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Wanderer’s Steel Heart  作者: 蒼波
一章 放浪者達の夜明け
12/16

断罪者

放浪者(ワンダラー)・ウェイドのマハトガが爆破された同日の深夜。


現時点でウェイドに中破したマハトガを輸送する手段が無い為に止むを得ず、再度ハンガーに格納し直されていた。


そこに、高台から中破したマハトガの残骸を見つめる機体が1機…Z.A.K.O.スカウトタイプだ。

人目を避ける為か、カモフラージュ用と思われる灰色ベースの迷彩コートを纏い、周囲に溶け込んでいる。

スカウトタイプは何かを確かめる様に暫くマハトガを、そのコクピット部を5分程注視していたが、目的を終えたのか、踵を返すと高台から飛び降り、背部のスラスターを吹かせ、始都・ミルフェイスから全速力で逃げるように去っていく。


30分後、ミルフェイスを脱し、小規模な廃墟街に入ったスカウトタイプは尾行の有無を確認すると、腰部にマウントしていた銃口の大きい単発式と思われる中折式拳銃を装備し、銃身を折りたたみ、弾を装填する。そのまま銃口を上空へと向け、発砲した。


バパン…という炸裂音と共に、銃口から薄い赤い光の軌跡が激しい燃焼音と共に真っ直ぐ空へと放たれた。放たれたのは信号弾の一種であり、発砲時に微量なイオンを含む煙を放出する。煙の視認が困難な場合でも放出されたイオンパターンから発砲した機体の捕捉を可能としている。煙が絶えるとスカウトタイプは中折式拳銃を再び腰部へ戻そうと右腕を後ろに回した。


[成程、低濃度イオンスモーク信号弾ですか]


後方から男の声。


全く気配を感じさせなかった影の、その声に振り返る。

辺りは瓦礫や鉄骨ばかりで、人の影はない。

だが、見上げると2階建てだった廃墟の鉄骨の上に立ち、金色の瞳でこちらを見下ろす灰色のストレングス・ハートが月明かりに照らされていた。


その灰色のストレングス・ハートはやや痩躯だが、その外見を疑う程の力強さを感じさせ、背に二振りの刀を背負い、両肩部にシールドを携え、さながら武士や侍のような風格を漂わせている。


[ああ、こちらの機体はご存知ありませんでしたね。]

と男は淀みなく続けるが、素早くスカウトタイプは左腰部側面からハンドガンを抜き、灰色のストレングス・ハート目掛けて速射する。


しかし、灰色のストレングス・ハートは即座に右腕で刀を抜くと、それを易々と全て斬り捨てた。


[おやおや、困りましたね…色々とお聞きしたいことがあるのですが…]


と言いながら、左腕でラックからもう一振りの刀を引き抜くと、その場から「消えた」。


「!?」


スカウトタイプは辺りを再び見回す。レーダーの熱源探知も灰色のストレングス・ハートの機体速度についていけず、反応が遅れている。再びハンドガンを構え直したスカウトタイプだったが…


瞬く間に正面に現れた灰色のストレングス・ハートは、斬!とスカウトタイプの両腕を二振りの刀で落とすや、すぐさま背後に回り、腰部と頭部を貫き、スカウトタイプの動きを封じた。


灰色の鬼神を駆る男はまた問う。


[貴方は何処からの依頼を受けましたか?我が重工のマハトガに爆薬を仕掛けたのは貴方、若しくはそのお仲間でしょうか?]


とスカウトタイプに畳み掛ける。


スカウトタイプは辛くも右脚で振り払う様に回し蹴りを見舞うが、やはりそれも空を切る。


ドス…ッ 

右の刀でスカウトタイプの胸に風穴が穿たれた。


[お答えして頂けませんか…それは残念です。来世が有りましたら、我が重工の機体に乗り換える事をお勧めしますよ。]


と何処か惜しそうに告げながらも、


[まぁ、もう関係のない事でしょうが。]


とスカウトタイプから右の刀を引き抜くと、再び、二振りの刀を収め、白い満月を見つめていた。

M2JB重工さんのレイアルフ登場回です。諸々の構想的に、正式名は次話から登場します。m(_ _)m

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