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転入生
「相模憂です。好きな季節は春。よろしく。」
季節外れの転入生、ただ今紅葉シーズン真っ只中。相模憂という人物は、まるで春から程遠い秋という季節への皮肉のような口振りで自己紹介した。彼女と秋の間に何があったのかは皆目見当もつかないが、さほど興味があるわけでもないので聞き流した。そして、担任に促されるままに彼女は席についた。ごく自然に、それがまるで当然であるかのように、よくあるお決まりのパターンで、僕の目の前の席に座ったのである。そしてまた僕も、「よろしく」なんてお決まりの台詞は吐かなかった。
小説初心者です。