表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/23

序幕 全ての始まり




「術式展開っ!」


 月明かりが照らす夜の森に、魔法発動のための起句呪文が響き渡った。周りには私以外の人がいないためかやけに大きく聞こえる。


 私は目の前にいる、緑の体には全く合わない白く輝く鎧を装備した〈ツインアサルト・ゴブリンロード〉という固有名のゴブリン(レベル1万6千)を攻撃対象に定めると、らせん状に渦巻く漆黒の炎が彼を包み込み、あとかたもなく燃やし尽くす様にイメージした。


 これは私の天職【漆黒の魔女】のもつチートスキルの一つ【漆黒の加護】の効果により魔法の威力を格段に跳ね上げるためだ。


「煉獄の炎よっ!私の名のもとに闇をまとい、目の前の敵を燃やし尽くせっ!」


 ゴブリンの足元に魔法陣が展開される。ぼわぁっと黒く光るそれはまるで彼の白い鎧を強調するかのようにみえた。


 ちょっと威力が出すぎるかな……


 それでも、彼の能力のせいでレベル2万6千の私でも一撃で倒すことはできないと知っていたので容赦なく最後の一言を叫んだ。


「漆黒の(ほむら)っ!ダークネス・サラマンドラっ!」


 ぼおおっと音を立てて魔法陣から黒い炎が出現した。

 私のイメージ通り、それはらせん状に渦巻いてゴブリンを覆い尽くす。


 これは一つの属性魔法に別の属性を付与して発動できる【複合魔法】というもので、一流の魔導士の中でも使えるのはごく一部の人だけだとかいうなかなか強力な技である


 今私が使ったのは【サラマンドラ】という上級の炎属性魔法に闇属性を付与して威力を上昇させたもの。

 闇属性魔法のスキルレベルをカンストさせ、なおかつ炎属性魔法スキルレベルを一次カンスト(スキルレベル999)にさせないと使用できないという条件を持つ、複合魔法の中でも習得の難易度は1,2を争うぐらいの強力な技だ。


10秒ほどゴブリンを燃やして、炎は収まった。が、彼のHPはまだ4割ほど残っている。


「やらかしたっ!」


 威力が強すぎた。私の作戦ではこいつの鎧を入手するため、彼のHPを6割は残して能力を発動させずに次の攻撃で決めるはずだったのに、少しHPを減らし過ぎてしまった


 想定外のことでその場に立ち止まってしまった私には大きな隙ができた。

 彼はそれを逃さずすぐさま能力を発動させて、攻撃体勢に入った


 私の目の前にいる〈ツインアサルト・ゴブリンロード〉の能力は【逆境】


 HPが満タンの時は一撃では倒されず、4割以下になると持っている棒を捨てどこからか2本の片手剣を取り出し攻撃してくるというものだ。


 こちらに向かってくる彼の右手の剣が青く光った。あれは……片手剣【剣技】4連撃技【閃突剣】か……

 その光で次にやるべきことを思い出した私は


「……っ!術式展開っ!黒き閃光に力を宿し、一筋の闇となれっ!」


 この世界で私が最初に使い、そして鍛え上げた一番のお気に入りの呪文を唱える。

 一撃で仕留めるために右手を後ろに引き、ギリギリまで相手の攻撃を引き付ける


「ぐるおあああっ!」


ゴブリンが、剣を振りかざして私に迫ってくる


が、もう遅い


「漆黒の一撃っ!ダークネス・ストライクっ!」


 きいいぃん!ざしゅっ!


 私の魔法によって爽快な音を立てながら弾き飛ばされたゴブリンの剣は、空中で何回転かしたあと彼に背中から突き刺さった。


「ぐあああああっ!」


 1秒遅れてゴブリンの断末魔が、森中に響き渡った。


 何が起こったのか軽く説明すると、私の使用した魔法【ダークネス・ストライク】にはスキルレベルがカンストしたときに習得した隠しスキル【洗脳】がある。

 【洗脳】は、武器限定で触れたものを自由にあやつれるのだ。


 そのため私は、ゴブリンの攻撃に合わせて発動させ、彼の右手の剣のコントロールを奪い、攻撃したのだ。


 そんなことを思っていると、弱点に当たったのか結構な量の血を出しながらゴブリンは倒れ、そのHPは0になっていた。


「ふう、やっと倒せた。さてと、何が落ちたかな~~」


 私はドロップアイテムを確認するためゴブリンの死体に触れる

 視界に「上質なミスリル製の鎧×3、上質な双竜剣×1、16万5635G、156万9200EXPを獲得!」というメッセージウインドウが現れた。


「よしっ!鎧だけのはずが、剣まで落ちるとか私ついてるっ!」


 私は1人でガッツポーズをする。その行動で……


「うーん……なんか予想していた異世界物って感じじゃないなぁ……」


今の自分に何ひとつ不満はないが、1か月ほど頭から抜けていた感情がわきあがった。


「なんでだろ……」


そんなことを思いながら私は静かに木に寄りかかり、いつの間にか目を閉じていた


0話に続く







読んでいただきありがとうございました。

専門用語がいっぱい出てきました...

一応、かなり先の出来事を書いたので物語が進むと色々謎が解けてきます(多分


高評価やブクマや拡散等よろしくお願いします

それではまた 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 面白そうでした [気になる点] なし [一言] 応援してます! これからも頑張ってください!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ