嘘つき婆さんの憂鬱
嘘つき婆さんは、村のはずれに住んでいます。
いつも嘘ばかりついており、毎日のように迷惑をかけるので、村人たちからは嫌われていました。
そんな嘘つき婆さんですが、最近一つだけ悩み事が出来ました。
自分がどうして嘘を付き始めるようになったのかが、分からなくなってしまったのです。
ちょっと前までは、おぼろげながら覚えていたようにも思えたのですが、齢のせいでしょうか、それすらはっきりとしません。
嘘つき婆さんの悪行を知っている村人たちは、声をかけてもそっぽを向くばかりです。きっと知っていたであろう、物知り爺さんも知らぬふりをします。
きっと知っていたし、きっと教えてくれたであろう、相方の悪だくみ爺さんも、随分前に、ぽっくり死んでしまいました。
誰も、嘘つき婆さんに相手をしてくれません。誰も、味方になってはくれません。
「ああ。思い出した」
嘘つき婆さんは嘯きます。
「わしがいるおかげで、嘘をつくことがどれだけ悪いことか、村の小僧どもが知ることが出来るのだ」
村のはずれの住処の中で、独りで高笑いをする嘘つき婆さん。
「なんて、なんて良いことをしているんじゃ、このわしゃあ」
こうなりゃ自分に、嘘つくしかない。
はじめての童話。
こんな内容でいいのでしょうか?