12 朝と初級魔法
どうも、かまぼこです
できあがったので投稿しました
朝 それは1日の始まり
始まりというものは常に気持ちいいものであってほしいのです。そのために人々は……
から始まる長ったらしい前置きは省略します
この世界での私の初めての朝(一週間くらいまともな朝を見れなかったのでそういうことです)は……
「【アイス】」
……ぺちっ
首元への初級の氷属性魔法によって始まりました……異世界ではこれが当たり前なのでしょうか?
「ひゃんっ!」
「どうだ?目が覚めただろ?」
そう聞いてきたのは、この世界の【魔王】の私のお兄ちゃんです。
「うん。これが異世界流の目覚ましってやつ?」
「いや、10分ほど前に俺が思いついたやつだ……」
「よくこんなの思いついたね……」
等と関心していて、私はあることに気付きます
「お兄ちゃん、今何時?多分6時よりは前だよね……」
まだ日が昇っていないのです
日本にいた頃、私はいつも日が昇ってから起きていました。ですので、起きた時にいつも浴びる太陽の光がないことに違和感を覚えたのです
「今は午前4時35分……今日の日の出は6時過ぎだぞ」
さっすが魔王様。日の出の時刻まで把握してるとか……めっちゃ頼もしいです
そんな魔王様ことお兄ちゃんは
「4時50分から、毎朝のルーティンとして魔法修練を行うぞ」
体育系の部活の顧問みたいな口調で...朝から魔法ぶっ放すぞと言ってきました
……という訳で
私達は先程までいた”宵闇の間”を抜けて下の階に階段で降りました。
そこには
「広っ!二人だけで使うの勿体ない気がする」
魔王城の外観からは全く分からなかった……高さも奥行きもある部屋。多分破壊不可能な壁に覆われていて
中には絶対お値段がするような機械や機器が色々ある……という
私とお兄ちゃん二人で使うにはあまりにも広すぎる空間がありました。
「ここは、俺と【幹部】そして姫専用の”修練場”だ」
「ここ、お兄ちゃんが作ったの?」
「あぁ、この城を作った時に一緒にな」
「すごっ……流石魔王様」
「褒めても何も出ないぞ……ってそれより、奥に像が見えるだろ?あれに向かって魔法をぶっ放してみろ」
お兄ちゃんが指をさす方を見ると...あ、ありました。真四角の岩に緑色のHPバーが表示されている奴が
「えっと……これに打ってみればいいの?」
「ああ、とりあえず今の姫の……魔力無限というチートスペックな力を見せてくれ」
「うん」
私はそう答えると、石像と10メートルほどの距離をとります
「術式展開っ!!黒き閃光に力を宿し、一筋の闇となれっ!!」
私の詠唱に合わせて、右手からは紫の魔法陣が展開されます……あれ?紫?前までは白だったような……まあいいや
「漆黒の一撃っ!【ダークネス・ストライク】っっ!!」
右手から勢いよく射出された黒い槍のようなものは、ごぉぉぉっ と激しい音を立てながら石像へと向かい……
ばこっ!ぱきーん
衝突するや否や、石像を粉々に破壊しました
「マジか……」
それを見たお兄ちゃんはぼそっと呟きます
「どゆこと?」
「いや、あの石像HPが300万くらいあるやつなんだが……一撃で壊れるということは姫が使ったやつが相当威力高いってことになるんだよなぁ……それ本当に初級魔法か?」
「うん、私がこの世界に来て最初に使ったものだから……多分初級魔法のはず。」
「……」
お兄ちゃんが何かを考え始めました。この時点で分かっているのは、今の状態だとこの魔法が人に打てるものではない……ということくらいです
「姫【魔力操作】と【無詠唱】を使って【ダークネス・ストライク】をもう一回打ってみろ。」
「何で?」
「あくまでも俺の仮説だが、さっきのは術式+姫の魔力で魔法の威力が大幅に上昇していた。次はそれらの威力補正なしで見てみたいからだ」
「う……うん、分かったよ」
私は【魔力操作】を発動。魔力の流れを抑える……というイメージをします
【無詠唱】とは「術式展開」から始まる術式?呪文?の詠唱を省略して魔法を発動することができるスキルです
ですので
「【ダークネス・ストライク】」
しゅぱっ……きぃぃん
先程とは異なりかなり控えめに発動し射出されたものが、元の形に戻った石像に当たり……壊れました
魔法の方が……
「これが素の威力ってこと?なんか物凄く弱くなったんですが……?」
「まあ、そういうことになるな。無限の魔力に慣れれば調整は出来るようになるぞ」
「取りあえず……打ちまくれということ?」
「そうだな」
こうして……私の朝の魔法修練が始まったのでした
ちなみに、30分ほどで【魔力調和】という新しいチートを入手し……
修練が終わったころには、魔力を完全にコントロール出来るようになったうえに、新しい魔法も入手したのでした
お読みいただきありがとうございました
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それではまた