砂塵航路
風は砂塵を舞いあげて、灼熱の太陽は分け隔てなく、アタシら、────旅団の放浪者達の家とも呼べる稼動拠点の装甲板を熱する。
アタシらは旅団。
生まれも歳も、目の色、肌の色、髪の色も違っちゃいるけど、アタシらの絆は血よりも堅い。
心臓は鋼鉄。
破れることも、敗れることも無い。
アタシのキャラバンは、根無し草の集まりみたいなもんで、いっつもガヤガヤ騒がしいけど、親父代わりの旅団長の爺さん、母ちゃん代わりの副団長の婆さん、兄貴代わりの屈強な男ども。
────そして、何より、滅茶苦茶に可愛らしい弟分と妹分みたいなチビっ子達。
いつも賑やかさ………誰も《欠ける》事が無けりゃね。
そう、アタシらは「旅団」さ。
戦いの日々の中で、生き死にを共にしてきた。
何度も戦いの中で失ってきた。家族を。
何度も涙は零れた。
アタシは、その度に「強くなるんだ」って、「旅団を護り抜く」って誓った。
「アリーシャ!アリーシャは居るか?」
────おっと、親父の声だね。さぁ、仕事の始まりかね?
「はーい!オヤジ、すぐ行くよ〜!」
薄く焼けた小麦色の肌に深緑の瞳をもつ、20歳半ば程の女性は、笑いながら瞳の奥に潜む過酷な過去など想起させぬ程、優しくも明るく、老いた旅団長の呼びかけに応えた。
またまた短めですみません。m(__)m