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Wanderer’s Steel Heart  作者: 蒼波
一章 放浪者達の夜明け
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深き森の死神

暗闇に包まれた深い森の中、赤く揺らめく光点が僅かに木々を照らす。蝋燭の火ではなく、KJB-Industry製のストレングス・ハート、「Z.A.K.O.」の頭部メインカメラとセンサー類の機械的な灯火だ。

灯りは5つ。どうやら前方3機、後方2機の5機編成の分隊で出撃していた、その帰りのようだ。同社の量産機であり比較的安価で特出した機能を持たないものの、集団戦を意識した安定した性能で戦線では、物量押しで戦う機体だ。


「ナイトビジョン、起動。」


視界に広がるコクピット内モニターが薄暗い森の中を黄緑色に塗り替え照らしてゆく。左斜め上に下がるサーマルセンサーは5つの赤い塊を描いていた。


あちらの装備は、前方3機はコンバットナイフを持った近接型が2機、サブマシンガンを持った近・中距離型が1機。後方2機が榴弾砲をズシリと構えながら進んでいる。

正面から攻めるとなれば骨が折れる。


モニターごしの正面の黒い腕が片刃の長斧を握りしめる。

マハトガ。俺に寄こされたこの機体の名。死神を擬えられるその風貌。漆黒の機体色。闇夜に紛れるにはもってこいだ。脚部推進器の出力を上げる。

光点はジリジリとその間合いに近づく。


―――ここだ!


俺のマハトガは推進器の加速に呼応し、大地を蹴り上げ、分隊との距離を一気に詰める。地面スレスレに走らせた長斧を切り上げ、サブマシンガンを持つZ.A.K.O 1機を宙に浮かせ、長斧から覗く砲口から火を放つ!

Z.A.K.Oの胴部には大きく風穴が穿たれた。


ワンテンポ遅れて砲口を向ける2機。

マハトガは放たれたバズーカ弾を軽々と飛び越し、宙を舞う。力を溜めるように腰部を捻り、半身の体勢を取ると、鋭い刃を振り下ろす。


「はあっ!!」


斧砲の刃は安安と後方にいたバズーカ砲をもつZ.A.K.O 1機を縦真っ二つに両断し、右に飛び退こうとした、もう1機を左薙ぎの一振りで横に両断した。


その隙を狙って、コンバットナイフを持った1機が飛びかかる。その一太刀を斧砲を受けると、もう一機が横っ腹を目掛けて側面から迫りくる。


ガキン!と受けたコンバットナイフごとZ.A.K.Oを押し払い、右側面から迫るZ.A.K.Oを左脚の回し蹴りで蹴り飛ばす。マハトガはすぐさま、深く腰を落とし、右足で踏み込みを入れた牙突をZ.A.K.Oの胴に叩き込む。

あの一瞬で吹き飛ばされた残る1機は、再びこちらに迫ると、マハトガの右腕に取り付いた。


ピピピッビーッ!!ビーッ!!


機械的な警告音とともに頭部が変形した。

自爆用コンポーネント起動の合図だ。

このままでは右腕ごとコクピットも吹き飛ばされかねない。


長斧を逆さに持ち替え、柄でZ.A.K.O.の両肩部を一直線に串刺しにすると腕部駆動機関を全開にして引き剥がし、そのまま、長斧の柄からZ.A.K.Oを投げ捨てる。

しかし、再び着地すると体勢を立て直し、取り付かんと飛び出す。


「―――往生際の悪いッ…!」


斧砲を構え直し、迎撃体制に入ろうとした時、コンポーネントのタイムリミットが来た。


ドォォ…ン…


発破とともに、構成パーツが辺りへ装甲片混じりで飛散する。

 

自爆機能を持つ個体の情報は聞かされていなかったが、今回の仕事は終わった。



かすたむさま、M2JB重工さまの製作機体を登場させて頂きました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] うちのZ.A.K.O.くんがボコボコにされていて非常に気持ちがいいです!せっかくのやられ役、どんどんボコしちゃってくださいー!
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