12.シンジ君あんたは只者ではなかった
シンジ君はまだ何かが体の中に、残っているような感触に、キリコさんに相談したのです。キリコさんはまさかと思いながら、これから言われたイメージを左手に出してみてと言いいました。
土、風、光、氷、植物、動物、魔物どうも違うみたいです。キリコはもしかしたらと『火』と唱えました。
突然シンジの左手から、火炎放射器の倍以上の炎が空高く『ぐおおおー!』という凄まじい音と共に、空を焦がしているのです!シンジの周りにいた獣人や人達は、今度は「ぎゃあああー!」という声を上げて四方に逃げ出したのです!
「そんなバカなこん!水の精霊と火の精霊は仲が悪く、一人の精霊使いに付くはずがないこん!」キリコは精霊界の常識が通用しない、シンジ君に驚愕しているのです。
「熱い熱い!」シンジ君は左手を高く上げて、どうにかしてくださいという顔を、キリコに向けるんでした。
やれやれという顔をしてシンジの左手の前腕を掴み、もう一方の手で血流を止めるようにして、「もう止めていいよと精霊にお願いしなさいこん。」とシンジ君に言いました。
じき炎は弱くなりポンという音を最後に、完全に鎮火したのです。シンジ君はその場に昏倒して息を荒げています。
昏倒しているシンジ君んの周りを皆んなが囲んでいます。コロルさんやお父さん達にキリコさんは話しています。「前の里や国にも2つの精霊に愛された獣人や人は、いなかったこん。
神話の世界には4っの精霊に愛された、大賢者という人族がいたという神話が残っていますが、その水や土や風や氷の精霊に愛された大賢者さえ、水の精霊と仲の悪い火の精霊は愛してくれなかったそうですだこん。」
コロルさんはキリコさんと弟のキリ君に「シンジ君に精霊のご加護の、制御の仕方を教えてくれないかわん。」と頼みました。キリコさんとキリ君は、シンジ君は興味ある精霊使いの初心者ですので、喜んで引き受けました。
シンジ君は疲れはてたのか起きられず、ガアーガーとイビキを上げながら、死人みたいに戸板に乗せられ、いつもの泊まり込みの家に運びこまれたのです。
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いつものボランティアのメンバーが、1日の仕事を終えて寝場所にしている畳の間に入ってきました。そこでは丸半日寝ずっぱりのシンジ君が、まだイビキをかいています。
誰もいつものように枕を顔には載せません。皆んな今日見た出来事を話しています。このぷっくらしたほっぺのシンジ君が魔法使いとは?それも殺人的に強力な、火と水の精霊使いなんて?これからシンジにどう対応したらいいのか?シーンと皆んな黙っています。
普段無口なメンバーが口を開きました。「ある日何気に新聞やネットニュースを見るじゃん、そこにこんなタイトルが出ているんだ。白昼オフィス街で水死?」皆んなドキ!とします。
「次の日のニュースには白昼横断歩道で焼死?」「俺、もしこんなニュースが出たらシンジ君を疑うね。でも世間や警察は誰もシンジ君が、魔法で人を殺したなんて疑うわけがない!」「万一シンジ君が捕まって、裁判で被告シンジは魔法で人を殺したのです。と検事が述べても、どうやって魔法で人を殺すのか証明できる警察も検事も、この世界にはいる訳がない!」皆んなうんうんと頷いています。
誰かが「あり得るよなシンジ君は、学校や職場でいじめられて引きこもりになったんだろう?」俺だったら復讐に、絶対捕まらない魔法を使ってしまうかも?
皆んな顔色が悪いです。一人の若者が「大丈夫俺たちはシンジ君と、今まで仲良くやってきたじゃん。いつもニコニコしているシンジ君を、いじめる奴がボランティアに来る訳ないじゃん。」
とりあえず今まで通りシンジ君とは普通に接していこう。絶対容姿や行動に悪口を言わない、いくつかの覚えを皆んなで確認し合いました。