始動
さて、今日は狩に出かけようと思います。実は、私、猟師の資格も持っているんです。
なぜかと言うと、おじいちゃんが猟師だったから。顔も名前も思い出せないけど。小さい頃からよく連れてってくれたのを覚えてる。
優しくて逞しくて、カッコいいおじいちゃんだった。
私が18歳の時に死んじゃったけど……
私は、初めて敷地外に出る事にした。
土地勘がないから、アエリックさんにも付いてきてもらった。
この世界では、モンスターも存在するらしい。殆ど人里にはいないらしいけど。オークのような化け物を食用に改造して育てているらしい。改良とかの知識あるんだ…
でも、食費がバカにならなくて金持ちしか育てられないみたい。
2年前、食料となっていた豚もどきを飼育していた人が、生活が苦しくなって森へ放してしまったらしい。豚もどきも野生化すれば凶暴化するんだって。
私は、鹿や猪に使う仕掛けを作って持って行った。ハンターのおじいちゃんから教えてもらった秘伝の作り方。うふふふっ。これで、取れないものはなかったな〜…
血が騒ぎます〜!!
森は、家から1キロぐらいしか離れていないので、楽に行ける。
アエリックさんと、色々話をしながら向かった。忙しい人なのに優しいし、有難い。
ーーー…森へ入ると、そこら中で気配がする。
弓は使った事ないけど、一応持ってきた。本当は、銃で狩った方が早いんだけど、許可が下りなかったから、しょうがない。
私は豚もどきの足跡や糞を見つけ罠を仕掛けた。
野生動物が動き回るのは暗くなってからだから、明日の朝見に来よう。
ついでに罠を仕掛けたところとは離れて、弓で獲物を取る練習をした。なかなか、難しかったけど、慣れれば簡単でしたね〜。
木の上にいる鳥達を私は次々と仕留めて行った。アエリックさんにも驚かれました。だって、まだ20分しか経ってないんですもの。
10羽ぐらい仕留めたので、今日は鳥パーティーだ〜!あ!血抜きしなきゃ!
「カスミ、もう上等だろう。天気が悪くなりそうだ。もうすぐ雨が降る。袋に詰めて早く帰ろう。」
「アエリックさん、そうですね!
ロープとナイフを貸していただけませんか?」
「良いけど、何に使うんだい?」
「鮮度が落ちないように血抜きをするんですよ!」
「血抜きって、君がするのかい?大丈夫か?」
「うふふっ、余裕ですわ!」
私は木の枝に、まだ生きている鳥達をロープで逆さにくくりつけ、次々に首元にナイフを当て引き抜いて行った。
アエリックさんは…ドン引きでした。何で?みんなしないの?
「カ、カスミ、だ、大丈夫か?血まみれだけど…うぷっ。」
「ええ、アエリックさんの方がお辛そうですね。私は慣れてますので。こうする事によってとっても美味しいお肉になるのですよ。ご存知なかったですか?」
「ああ、知らなかった。血生臭い肉なんて普通だと思ってたからな。」
…ぽつ、ぽつ、パラパラパラ…
あ、雨が降ってきちゃった。血も流れるし、丁度いいや。
私たちは鳥を袋に入れて急いで森を抜けました。
もうすぐ家に着く頃、近所に住む16〜18歳くらいの男女3人と、中年のおじさんとおばさんを見かけました。
「アエリックさん、私あの方達にご挨拶してもよろしいでしょうか?」
「あ、ああ、私は構わないけど、君まだ血がついてるし、雨でずぶ濡れだから一回着替えた方が良いのでは?」
「そう…ですね。流石に引かれてしまうでしょうか。」
っと、帰ろうとしていたら向こうから一人の少年が近づいてきてくれた。
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