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この世界はどうしてこんなにも  作者: 崎坂 ヤヒト
一章 二重人格に至るまで
5/13

この世界はどうしてこんなにも不公平

夏休み終盤。

和希は宿題を終わらせた。

途中入学でも宿題は出ていることを知った和希は、夏休みの残り二週間の内、一週間ほどでどうにか終わらせることができた。

辛かった。

終わり切る前に気付けてよかった。

ていうか暑い。

めちゃくちゃ蒸し暑い。

実は和希のこの部屋、エアコンがついてないのだ。

付けるなら大家さんに相談する必要があり、大家さんもそろそろつけようかと考えているらしい。

でも結局のところ。


「まあ、もうすぐ夏も終わるし」


と、聞き入れてもらえずにいた。

毎年そんな風に結局つけずに終わるらしい。

代わりに和希は、二つあるからという理由で扇風機を譲ってもらった。

中干しする時にも調度いいし、という理由で結構重宝している。

が。


「あつー」


どのみち汗は止まらなかった。

おかげで喉もすぐ乾く。

今もやかんで麦茶を沸かしている最中だ。

現在の和希の服装は、前にショッピングモールで勝った薄手で露出の多い衣服にショートパンツだった。

これが一番涼しい。

それでも暑いけど。

やっぱりクーラーほしい。


「そうだ」




ピンポーン

和希はインターホンを押した。

105号室のだ。

一人で行くからダメなのだ。

二人で行けば、困っている人の数は倍になる。

そうなれば交渉も有利に働くはずだ。

そう思って来たのだが。


「出ない…出かけている……のか」


悪いとは思うが、ドアに手をかけた返事もないし、いないのならそれでもいいのだが、この暑さだ。もしもの場合も想像できる。

ガチャ


「……開いてる」


和希は恐る恐るドアを開けると。


「うわっ」


そこにはごみ袋の山があった。

もうちょっと計画的にゴミ出しはしろよ。

それらを避けて、和希は真矢の部屋に足を踏み入れる。

すると。


ガッ


何かに足をぶつけた。

そこにいたのは。


「わああああああああああああ!」


もしもが当たった。

倒れた真矢が、そこにいた。




「ご、ごめん。ベッド使わせてもらっちゃって」

「いや、いいから寝てなって」


和希はどうにか真矢をはたき起こして、多少無理させたが、どうにか自分の部屋に連れていった。

どう考えても真矢の部屋は休養に向いていなかったのだ。

今は冷蔵庫の氷で氷枕を作って、真矢の首筋にあてている。

後は濡れタオルをかぶせて寝かせておけば自然に回復するだろう。

熱中症が重症になる前でよかったー。


「それにしても、もう少し体の異変には敏感になった方がいいと思うけど」

「あ、ああ。実は外国にいたときは結構な寒冷地に住んでいたんだよ。だから暑いのに慣れてなくって」

「へー。って、外国?」

「言ってなかったっけ。僕、帰国子女なんだよ」

「……そうだったんだ」


どおりで、少しきざっている割には押しが強くないと思った。

外国のノリなら納得だ。

相手が乗らなければ深くは突っかかってこないのだ。


「今日は付けてるんだね」

「ん?」

「カチューシャ。時々見かけるから」

「ああ」


そう。

時々つけてる。

家にいるとき限定にしようと思ったのだが、結構使い勝手がよく、ヘアピンよりも楽なのでつけていることが多くなった。

まあ、どこか遊びに行ったりするのなら断然ヘアピンを使うが。


「まあ……形見には違いないし」


これは、豊橋和希にとって、最後に残された家族との思い出の品だった。

それを知っている大家さんなんかは付けているのを見て、ちょっと涙を流していた。

あの人は本当に世話焼きだ。

パートも、預かり児童の仕事をしているらしい。

そういうことが好きなのだ。

和希の話を聞いて、真矢はちょっと笑った。


「へー。いいね。似合ってるよ」

「いや、似合ってないのは分かってるから。明らかな世辞はいらないから」

「…………」


イケメン面が苦笑している。

まあ和希もそんな理由よりは単純に便利なので使っているだけだし。

これがあると髪が邪魔にならなくていい。

化粧水を塗るのもやりやすいし。

そろそろぬるくなってきたと思い、真矢にかぶせた濡れタオルを取り換えた。

麦茶も冷蔵庫に入れる頃合いだろう。

そういえば、この前大家さんが知り合いにもらったと言っていたそうめんのおっそ分けがあった。

熱中症の人間もいるし調度いいか。

そう思って器具をあさっていると。


「何?」


真矢がこっちを見て笑っていた。


「いや。和希さんてすごく女性的だったんだなー、と思って」

「は?」


(どういう意味だそりゃ)


女視点と男視点、両方から見てもその言葉は侮辱にしか感じなかった。

女なら今までどんな目で見ていたんだととらえ、男なら単純にムカつく。

今回は前者としてみてやろう。

でも、これでも結構和希は女になり切ってやっていたつもりだ。

若干帰ってこられなくなりそうな恐怖も覚えてはいたが。


「いや。なんだか、色々と文句を言いつつも優しく接してくれているし。家事もできて凄いなーと」


ゴンッ


「あでっ」


和希はおたまで一発殴った。

少しむかついたのだ。


「私が家事ができるのは、やらなきゃいけなかっただけだよ。優しいというなら………何でだろ?」

「ははっ。それには意味はないと思うけどね。あでっ」


こいつは……。

本当にずばずば言うやつだと思う。

あんまり遠慮しないやつだ。

それでいて、相手の嫌がることは深くはしないやつでもある。

矛盾している気もするが、メリハリがある。というのだろうか。

まあ、そんな感じだ。

それにしても。

どうしようか。

扇風機は真矢に取られてしまって、本格的に暑い。

水と塩で脱水は防いでいるが、それでもだ。


「高校通うことになってもこの暑さが続くんだよね…はー」

「え」

「?」


和希が熱さに愚痴ると、後ろから真矢の驚く声が聞こえた。


「どうかした?」

「和希さん。学校行くの?」

「そうだよ。夏休み開けたらね」

「どこ?」

「西揚羽」

「それって。僕の転校先なんだけど」

「えっ」


マジか。

ずいぶんな偶然だな。


「ははっ。うれしいな。同じ学校に二人も知り合いがいるなんて」

「二人って、もう一人は友達?」

「うん。向こうは僕だって分からないだろうけどね。そうそう、和希さんと同じ名前の人だよ。宮澤和希って言って……え?」


カランッ


和希はそれを聞いておたまを落としてしまった。


「え、どうしたの? 和希……さん?」


和希は振り返り、ひきつった目で真矢を見る。

それから飛び付いて、真矢の胸倉を締め上げる。


「え、ちょっ」

「どこで聞いた」

「へっ?」

「その名前どこで聞いた」

「え、えっと。本人だよ。ほら、美和野神社ってあるでしょ。そこで、その時は夜だったんだけど。わっ」


和希は両手を離した。

間違いない。こいつは彼女だ。

そういえば苗字聞いてなかった。

彼女は桜という苗字だった。

これで真矢の苗字が一致したら、成立する。

転校生。

帰国子女。

一人暮らし。

西揚羽高校。

十六歳。

それらのキーワードが全てそろった。


「真矢」

「えっ、何?」

「お前の苗字ってなんだ?」

「は?」


和希は急に男言葉になった。

こいつが本物ならそれで問題ない。


「苗字」

「さ、桜だけど」

「さくらあああああああああああああああ!」

「うわあっ」




真耶だった。

真矢は真耶、さくら真耶まやだった。

和希があの時であった、黒髪の女の子だった。

どうやら真耶は和希と一緒に神様に願った時、和希の友達になる、という願いの他に。

『男の子に生まれてくればよかったのに』

という願いがあったらしい。

そしてその希望通りの結末になった。

真耶は真矢と名を変えて、男になった。

でも桜真耶に起こった変化はそれだけだったようだ。

それ以外は特に変わった部分はなく、過去が男にすり替わったというだけだった。

生活環境含め、人間関係など何もかもが変わり、記憶の混流とか、多くの苦労をしている和希とは大違いの好待遇だった。

しかも。


「結構始めからノリノリだったんだよね。願い叶ってラッキーみたいな、ぐほっ」


おたまでその顔面殴った。

後で洗っておこう。

それと、中身女だと分かっていても、殴るのにはあまり躊躇がなかった。

本気でむかついたのだ。


「こっちが本気で苦労してるっていうのに~」

「ご、ごめん。まさか本当に願いがかなうなんて……そもそも、和希君が女の子になっているなんて思わなかったし。というか、態度とかをとっても、本当に別人にしか見えなくて」

「そういう風に接してたんだよ。この体で前みたいに振舞えっていうのがまず無理あるし。そもそもこうなる原因はお前じゃねえかっ」

「でも和希君も一応願いはかなったんだし」


ヒュン


おたまが空ぶった。


「うわっ」


避けた真矢に、和希は冷たい目を向ける。


「本気で言ってるのか? もし本気なら……ふざけるなよ」


和希は静かに、それでいて本気で怒っていた。


「失ったものが多すぎるんだよ。こっちはそれの代わりに家族との繋がり断たれたんだぞ。ただ性別入れ替わっただけの奴に何が分かる!」


和希は泣いていた。

家族を失った。

生きているけど失ったのだ。

ずっと気にしないようにしていたのに、抑えられなくなってしまった。

姉さんと別れたとき流れ、真矢に初めて会った時止まった涙が、真矢の正体が分かってから、再び流れ出す。


「しかも、豊橋和希の記憶も入ってきて……そっちはもっと辛くて。どのみち家族はいなくなってて。本当に、何が分かるって………くっ、あああああああ!」

「……………ごめん。ごめんなさい」


真矢の胸倉をつかんで泣き叫ぶ和希に、真矢は静かにそう言った。


「僕の……私のせいでごめんなさい。辛い思いをさせてしまって。本当に…ごめんなさい」


真矢は、本心から謝っていた。

和希の苦労、苦闘を感じ取って。本気で悪いと思っているのだ。


「あ、ああ、ああああああ」


でも和希は泣き止むことができなかった。

確かに真矢のせいだったかもしれない。

正確には真耶のだが。

でも、真耶だってこうなることは予期できなかった。

分かっている。


「真矢は…何も悪くない……分かっては…いるけど。でも……今だけは」

「うん。いいと思う。好きなだけ泣いた方がいいと思うよ。そうしないと…壊れちゃうよ」

「う、あああああああああああああああああああああ!」


和希は、真矢の許しを得て、思いっきり泣いた。

気が済むまで。

涙が枯れて、出なくなるまで。

ずっと泣いた。

好きなだけ。泣かせてもらえた。




「ごめん」


しばらくして落ち着くと、和希は静かに言った。

それに真矢は頷いて返してくる。


「もう大丈夫?」

「まだ、ぐちゃぐちゃだけどね。でも大泣きはもうしなさそう」

「そっか」


和希は、豊橋和希に戻った。

真矢も、真矢として接してくる。

もはや目をそむけてはいられなくなった。

この現実に。

そろそろあきらめてきたところだ。

いつまでたっても、和希は宮澤和希には戻れないのだ。

ここにいるのは豊橋和希で。

たとえ中身が宮澤和希であろうと、それは変わらない。


「こっちも割り切るしかない」

「えっ」

「少なくとも。この体になって。本当の意味での友達ができたのは五年ぶりだしね」

「………そんなにいなかったんだ」

「うん。顔の怖さでみんなビビッて離れていったからさ。俺ら友達だよな、とか言って、ただからんでくるようなやつを除けば他は一切いなかったよ」


和希は赤くなった目で遠くの方を見た。

だから、今の方がマシなのかもしれない。

姉さんと離れてしまったことを除けば。

あれでも肉親には違いないのだ。

家族じゃなくなった。

その事実だけが悲しい。


「豊橋和希の気持ちが分かるよ。死にたくなる気持ち。でも、私は死ねない。生きたいから……それに」

「それに?」

「その程度で死ぬようなら、バイトに落ちたときにもう死んでるしね」

「は、ははっ。そうだよね」

「うん。そう」

「「はははははっ」」


二人は笑った。

お互いの情報を共有しあって、理解し、これからに踏み出せた。


「…そうめん茹でるよ」

「うん」


まず食事から。




ズズッ


ズッ


二人は茹でたそうめんを、氷の入った汁に入れて食べていた。

クーラーのない環境にとっては、一番健康的な涼み方かもしれない。


「真矢」

「なに?」

「これからは真矢って呼ぶけどいい?」

これに真矢は一瞬、そんなこと? という顔をしたが、すぐに頷いた。

「もちろんいいよ」

「じゃあ」


ここからは和希の提案だ。


「晩ご飯は食べに来なよ」

「いいの?」

「その代わり、いくらか協力してもらうけどね。女の子の生活って、いろいろ面倒だし。まずこの涙の跡を隠す方法とか」

「そういうことなら喜んで」

「契約成立」


和希はニコッと笑った。

それに真矢は「あれっ」と言った。


「どうかした?」

「いやー。なんか今、ちょっとドキッとしちゃって」

「はっ?」


(何それ気持ち悪い)


とはさすがに言えない。


「変だよねー。性別変わったからかな。趣向とかも多少変わってきたのかも」

「……。それはあるかも。言葉使いは慣れだとしても、やっぱり環境が変わると人間多少なりとも影響を受けるのかな」


和希は「うーん」とうなって考えてみる。


「そういえば、まず最初に羞恥するポイントが変わった気がする」

「あっ、それ僕もだ。僕も上半身は見せても恥ずかしくなくなったよ」

「大体どのくらいで?」

「三十分くらい?」

「順応早すぎでしょっ!」


そういえば真矢は、望んでこの姿になったんだった。

願いがかなう前から多少の心の整理はついていたのだろう。


「でも、さすがに性の同一性障害持ちとかじゃなかったでしょ」

「うん。あのころは本当に女の子だったよ。でもちょっと男の子へのあこがれは強かったね。好きになるというよりも自分がなりたいって感じだった」

「大分特殊だね」

「自分でもそう思うよ」


どうやら桜真耶はお姫様気質というより、王子様気質が強かったらしい。

守られるよりは守ったりするのが好き、という感じだ。

特にこの前の『チンピラから困っている女の子を助ける』というような状況は、真耶にとって最高に燃える展開だったようだ。

それが勢い余って『男に生まれたかった』になったのだ。


「そんなんで本当に男になれるんだからすごいよ」

「だね。でも後悔はないよ」

「それは、羨ましい……かな」


そんな話をしていたら。


ガチャ


「和希ちゃん。ちょっといい?」


合いカギによって施錠されていたドアが開き、一人の女性が部屋に入ってきた。

まったくもってセキュリティの意味がない。


「大家さん……せめてチャイムくらい鳴らしてください。着替え中とかだったらどうするんですか…」

「あっ、ごめんね。つい癖で。でも和希ちゃんがそう言ってくれるようになってよかったわ。って…どうしたの、その跡?」

「あ……これは…」

「すみません。僕のせいです」


和希が目の下の跡をどう説明したものか悩んでいると、横から真矢が答えた。


「真矢君。来てたんだね。何があったの?」


大家さんは真剣に真矢に聞いた。

この人は和希の保護者としてしっかりと和希の周りを監督する義務があるのだ。

それに真矢は。


「僕が刺激させてしまったんです。それで大泣きさせてしまいました」

「……。そっか」


大家さんは柔らかい微笑みを向けてきた。


「激しかった?」

「はい。三回ほど殴られました。おたまでですけど」

「よろしい。では、以後気をつけなさい。私も一回やって通った道よ」

「そうなんですか?」

「出会ったばかりの頃ね。ねっ、和希ちゃん」

「まあ…」


その記憶は既に視た。

ひどいものだった。

あちこち引っ掻いて、とにかく暴れて。

大家さんを何度も蹴って叩いた。


『こないでよ!』


そんなことを叫んでいた。

抱きしめて安心させようとして、それが逆効果だったのだ。

ハグが禁止になった、その訳である。


「あれは、その」

「いいよ和希ちゃん。あなたは悪くないから。考えが足らなかった私が悪かったの。って、そうそう。こんな暗い話しに来たわけじゃないのよ。真矢君もいるならちょうどいいから聞いて」


パンっ、と手をたたいて、大家さんは慌てて話題を変える。


「? 本格的にエアコン始動してくれるんですか」

「それは我慢して」


和希はがっくりと肩を落とした。


「真矢なんて、熱中症で倒れたのに」

「え、それ本当?」

「はい」

「だめよ。ちゃんと塩分も取らないと。水だけじゃ脱水は防げないからね」

「「それだけの問題じゃないです」」


二人は切実な思いで答えた。

それに大家さんは。


「だって、エアコンて、それだけで結構値段食うのよ? 住人に買ってもらうにしても、出ていくときに何割か返済必要だし。全部こっちで買うとなると、その分は家賃増量しなきゃいけなくなるの。そうなると他の住民さんたちから苦情出ちゃうだろうし。簡単じゃないのよねー」


結構まともな返答をされた。


「まあ、私の部屋に涼みに来るなら全然問題ないけど」

「は?」

「言ってなかった? 私の部屋には付いてるのよ。エアコン」

「「……………」」

不公平だ。


そう二人は感じた。

ちなみに大家さんの用事というのは、明後日ちょっといったところに美和野神社とは別の、大きめの神社でお祭りがあるから一緒に行かないかというものだった。

真矢は興味本位で当然「行く」と答え、和希はここ何年か行っていなかったので、久々に行ってみようと思った。


「お姉さんのことは平気?」


と、大家さんは耳打ちしてくる。

豊橋和希の夏祭りは、姉と二人で回るのが通例だったのだ。

だからまた頭痛を起こす可能性はある。でも。「行きます」と答えた。


「OK。聞いてよかったわ。何かあればすぐに言ってよね」

「はい」


これで二人とも行くということになった。

ところで。


「そもそも、なんで大家さんは私たちを? 友達と行けばよかったんじゃ…、社会人でも繋がりはありますよね」

「……………。実はみんな、彼氏持ってたり、もう結婚して子供産んでたりするのよ。私、今年は他に誘える人がいなくて」

「あっ」


大分大家さんも切実だった。


「だ、大丈夫ですよ。大家さんは仕事柄出会いがないだけで美人ですし。きっといい人が見つかりますよ。特に今回のお祭りとか、チャンスでしょ」


流石真矢。フォローがうまい。

ちょっと前まで、正体を知らなかった頃ならイラッと来ていたところだ。


「そ、そう? なら頑張ってみようかな」


大家さんは真矢の励ましでやる気を出した。

さらに和希もそのやる気に巻き込まれた。


「じゃあ、それに備えて一緒に準備するわよ」

「ええっ」


という具合に、お祭りの準備は慌ただしく進められた。

真矢は素知らぬ顔で、悠然としている。

なんだか…………不公平だ。


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