒサは思ったことを口にした。


「もしかしてアマンザさんは、元々この教会の関係者だったりしますか?」


アキヒサの質問に、アマンザが驚いたように目を見開く。


「あなたは鋭い方ね。

 そう、ずっと昔にここで曾祖父が司祭をやっていたの」


そう述べるアマンザが言うには、この教会はグランデ神聖教会に潰された、この国で最後の教会であるという。

 他の教会はとっくの昔にグランデ神聖教会の圧力に負けて改宗していたのだが、アマンザの曾祖父は頑固だったようで、最後まで教会を明け渡すまいと抵抗したという。


「私の父が幼い頃の話だそうで、私も当時のことを伝え聞いた話でしか知らないのだけれど。

 この教会を落としたことをきっかけに、この国でさらなる発展を遂げてあの金ピカを建てたそうよ」


アマンザはそう語ると、「ほぅ」と息を吐いた。

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