表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/7

罰ゲームと鈍器

目が覚めた時、なぜか俺は正座していた。


取りつかれたはずの青スライムもいなくなっている。ということはやはり一度目と同じように窒息死した後、現在の姿勢の状態で蘇生されてしまったのだろう。


さすがに蘇生も二度目ともなると落ち着いたものだが、なぜに正座の姿勢なのか?



そんな俺の前には二つの物体が鎮座していた。一つはお馴染みの異世界ナビゲーターの例の立て札、もう一つは鈍い銀色の光を放つ、円筒状にくぼんだ薄い鋼板だった。ていうか巨大な金盥だった。


そして立札には一言、



「ルール違反には天罰が下りましたwww」



「くそっったれがあああぁぁぁ!!!」



拝啓おふくろ様、わたくしの二度目の死因は金盥ギャグでした。



この怒りをぶつけようとすぐさま斧を召喚、忌々しいクソ立て札を叩き壊そうとしたが、こちらの行動を先読みしたかのように立札は瞬間移動、すぐさま追いかけるも近づこうとするたびに瞬間移動を繰り返し、破壊はおろか触れることすらできなかった。


ちなみにこのくだりの間、立札にはシンプルに「www」の文字が入っていたことを追記しておく。あの野郎(?)、いつかぶっ壊してやる。



徒労に終わった復讐劇の後、俺は第二回異世界反省会(定員一名)を開催した。


まあ、直接的な死因は一度目と同じく窒息死なのだろうが、引き金となったのは突如として後頭部を直撃した金盥だろう。


あの立て札は天罰と言っていたが、ふざけた内容はともかく刑の理由は明白だ。そう、武器の召喚である。



あの直前にとっさに槍を召喚しようとしたことが生活用品召喚の枠から逸脱した俺への罰ゲームだったのなら、反則級の後頭部への攻撃にも説明がつく。


おそらく斧に関しても蒔割り用ではなくバトルアックスなど戦闘用の物をイメージしていたら、その時点で二度目の死を迎えていたかもしれない。


これまであまり意識していなかったが、召喚するアイテムをイメージする前にきっちり自分の知識の範囲内で確認する必要がありそうだ。



反省会を終了した俺の背後にはやはりというか、青スライムが待ち構えていた。どうやら心の準備ができるのを待っていてくれる仕様のようだ。こちらとしても無意味な死はできるだけ避けたいからありがたいがな。


これまでと変わらないスピードで接近してくる青スライムに対し斬撃無効スキルを確認した俺は次なるアイテムを召喚した。


斧と同じく木の棒と先端に鉄塊、ただしこれまでとは違い刃はなく、武骨としか言いようのない長方形の文字通り鉄の塊が固定されていた。そう、ハンマーである。



「っせい!!」


ズドン!!


斧と同じ要領で、しかし斧の時よりも腰を落として振り下ろしたハンマーは見事に青スライムの中心にヒット、斧の斬撃とは違ってすり抜けるわけにもいかず、その柔軟過ぎる体が大きく凹んだかと思うと一瞬で爆散した。


勝利を確信した俺はある意味で当然の、しかし別のある意味ではもっとも言ってはいけないセリフを叫ぶのだった


「いよっしゃーー!!勝ったな!!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ