2.炊き出し
モフモフ愛好家向け。
すぐおじいさんとお父さんを裏山の麓に連れて行きますと、犬顔のおじさんと何十人かの動物顔の人達が佇んでいます。怪訝そうに相手をみていた父は、犬顔村長を見て唖然としています。
ただおじいちゃんはニコニコして、犬顔村長としやべって「ふんふんそりゃー大変だったずらー」と相槌をうっています。ジローは喜んで犬顔村長の周りをぐるぐるまわって、撫でろ撫でろと甘えています。
「とにかく皆んな腹減ってるかやー、村の衆集めて炊き出しするだに、皆んな付いて来てくれずらー。」と村の集会所に向かうのです。
小さな集会所は大勢の動物顔の人達で、大混雑になっています。
おじいちゃんは家からあるだけの米袋を持ち出し、僕と父さんで今朝採れた野菜と一緒に、リャカーで集会所に向かいました。徐々に村人が集会所を覗きに、集まりだしてきました。
皆んな難民の顔をみて腰を抜かすほど驚きましたけど、何というか見覚えがあり愛嬌のある獣顔がまるで今飼っている猫や、昔いた犬を思い出してほっこりしてくるのです。
集会室の調理場は大忙しです、何年も前に廃止となった祭りの再来みたいです。おばあちゃん達による米炊き、おにぎり作り、大皿に盛った野菜や漬物、川魚の干物など盛りだくさんです。
着の身着のまま逃げ出した獣人の人達は、初めての日本国での食事になったのです。「うまいにゃー!おいしいだワン!」皆んな喜んでくれているみたい。
犬顔村長(名をコロルというそうです)が、おじいちゃんに深々と頭を下げて「虐げられていた我ら獣人族をこのように持て囃され誠に感謝しております。それでですが残りの民が山の中で待機しており、その物達を呼んでもよろしいですか?」と申し訳なさそうにお願いされました
「ほうほうそれはそうずらー、わしが難民になって違う国に行っても警戒してそうするでなも。」ではすぐに迎えに行きましょう。