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この世界はどうしてこんなにも  作者: 崎坂 ヤヒト
一章 二重人格に至るまで
4/13

この世界はどうしてこんなにも優しい


ガバッ


和希は勢いよく跳ね起きた。

夢…か。

嫌な夢を見た気がする。

なんだか、大切な夢のような気がした。

炎と家族。


(これって……)


ブンブンと首を振った。


『私もお姉ちゃんみたいに料理うまくなりたい』


「うっ」


これはもしやと思ったが、ほとんど確信していいだろう。

これは記憶だ。

和希の記憶。

今、ここにいる豊橋和希の、体の記憶だ。


「設定もここまで来ると……えぐいな」


和希は少しだけ、神というのを恨んだ。

体も元に戻ってはいないし。

本当にこの体で過ごさなきゃならないのか。


「まあ。それならそれでいいけどね」


もうちょっとくらいならこの体でもいいかも。

そんなことを思ってしまっていた。




二日後

ピンポーン

インターホで、中の人物を呼ぶ。

すると中からはぼさぼさ髪のジャージの女性が出てきた。


「はぁーい」

「あの。大家さん」

「あれ、和希ちゃん。どうしたの? こんな朝早く」

「その。大家さんにお願いしたいことが」

「えっ、何!」




「へー、そっかー。ショッピングね。リハビリにはちょうどいいもんねー。もちろんついてってあげますとも。今日はパートもなくて暇だったしねー」


大家さんは着替えてくると、そう言って抱きしめてきた。


(うわっ)


大家さんは胸も結構あって長身だし、そんなことをされるともろに顔が埋まってしまって。

和希は真っ赤になって、身もだえした。


「うー、う~」

「あ、ごめんね」


大家さんはとっさに離れる。

それに和希は赤い顔を俯かせて。


ズキッ


頭を押さえた。


「うっ」

「あっ、ごめん! ハグは禁止だったね。忘れてたよ」

「いえ……大丈夫です」


ハグは禁止。

その訳は今和希が襲われている頭痛と関係がある。

夢の中に、姉に抱き付かれている状況が結構あった。

この三日、和希は同じ種類の夢を見続けていた。

全て、この体、豊橋和希の記憶の夢だ。

まるで、この体の過去を知らない宮澤和希の魂に、神が夢を通じて教えようとしているみたいだった。


「はー」

「で、なんで僕まで呼ばれたんですか?」


和希の隣には、真矢が立っていた。


「はははっ、なんとなくよ。どうせ暇でしょ。それに男の意見も必要だと思うし」


いや、男の意見はすでに間にあってます。

とは思っていても言えなかった。

そもそも大家を呼んだのは、服が全然何を選んだらいいのか分からないからと。

後はお金のおろし方を知らないからだった。

そのため、本当に真矢は全然必要ない。


「荷物持ちくらいはしますよ」

「さすがっ、イケメンなだけはあるね」

「ははっ」


何やら和希の知らないところで話が進んでしまっているようだった。




「さーって。じゃあまずは服よね。和希ちゃんに似合いそうなの見繕ってあげる」

「いえ、その前にすることあるんじゃないですか」

「え?」


ショッピングモールに着くと、和希を連れて特攻しそうになった大家さんに、真矢が呼び止めた。


「彼女。お金おろしたいんじゃないですか?」


(お前はエスパーか)


それから、大家さんにやり方を教わって、どうにか和希はお金を下すことができた。

二万ちょい位でいいと思っていたのだが、大家はそれにせめて五万にしなさいと言ってきた。

二万ではろくに買えないと言われたのだ。

女物の服って、そんなに高いのだろうか?

そう思っていると、大家は近くの店から一つの値札を持ってきた。

ゼロが四つ分ある。


「高っ」

「今日はいくらか買うんでしょ。ならもっとおろしておかないと」

「あ………はい」


大家にそう言われ、和希は恐る恐る十二万ほどおろした。

こんな大金持ったのは初めてだった。

それから本当にファッションコーナーに特攻した。

正確には更衣室にだ。


「まずこれ着てみてっ」

「早っ」

「前からちょっと目を付けててねー。和希ちゃんに似合うと思ってたのよー」

「は、はあ……」


今回、値札は見ないことにした。


「どう?」


大家が聞くと、真矢が答えた。


「いいですね。とても綺麗だよ」

「さらっと言う……」


これだからイケメンは嫌なんだと思いつつ、鏡を見て、確かにきれいだと思う。

両肩までは出してしまっていて、鎖骨も見えている。

その代り、なのか知らないが、色の違う二つの輪っかが重なって二の腕を覆っていた。

いや、これは隠さず見せているから、ただのアクセサリーとみるべきなのか。

ただ、下は本当に露出過多だった。

太ももまで見えて、パンツがもう少しで見えそうだった。

さらに今日はサンダルなので本当に生足だ。

そのため、やけにスース―する。


「綺麗、ですけど。下はもう少しどうにかしてほしいんですけど」

「うーん。ちょっと恥じらいの強い女子高生には向かなかったかー」

「ならこれでどうですか?」

「お、さっすがイケメン。慣れてるー」

「え?」


真矢が持ってきたものを、和希は今のものにプラスで試着する。


「…まあ。これなら…いいかな」

「よかった」


真矢が持ってきたのはトランクスくらいのサイズのショートパンツだ。

これで露出はだいぶ削減される。

まあそれだと、綺麗よりも、可愛いという感じになるが。

まあ露出も減ったし、悪くはないかな。

と、思う。

やっぱり女の体とはいえ、あんまり露出しすぎるのには抵抗があるのだ。


「これが最高露出でお願いします」


と、大家には頼んだ。

ただ、それでも大家の場合はちょっと肌を見せたがり、真矢の方は男のくせに、それをいい感じにカバーする衣類や、和希の注文通りの、その中で一番よさそうという物を持ってくる。


(こいつ、どんだけ?)


と、思いつつ、ほとんど真矢のセンスで試着していた。

そしたらだんだんと客の視線はこちらに注がれてきて。

するとそこに店員がやってきて、交渉をしてきた。

いくらか値引きするので、今から二人にうちのブランドの服で歩き回ってもらえないかというのだ。


(ん、二人?)


そこで和希はハッとした。

モデルになりそうなのがもう一人いたじゃないか。




和希と真矢は店の勧めで二着を試着ではなく購入した。

その他の服は四十パーセントオフ。

これだけ九十パーセントオフだった。

さらにその二着で写真を撮られる。

ポーズをとれと言われた時は正直困った。

その後、今日撮った写真は後日ポスターとして張らせていただきますと言われ、本気で驚いた。

とにかくこの服を思いっきり宣伝してほしいらしい。

一応、和希の要望通り、あまり露出のない服だったが、羽織ったものは透けているし、その中は結構露出も多い。

涼しいけど、なんかだまされた気分だ。

唯一要望通りなのは、ロングスカートだということくらいか。

真矢の方は。


「暑くない?」

「まあなんとか」


そう言った真矢は、少し汗をかいていた。

そりゃそうだろう。

この暑い中、真矢に合いそうだからという理由で着せられたのは、長そでに長ズボンなのだから。

シャツは涼しそうなものだったが、それでも暑いだろう。

せめて上だけでも薄手のものに変えてもらうべきだ。


「いや……だい…じょうぶ」


いや汗ダラダラだし、明らかに無理してるだろ。

その後、ほっとくと本気で倒れそうだったので、お店の人に頼んで、もっと涼しいものに変えてもらった。

長ズボンは変わらずだったが、それでも風通しはいいもので、上もいくらか薄いものになった。

ただ店の注文で。


「できればセットで見せたいので二人にはできるだけくっついてもらいたいのですが」


と、言われ、ここはさすがに大家さんがいくらか交渉してくれた。

和希にとって、人との過度な接触はNGだと言ったのだ。

いくらか大家さんが説明すると、最終的に隣に並ぶだけということになった。


「まあ、それなら」

「僕は構いませんよ」

「じゃあそういうことでね。店から離れればそんなに引っ付いている必要もないって言ってたから。はい」


和希は大家さんから一枚のメモ用紙を渡された。

「これは?」

「和希ちゃんが行きそうな店のリスト。アクセショップとかね。和希ちゃんの部屋には置いてないし。髪結んだりしないと料理のときとか邪魔でしょう。単純にお洒落もあるけど」

「え。って、大家さんは?」

「交渉の結果、しばらくは二人だけで歩いてほしいって。合流場所書いてあるから、またそこで会いましょ」

「えっ!」


それはつまり。

隣へと視線を向ける。

そこには真矢がいた。


(こいつと二人きりかよ)

「今からでも割り引いた分払ってこようかな」

「結構ひどいこと言うよね、和希さんて」

「人と強く接するのが苦手なのよ。分かってあげて」

「まあ境遇は聞いているので。でも僕ちょっと嫌われ過ぎている気が」

「毎晩差し入れ貰ってるのに?」

「「知ってたんですか!」」


はもった。


「まあ、和希ちゃんの成長を見守るって名目でね。少し見させてもらったわ。まあ誰から誰に対しての差し入れかまでは言ってなかったけど」

「あ……」


しまった。


「えーっと。でもあれは…あー、そういうんじゃないのに」

「うんうん。大丈夫よ。和希ちゃんが少しずつ人と接するための手段だったんでしょ」


大家さんはちゃんと分かってるから、という風に笑った。


「だから真矢君はあまり刺激するようなことはしないであげて。約束。お願い」

「分かりました。彼女の意見は最優先にします。何かあれば大家さんに掛ければいいですよね」

「うん。それじゃあ、頼んだわよ。ただの荷物持ち君」

大家さんはそう言ってその場からいなくなってしまった。

「あれでちゃんと保護者なんだね」

「…………」


大家さんとの出会いは、昨日の夢に出てきた。



豊橋和希は症状の安定化に伴い、退院することが決まった。

でも、あくまでも安定化しただけで、またいつおかしくなるかもわからない。

そんな人間がまともに一人で暮らせるわけはなかった。

しかし、彼女の特性上、大勢と一緒にするわけにもいかない。

やはり完治するまでは無理なのか、そう思われたところで、和希の保護者になってもいいという物件の持ち主がいた。

それが大家さんだった。

一人暮らしをさせてもらえるという環境下で、さらに身の回りの世話もしてもらった。

病院から話を聞き、時々小さいミスはあれど、和希に親身になって接してくれた。

でも、和希の容体は悪化してしまったのだ。

大家さんは優しくて、優しすぎて、姉を思い出すきっかけになってしまった。

そのせいか、和希は包丁が握れなくなり、料理するところを見ることすらできなくなってしまった。

姉と過ごした記憶と、その末路が繰り返されてしまう。

それがだんだん食べ物や飲み物の不摂取へとつながり、餓死するところまでいきかけた。

大家さんは何も悪くない。

けれど、近い存在になりすぎてそれは起こったのだ。

優しすぎたから。



あまりにも悲惨な夢だった。

だれも救われない。

そんな夢だった。

この体にも過去がある。

設定という考えは、日を重ねて、夢を見て、抜け落ちてしまった。

もしかしたら豊橋和希という人間はもともと存在していて、その魂の代弁として、今の和希が加えられたのではないかという考えが浮かんでくる。

願いをかなえる代わり、贄にもなった。

そういうことなのだろうか。


「…さん。和希さん」


ハッ


「え、あ、な、どうしたの?」

「まずどこに行こうかと思って。荷物は僕が持つけど、ある程度の目星つけとかないと運ぶの大変だし」

「あ、ああ、うん。それじゃあどこが一番近い?」

「ここからならアクセサリーが一番近いね」


アクセか。


「ならヘアピンとかほしいかな」

「分かった。ならこっちだよ」

「なんかやけに詳しい…ね」

「一回来てるからね。この街に来た時、結構いろいろ買ったよ」

「女物を?」

「えー…っと。少しちらっと見ただけだよ。ははっ」


今、はぐらかされた?

何かあるのか?

そうは思うが、追及はしなかった。

もう、ここら辺は暗黙の了解になりつつある。

デパート内部では、狙い通り真矢と和希が注目の的になった。

みんな口々に「綺麗」「カッコいい」「お似合い」とか言ってる。

どうやら今の二人は非常に絵になるらしい。

でも真矢はそれをあえて無視してくれた。


「着いたよ。まず何から見ようか」

「あ、じゃあ」


やっぱり最初はヘアピンだった。

前髪が長くてちょっと面倒くさいのだ。

おでこを出したいわけではないが、せめてはらう必要がないくらいにはしておきたい。


「和希さんには花柄なんかが似合うと思うよ」

「花柄?」

「髪にちょうど合うかなって」


真矢は例えばと、一つのピンを取って、和希につけてくる。


「どうかな? ひまわりっぽくていいと思うんだけど」

「ちょっと大きすぎ。もっと小さいやつで」

「うん。分かった」


真矢は一切文句を言ってこなかった。

本当に和希の意見を最優先に考えているのだ。


(こいつ)


なんか、すごくいいやつだと思った。

優しいやつなのだろう。

でも、和希に合いそうなものを探している真矢は、どこか楽しそうだった。


「よし。これらでどうかな」

「え、四つも?」

「うん。じっとしてて」


真矢はそう言うと、一本ずつ和希の髪をかき分けて付けていく。


「っ」


その仕草に、和希は軽く頭が痛くなった。

なんとなく夢に出てきた方の姉さんに似ている仕草だったからだ。

でも何とか耐えて、真矢に悟られないように少し離れた。

そして鏡を見てみる。

そこには片側に水色とシルバーの小さな花のついたやつ。もう片方に同じくシルバーのヘアピンがついていた。

ちょっと雰囲気が変わった気がする。


「へー。あれ、三つ?」


あと一つは…まだ真矢の手の中にあった。

それはさっき和希が断ったやつだ。


「やっぱり似合うと思うからさ。一つ持っておかない?」


そこまで押すならと、それも購入することにした。


「ゴムはどうする? いろいろあるけど。リボンでもいいし」

「そこはもう、この袋詰めでいいかな。壊れやすいって聞くし」

「君がそれでいいというなら、それでいいよ」


あと、あまり乗り気ではなかったのだが、真矢の勧めで二種類ほどネックレスも購入した。

もちろん宝石なんてついてない安いやつだ。

さらには何がいいのかさっぱり分からないブレスレットも少し。

というか、真矢って。

やけに女の子の事情に詳しすぎやしないだろうか。


「靴とかも買う?」

「……………」

「あれ? 急にどうしたの、和希さん?」


和希の表情は少し曇った。

やけに優しすぎる真矢の態度。

女の子の事情に詳しすぎるし。

彼には何かある。


「もう行こう」

「え、でもまだ全然回ってないけど」

「いいから」


なんとなく、この状況を続けたくはなかった。

落ち着かないのだ。

真矢はそれ以降しゃべらなかった。

本当に、今は和希のことを一番に考えているみたいだ。




程なくして、大家さんとの待ち合わせ場所であるカフェに着いた。

そこでは大家さんがすでに待っていた。


「やっぱり早くに来ちゃったね」

「え?」


その言葉に反応したのは真矢だった。


「じゃ、目的は済んだし帰ろうか」

「はい」

「え……っと」

「和希ちゃんがもう限界ってことよ。人との過度の接触は避けるべきなの。分かった?」

「あ………すみません。考えが及んでいませんでした」

「ん、分かればよろしい」




帰宅後。

和希はベッドへと倒れた。

床には買った衣類の袋が並べられている。

和希は体に異変を感じていた。

豊橋和希のトラウマが、自分にも降りかかっているのだ。

二つ目の人生の記憶が入ってきたことで、少しずつ和希自身の心に変化が起こっている。

間違いなく夢で見る豊橋和希の記憶は、少なからず今ここにいる和希に影響を与えているのだ。

特に、優しい姉との記憶が。

環境の類似からか、一番和希に影響が深い。


(ちょっと、きつい……かも)




また夢だ。

またお姉ちゃんの夢。

今日は二人で買い物をした。

二人で似合いそうなお洋服を探して回った。

お金はそんなに持って来てなかったからあんまり高いのは買えなかったけど。

でも安めのものでいいものが買えた。

お姉ちゃんが見つけてくれたものだった。

それ以外にもう一つ。

こっちはそれからずっと身に着けている。

それは。




「はっ」


どうやら眠ってしまっていたみたいだ。

また夢を見た。

二人の少女が買い物をしている夢だ。

和希はそこで、せっかく買った服が、まだ袋の中であったことに気付く。

引き出しから鋏を取り出して、値札を外していく。

それにしても、今回の夢は暖かかったな。

つらい過去は入っていなかった。

姉との楽しい思い出。

なんか、豊橋和希という少女は、大分お姉ちゃん子なんだなと思ってしまう。

何故なら、和希の夢に出てくるのは、大好きな姉にべったりしているシーンばかりなのだから。


「あっ、そういえば…」


和希は思い出したように、タンスを開けた。

そして下着の奥にあるものに手を伸ばす。


「あった」


それは夢の最後に出てきたものだった。

豊橋和希のお気に入り。

それはカチューシャだ。

和希はそれを実際につけてみる。

鏡を見ると、正直あんまり似合ってはいなかった。

これは小さいころに買ってもらったもので、そのころはまだ髪も短かったのだ。

しかも大分焦げてしまっている。

火事のせいだろう。


「不思議と……これは平気なんだよな」


豊橋和希の記憶に触れるときは、高確率で頭痛が襲ってくる。

でも、このカチューシャだけは平気だった。

理由は不明だ。

なんとなく、和希は部屋の中限定で、たまにそれを付けることにした。




今日は楽しかった。

そう思って真矢は机へと向かった。

机にはコンビニで買ったパンが置いてある。

これが真矢の夕食だ。

昼食は三人で外食した

その時、和希は大家さんに会うと少しだけ元気になっていたように思う。


「やっぱり、あんまり信用されてないのかな」


そんなことを思ってペンを持つと。

ピンポーン

インターホンが鳴った。

この時間に鳴るのは珍しい。

いつもは夜中に差し入れが置かれて終わりなのに。

ドアを開くと、そこには和希がいた。

その頭には少し焦げ目のついたカチューシャを着けている。

その手には。


「え」

「今日のお礼。いろいろ世話掛けたしね」


そう言って渡してきたのは、お盆とその上に置かれたから揚げやサラダ。お味噌汁にご飯と、まるで定食のようなメニューだった。


「えーっと。夕食に御呼ばれってわけではなく」

「後で返しに来てくれればいいから」

「だよね……」


やっぱり早々警戒を解いてくれそうにはなかった。

でも、これは彼女なりのお礼なのだ。

事実助かっている。


「分かった。今までの分も一緒に返しに行くよ」

この世界は優しさで溢れている。


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