宴会、前日編
今回、たくさんの作者様にご協力いただきました!
誠にありがとうございました!!
圧倒的な感謝をみなさんに!!
「こんなもんか」
「久しぶりに来てみたら……」
俺は、変わり果てた幻想郷の姿を見て、絶句した。
「な……何が起きたんだ……?」
俺のそんな問いに、霊斗は親指を立て、グッドの形を作って答える。
「闘技場作った」
見ると、その先……巨大なドーム状の建物では、内部から機械人形らしき物が内部整備を行っていた。
ああ、紹介を忘れていた。今、闘技場を作っているのは『博麗 霊斗』。俺の先代の作品の主人公だ。最近ちょくちょく出てるな。能力は『自分を改造する程度の能力』及び『全てを操る程度の能力』。能力の対応範囲が広すぎて、しようと思えば何でもできるらしい。
で、俺の名前は……色々あるが、幻想郷に来てからは『龍崎 神斗』という名前で通している。一応この幻想郷の龍神だが、ほとんど龍神としての役割は霊斗にとられてる。まあ、楽できるから良いんだけどな。
能力は『変換する程度の能力』と『力を動かす程度の能力』。
まあ、変換する能力は変換する対象と変換後の物によって、消費する力(霊力、神力、妖力等……)が変動するから、普段は基本的には『力を動かす程度の能力』しか使用しないんだけどな。
「さて……特訓でもするか」
唐突に霊斗はそう言うと、俺を巻き込んで闘技場内に転移した。
◇◆◇◆◇
「うし、じゃあ始めるか」
俺はそう言って、龍神王武を構える。龍牙(神斗)も愛剣である聖剣エクスカリバーを構えたのを確認すると、俺は龍牙に向かって走りこむ。
龍牙はエクスカリバーで龍神王武を受けると、俺はその状態で剣を軸として、縦に回転し、そのまま龍牙を押し倒す。
「ウグッ……!」
「楽しそうなことやってるんですね」
龍牙の声が聞こえると同時に、聞き覚えのある少女のような声と、丁寧な言葉が俺の後ろから聞こえる。
「……ま実際に話すのは、初めまして……じゃないか。しかし、1人でよく来たもんだな。零達は?」
「お父さんは今回は色々疲れたから休むって言ってました。お母さんは仕事が今忙しいとか」
俺と会話していた少女『神谷 呼白』はほんのりと紅潮した顔でそう答えた。
「なあ霊斗、彼女は?」
「あれ、お前は初対面だっけ。彼女は神谷 呼白。多分……俺より強い」
「へぇ……!」
龍牙は興味しんしんにそう言うと、呼白の目の前に転移し……手を差し出した。
「よろしく」
「ええ、よろしくお願いします」
特に何もなく、平穏に挨拶は済んだみたいだな。
「闘技場作るの、手伝いましょうか?」
「いや、いい。俺が作ってるから、龍牙は呼白とこの地図通りに参加者を連れてきてくれ」
参加者……?
◇◆◇◆◇
霊斗が闘技場を作っている間。
別の世界から、1人の男が博麗神社に降り立っていた。ちなみに、博麗神社は闘技場のお隣である。
気配もなく、霊力を発することもなく降り立ったそれは、霊斗ですら感知できないほどに微弱な力だったが、同時に異常な力を誇っていた。
何故なら、その男は霊力を持っていないのだから。
何故なら、その男の武器は強靭すぎる肉体なのだから。男、『神無々(かなむ) 双刃』は動き出す。目的達成の為に。
◇◆◇◆◇
「……えーっと……最初の目的地はここか」
俺が最初に訪れた場所は、異世界の白玉楼。
「セヤアッ!!」
「ふん」
そこには、黒い服を纏った青年が妖夢と訓練をしていた。
……ふむ。アノ妖夢なら、まだウチの妖夢の方が強いな。だが……。
「あの、神斗さん。目的間違えてないですか?」
「え? あ、ああ、そうだな。……っていうか、自己紹介したっけ?」
「いえ、私の能力故、です」
呼白はそう言うと、どこからか剣を取り出した。
「お前こそ間違えてないか?」
「何がですか?」
「いいや、何でもない」
俺は呼白にそれだけ答えると、剣を二本を取り出し、2人の間に狙いを定める。
「そこまでっ!!!!」
俺はそう叫ぶと同時に、妖夢と今回の招待客である青年、『黒素 黑狂』の剣を受ける。
「……何者だ」
「別に。ただのしがない龍神だ。黒素 黑狂だな? お前を招待してやる」
俺はそう言って、スペルカードを黑狂の足元に叩きつける。
「転符『送還穴』」
その言葉と共に、黑狂はどこかへと、転移した。
「じゃあ、妖夢、黑狂借りてくぜ」
「失礼します」
そこに残ったのは、事態についていけずポカンと置いて行かれた妖夢だけだった。
◇◆◇◆◇
「さて、お次は〜っと」
俺はその言葉と共に、次の幻想郷に降り立った。
「お? お前ら、新しい客か?」
その声と共に、俺たちに話しかけてきたのは今回の目的である『黒崎 終夜』。種族は悪魔だ。
そしてもう1人、『白崎 旭』。こいつはターゲットじゃないが……ま、良いだろう。
「2人か、丁度いい。お前らを招待しろって言われてるんでな」
俺はそう言って、転符を2人の足元に叩きつける。
「それじゃ、後でな」
「「な、何がどうなってんだぁぁぁぁ!!??」」
叫ぶ2人を尻目に、呼白は疑惑の声を俺にかけた。
「……私、来た意味あります?」
「さあな」
◇◆◇◆◇
〜???サイド〜
俺が別世界の博麗神社に降り立つと、そこには人がたくさん居て、ガヤガヤと騒ぎ立てられていた。
霊夢ともう1人、霊夢のような巫女服を着た少女……(確か、博麗 霊愛、霊斗の孫だったか)が忙しなくバタバタと動き、溢れかえっていた人々にお茶を出していた。
「やあ、霊愛ちゃん。何か手伝えることはあるか?」
「あ、優一さん……ってええっ!? なんで優一さんがここに!?」
「霊斗に呼ばれて来たんだよ。なんでも、宴をするって聞いてな。まあ、あいつとは何度も戦り合ってる仲だし、あいつの企画する宴ってんなら招待されて行かねえわけにはいかないからな」
俺はそう言って、おそらくこの世界で最も強いであろう者の所に転移する。
「よう、久しぶりだな、優一」
「ああ、何年ぶりかわかんねぇがな」
「お前だけだろ。俺は言っとくが時間の流れはほとんど普通の人間と変わらないからな?」
「普通の人間って、零のことか?」
「バーカ、そう言うこと言ってんじゃねえよ」
俺は苦笑いしながら霊斗にそう返すと、ふと星の瞬く夜空を見上げた。
「……いきなりどうしたんだ?」
「いや、俺は何回お前と戦ってきたのかなって、思ってな。──いつかは、終わりを迎えるのだろうかって思うと、なんか寂しい気もするし……同時に、これからが楽しみになってくる」
俺は思っていたことを全て吐き出すと、坂になっている草原に寝っ転がる。
「……まあ、終わりはあるだろうな。けど、それが何時かは今の俺たちには想像もつかないし、俺自身が終わらせることは多分ない。お前も今日はこの世界に泊まっていってくれよ」
「……ああ、お言葉に甘えさせてもらう」
俺は霊斗の提案を受け入れ、博麗神社へと転移した。
◇◆◇◆◇
〜霊斗サイド〜
「とりあえず、今日の所はお泊まり会って感じでいいか」
予想外のスピードで参加者が次々と龍牙によって転移されてくるので、俺は闘技場を急ピッチで完成させ、訳がわかっていない参加者を博麗神社で待たせていた。
俺の孫である霊愛がみんなに事情を説明すると同時に、そこでゆっくりとしてもらっているわけだ。
そうこうしている内に、龍牙と呼白が俺の元に戻ってきた。
「霊斗、全員連れてきたぜ」
「おう、ありがとな。それじゃ、早速だけど自己紹介を始めるか」
俺はそう言って、博麗神社に3人で転移する。
『あー、あー、皆さん、全員集まったか?』
「いや、今終夜がトイレ行ってる」
俺の呼びかけに、旭が答えた。
「……ま、いいや。明日から1日……長くて2日、みんなには『宴』をしてもらう。俺や呼白にとっちゃぁ暇つぶしみたいなもんだが、ウチの作者にとっては歓喜で狂い死そうなくらい大事なコトらしい。悪いが、そう言うことでな。不本意な奴らは居るかもしれないが……」
「宴? 飲んで食べてのアレか? 俺、酒飲めないんだけど?」
「あー、気にすんな。大丈夫、何とかなるから」
俺はそう言って、闘技場を指差す。
「宴ってのは、盛り上がらないと意味がないからな。幸い、ここには好戦的な奴もとにかく多い。てことで、先ずは弾幕勝負と行きたいんだが……名前がわからないと不便だからな。1人ずつ、自己紹介を頼む」
俺がそう言うと、周りを見渡しながら戻ってきた最終夜が最初に名乗りをあげる。
「……遅れちゃったみたいだな。俺の名は『黒崎 終夜』。よろしく」
「まだ誰も自己紹介してなかったし、大丈夫だ。とりあえず、順番に名乗ってくれ」
「俺は『黒素 黑狂』。好きなものは和食全般。よしなに頼む」
「『白谷 磔』だ。この中には、まあ何人か会ったことがある奴も居る……かもな。まあ実際、霊斗とは、もう何回か会ってるし。よろしく」
「俺は『大津 零士』。俺も多分何人かとは会ってると思う。よろしくな」
「俺は『幻真』と言います。俺も好きな食べ物は和食です。よろしくお願いします」
「……俺は『神無々 双刃』。よろしく」
「じゃあ、私ですね。今回、数少ない女子となります『神谷 呼白』です。多分、この中では1番強いと思うので……覚悟しておいてくださいね」
呼白の爆弾発言に、ここにいるほとんどが殺気を放つ。だが、呼白に対してバカにするような目を向ける奴はいなかった。この場にいる全員が、この幻想郷が如何に理不尽に生まれ変わり、如何に常識が通用しないかを、知っているからだ。
「私は『古明地 麗華』よ。よろしくね」
「ぼくは『風見 幽透』。よろしく」
「俺は『桐月 アルマ』。ほとんどの人が初めましてだと思うが……よろしくな」
「俺は『神居』。この中には、会ったことがある奴も結構居ると思うよ。よろしくね!」
「私は『安倍 桜』よ。今日は、是非とも全力でやらせてもらうわ。よろしくね」
「わ、私は『博麗 霊愛』と言います。一応、今回の主催者である霊斗様の孫です。……そこまで強くないんですけど、よろしくお願いします」
「俺は『龍崎 神斗』。一部じゃあ龍牙なんて呼ばれてる。一応この幻想郷では龍神をさせてもらってる。……よろしくな」
「最後は俺だな。俺の名は『博麗 霊斗』。今回の主催者であり、この世界に本来いる生命の中では最強だ。まあ、俺より強い奴なんて発想次第でいくらでもいるしな。よろしく頼む。……で、今日の予定だが、もう夜も遅いんで、とりあえずお泊まり会だ。男女別に分かれて、博麗神社に入ってくれ」
「おいおい! 俺たちを忘れてもらっちゃ困るぜ!!
『博麗 海斗』、見参!!」
「右に同じく! 『シルク』、参る!!」
「はぁ……なんでこの2人と私が……。『夕紅 茜』よ。よろしく」
「おう! 久しぶりだなお前ら! とりあえず茜は鳥居から降りろ!!」
俺の返事に、シルクと海斗はガックシと項垂れ、茜はピョン、と鳥居から降り、スタッと見事に着地する。
「まあ、なんだ! 細かいことはいいから! 今回もよろしく!!」
「ああ、こちらこそ!」
「……で、さっき言ったように、男女で別れたら男は俺に、女は霊愛についていってくれ」
俺はそう言ってこの場にいる全員を分別し終える……あ、そうだ。こんだけの人数、1人じゃ飯作りきれないだろうな……。
「あ、そうだ。みんな、多分だが飯はまだだろう。霊夢が今作ってくれてるんだが……いかんせん人数が多いからな。誰か手伝ってくれると助かる」
「あ、じゃあ私やります」
「私も手伝うわ」
「俺もやるとしよう」
「おお、よろしく頼む」
霊愛を筆頭に、麗華や呼白、黑狂が名乗りをあげる。
「みんな、部屋に転移するからなー」
俺はみんなにそう呼びかけ、男は男部屋に、女は女部屋に転移させる。俺はもちろん男部屋だ。女は霊愛や呼白が上手くやってくれるだろう。
「ふぅ……とりあえず皆、風呂に入ってくれ。神社の裏に間欠泉から作った銭湯がある」
「じゃあ俺はこれで失礼する」
「廊下に出たら右手に進んで、突き当たりを左だからな〜」
俺は飯を作りに行った黑狂に道を教え、他のみんなを風呂へ先導する。
「うおお……本当に銭湯だ」
終夜が感嘆の声を漏らすと、海斗とシルクが我先にと脱衣所へと入り、服を脱いで露天風呂になっている風呂場へと入る。
「1ばー……ぶへぇ」
「くっそ……ぶほぉ」
シルクと海斗は、ツルツルの床で滑り、同時に転けた。
「あーあー……やってるやってる」
「はは……アホだなぁ」
俺は服を脱ぎながら、能力で浴槽の周りに囲いを作る。
「おい! 霊斗! これじゃ風呂に入れないだろ!」
「先に体洗え!!」
俺は文句を言ってきた磔をそう叱ると、俺自身もシャワーから流れ出るお湯を浴びる。
「ハァ……なんか疲れたなぁ……」
「お疲れー」
「お……省じゃないか。あれ、今は甘味処だっけ?」
「まあ、そんなことどうでもいいよ。お疲れのようだね」
「こんだけ人数居ればな」
突如俺の右上に開いた空間から話しかけてきたのは、この作品の作者、甘味処。最近色んなことに手を出し始めたらしいな。
「お前は今日は参加しないのか? 今日はお前のことを祝う会でもあるんだろ?」
「ああ、僕は……色々しないといけないからね。楽しい物語を作ってくれること、期待してるよ」
甘味処はそう言うと、空間を閉じてどこか別の場所へと消えた。まあ、覗きなんてする奴じゃないし、他の作者様にもそんなことしたら顔が立たないからな。
十中八九、地獄での仕事が忙しいんだろう。
俺はそう予想し、甘味処のことを考えるのを止め、浴槽周りに作った囲いを能力で消す。
「ヒャッホォォォォイ!!! ってあいたぁ!!」
その途端に、終夜が浴槽に飛び込み……ボキリと、そんな音が聞こえてきそうなくらい足首が曲がった。
「なんだ、やらかしたか」
俺はそう言いながら、終夜の足を『回復』を操って治す。
「いって……」
「天罰だな。ルールくらい守れ。……お前らもな」
「……はーい」
「ハァ……」
まったく……。こいつらはどんだけはしゃげば気がすむんだろうか……まあ、楽しいからいいか。
俺が浴槽に腰掛け、ゆったりとしていると、終夜が突然思い立ったかのように立ち上がり、耳を澄ませる。
「……女湯はあっちか!!」
「……ハァ……」
まったく、世話が焼ける。これだから……。まあ、霊夢は風呂には居ないし、向こうには多分茜と旭しか居ないハズだ。おそらく、問題は無いだろう。
俺がそう思うと同時に、女湯と男湯を隔てる壁の隙間から覗こうとした、終夜の悲鳴が響く。
「ぶっ……」
おそらく、目をぶすりとヤられたんだろう。
目を手で押さえて風呂の床を転げ回っている。
俺はその様に、思わず吹き出してしまう。
「……いい気味よ」
俺は終夜の哀れな姿に黙祷を捧げ、静かに風呂から上がった。
「お? もう出るのか?」
「ああ……風呂の後だが、ひと勝負行くか?」
「是非、お願いするよ」
俺についてきた優一をそう誘い、俺は服を纏った状態で博麗神社の参道の一角に転移する。
「さて……死ぬ気でこいよ」
「もちろん、当たり前だ」
俺の剣、龍神王武と優一の命で出来た最強の黒剣、〈泉〉が交差する。
それと同時に、凄まじい力の衝突によって空気の爆発とでも言うべき現象……突風が起こる。
さらに、そんな物をもろともせず、俺と優一はさらに剣をぶつけ合う。
俺は左側にワザと隙を作ると、優一は遠慮なくそこを突こうと攻撃を仕掛ける。
俺はそこに、龍神王武を振り下ろし……優一はそれを結界で防ぐ。すぐに結界は龍神王武の全てを切る能力によってバリバリと音を立てて崩れるが、それも時間かせぎ位にはなり、優一は俺の剣を避けることができた。
俺が追撃しようとした次の瞬間、どこからか現れた陰陽玉から声が発せられる。
『もしもし、霊斗様? 皆さん待ってますよー』
「だ、そうだ。帰るとするか」
俺はそう言い、優一を連れて再び博麗神社へと転移した。
◇◆◇◆◇
俺と優一は宴会場となっている大広間へと入ると、そこにはたくさんの人が集まっていた。
「お、遂に来たか」
「お疲れー」
俺は既に座っている人々に挨拶をしながら、自分の座布団へと座る。
それとほぼ同時に、呼白や霊愛、黑狂がお盆に乗った、酒と今日のメインメニューである大皿に盛り付けられた肉じゃがや魚の舟盛り、すき焼きやしゃぶしゃぶ等の鍋を持って机に置いていく。
さらに、白米や味噌汁の入った茶碗が持ち込まれ、机の上はかなり混雑する。
霊夢が最後に俺の隣に腰を落ち着けた所で、俺は酒の入った盃を掲げる。
「全員揃ったな? ……よし! みんな、まあ、今まで色々あったが、これからもよろしく!! さらに、何人かは今回初めてだろう! 大いに楽しんでくれ!! それでは──乾杯っ!!!」
「「乾杯っ!!!」」
俺の音頭に合わせて、酒を飲める奴は一斉に盃やワイングラスを口に運ぶ。それ以外の奴は、一斉に大皿や鍋へと手を伸ばす。
「うお……美味いっ!!」
「ふふ……そうでしょう、そうでしょう。ねー! 霊斗!!」
「ああ、なんせ、霊夢が作ったんだもんなー!」
俺と霊夢がイチャイチャとすると、何人かは残してきた家族のことを思い出したのか、少しゲンナリとした顔になった。おそらく、連れて来ればよかった、とか思ってることだろう。
まあ、でも連れてきたら連れてきたで意味がわからないことになるからな。
──そう思いつつ、全員のところから呼ばれただけの人員を空間の穴から転移させる。
「パルスィ!! さとり!!」
「あれ、こいし!?」
麗華とアルマが同時に声を上げる。
ちなみに連れてくる判断基準は、今会いたいと思っているかどうかだ。
パラレルワールドとの通信とさとりのような第三の目を応用すれば、こんなこともできる。
「──でよぉ、だからさ、言ってやったんだよ」
「──へぇ、そうなのか! なるほどな……」
「ねぇ、霊斗ー」
俺が終夜と話していると、霊夢が甘えるように割り込んでくる。
「うん? どうしたんだ、霊夢?」
「あのね……」
これはアレだな。酔って幼児退行した霊夢だな。
まったく……。
「えっとね──あのね、その──えっちなことしたい」
近くで聞いていた奴らが、一気に口に含んでいた物を吹き出した。
「……霊夢、急にどうしたんだ?」
「いや……あのね、その──」
あ、これは同じこと繰り返すパターンだ。
ていうか……多分だけど、媚薬の効果……だよな。
「霊夢、隣の部屋に寝てろ」
「う、うん──」
霊夢は俺の言いつけ通り、フラフラと大広間を抜け、右隣の俺の部屋へと入っていった。
「ふぅ……」
呼白も、釣られるように立ち上がり、今度は左のほうへと向かっていった。
多分、トイレだろう。
ていうか、媚薬混ぜたの誰だ!?
俺がシルクの方を向くと、シルクはさっと明後日の方向に顔を逸らした。
「シルクさーん、ちょっとお話がありまーす」
何処からか現れた甘味処はそう言うと、空間の穴をシルクの足元に作る。
暫くして、シルクの悲鳴が聞こえる。
大方、甘味処の『体験させる程度の能力』によって、酷い体験をしたんだろうな。
そんなことは気にもとめず、それぞれが過去に会ったことのある人や、仲のいい人と話をしていた。
「呼白ちゃん、久しぶりだね〜。俺のこと、覚えてるかな?」
「はい、優一さん、もちろんです!」
「零達は元気か?」
「もちろんです! あの2人は、相変わらずですよ」
優一は呼白と。龍牙はその横で、2人の思い出話というか……武勇伝を聞いている。
終夜、磔、零士、黑狂、神居、旭はそれぞれがやったバカなことや、楽しかったこと、自分たちの思い出について。
「アッハッハッハァ!!」
「イッテェ!! ていうか胸! 見えてる! 誰だ旭に酒飲ましたの!!」
……まあ、色々あるが。
俺は海斗や幻真、幽透に双刃、アルマと話していた。
霊愛は茜と桜と一緒に話していた。女同士、仲良くなれたのかもしれない。こいしやさとり、パルスィもそこで話しているな。
そんな調子で、各々が楽しみ、好きな物を食べながら時間は流れていった──。
◇◆◇◆◇
「ほら、お前らちゃんと布団敷けよー」
男女を2部屋に分け、男は男で纏って、女は女で纏って睡眠をとっていた。
……さて。
「霊夢ー! 大丈夫かー?」
「う……ん……霊……斗……?」
俺は霊夢に、能力で解毒するが……効果は薄いようだった。
「一応聞くけど、誰にも何もされてないよな?」
「あったりまえじゃない。私を誰だと思ってんのよ……。ねぇ……霊斗……」
「どうした、霊夢」
「私、霊斗と一つになりたい……」
この後、俺と霊夢がいやらしい展開に入ったことを知る者は、ほとんどいない。
まだまだ続きます!