Episode 2 予想外の妄想外
ピピッ ピピッ ピピピピピピピピピピ
目覚ましの音で起きる。またなんの味もしない1日が始まる。
顔を洗って、制服に着替えて、ご飯を食べて、自転車に乗って学校へ行く。
学校についたらすぐに席に座って、本を読む。
陰キャの基本だ。
どんどん教室が賑やかになっていく。
「おはよっ!」
咲良だ。なんでこんなに関わろうとするんだ。
「おはよ」
わざと無愛想に返事をして本に戻る。
咲良はどこか悲しげにいつものグループに戻っていく。
朝のホームルームが終わり一限が始まった。
なんとなくノートをとって先生の雑談が始まった。
教師の私事なんて興味ない。
(よし…、今日はどんな主人公になろうか…、)
「きゃー!!助けて!!」
(きた!この日のために今までイメージトレーニングをしていたんだ!!こい!!)
先生が廊下に様子を見に行こうと外に出ようとドアに向かっていき、ドアをあけると…、
ガブッ
「いややややぁぁあぁぁぁ」
教室に居た何人かが失神した。
俺も気がとびそうになった。
そこにいたのは化け物だった。金魚のような目、大きな口、真っ青な色、大きな歯。某ゲームの鬼のようだった。
やつは先生の頭を丸呑みした。
黒板の前には血が飛び散り、今にも吐きそうだった。
こんなの想像してたのとは違う。クラスの人気者どころか命が助かるかも分からない。
その怪物はこちらに近づいてくる。俺は足が震えて動けなかった。声も出なかった。
しかし怪物はもう目の前にいる。目の前で大きな口を開く。
終わりだ。誰にも必要とされない、主人公になんてなれやしない。
けど普通に死ぬよりよっぽどいいか、「化け物に殺された高校生」として有名になるかもしれない。
覚悟を決めて目を閉じた。
クラスメイトの悲鳴の中に、咲良の声が聞こえた気がした。