神に愛されし狂った聖女
とある世界。とある国の、とある教会の一室に聖女目録という歴代の聖女の情報が集約されている一冊の文献がある。
その文献に載っている聖女で一際注目視されている聖女が存在する。
彼女の名前はアルーシャ・フェリーナ。
生まれはバリオン公国の辺境の田舎。生まれ持った治癒魔法の技能と、すべてを見通す千里眼を持つ慈愛と素直さに満ちた少女であった。
だが、少女はその力のお陰で家族と引き離され、少女の幸せを奪ったが、少女の持ち前の明るさで多くの人を癒し救った。だが、そんな少女のより所である教会は彼女の存在を裏では嫌っていた。
腐敗した教会は彼女のもつ千里眼によって自分の汚職や賄賂などをばれるのを恐れ、いつのまにか教会の中でも孤立した存在となっていた。
聖女はいつしか成長し、15歳になると見紛うばかりの美少女となった。
彼女を崇拝するもの、彼女を嫌うもの様々なものが居たが、彼女の居場所だけは誰も用意しなかった。
だが、そんな少女はある日、突然狂ってしまう。
突然独り言をしゃべったり、突然笑ったり突然泣いたり。
少女はいつも1人なのにはしゃいでいた。いつも嬉しそうに楽しそうに
人々は不安を覚えた。
少女はいつもどおり、困った人が居れば助けるし、傷付いた人が居れば癒す。
なのに、いつも1人で楽しそうに笑ったりするのだ。
一体どっちが本物の彼女なのだろうか…人々は少女に不安を募り始める。
ある日、少女を熱狂的に愛する1人の商人が居た。
彼は教会に多額の献金をし、いつも少女との会談を望んだ。
教会としても多額の献金をしてくれる商人と嫌いな聖女。教会としては2人が結婚でもすれば良いことだらけだったのであるが、ある日商人は強行に出てしまう。
少女を誘拐しようとしたのだ。
商人に雇われた誘拐犯は、教会に帰る道の道中に襲った。
だが、その襲撃は成功しなかった。
少女に伸ばした手は途中で弾かれ、腕があらぬ方向へと向いていた。誘拐犯はその突然の出来事に唖然とするが、再度手を出したときには誘拐犯達の意識はあっという間に暗闇に落ちていった。
少女が撃退したわけでもない。
なのに、返り討ちにあった誘拐犯達。人々は少女をこう呼んだ。
『神に愛されし狂った聖女』と…。
いつしか聖女は、多くの人に尊敬、崇拝されるが、彼女の狂った部分は直らなかった。
ますます力を付けていく聖女を恐れた。協会は彼女の言動に目をつけ、彼女を魂を悪魔に売った魔女と叫び糾弾した。
そして聖女は教会に捕まり、火あぶりされそうになる。
だが、広場につれて来られた少女を捕まえていた者たちは一人の少年によって倒され、無力化された。
そして、聖女が火あぶりにされると聞いて集まった街の民衆達に聖女は教会の腐った真相のすべてを打ち明けた。
神に愛されし狂った聖女の発言を信じるもの信じないもの、または興味もない者…様々なものが居たが、公国は実態の調査し、その汚職が発覚したのだ。
民衆は教会の腐敗を告げた聖女に感謝するが、その時すでに聖女は街にいなかった。
そして聖女の失踪から10年以上が過ぎたある日。
ルーナ・フェリーナと名乗る新たな聖女が登場する。彼女はアルーシャ・フェリーナの娘と語っていたという。
そしてこのルーナ・フェリーナという聖女も、慈愛と優しさに満ちた立派な聖女で多くの人から支持を受けた。
~~~~とある少年の話~~~~
日本に1人の少年が居た。彼の名前は臼井影汰
公立学校に通う普通の生徒であった。
だが、そんな彼はある日、突如異世界に飛ばされる。
彼は突然移り変わった景色に夢かと疑ったが、これが現実だと実感すると、呆然としてしまった。
だが、そんな彼にはひとつの特殊能力、チートとも呼べる能力が備わっていた。
その能力の名は『インビジブル』自身と装備する者の透明化と自身から出る音を消すというスキルだ。
当初このスキルを貰った彼は喜んだが、このスキルには欠点があった。
それは、”解除不能”なのだ。
これのせいである意味呪いやバットステータスとも思えるものだった。
彼はどこへでも行けた。
王宮や裏組織の隠れ家や様々なとこまで。
だが、彼を見つけてくれる人は誰一人存在しなかった。
やがて、彼は自分はここに居てはいけない者じゃないのだろうかとさえ思って自殺まで考えるようになっていた。
そして路傍に佇んでいると、たった一人の少女が彼を心配そうに見つめていた。
彼は少女に気づき、後ろを振り返るが誰も居ない。こんな夜遅くには少女と少年の2人しかいなかった。
少年は言った。
僕が見えるのか?と
少女は言った。
?もちろん見えますよ。と
やさしく微笑む少女に彼はこの世界にきて初めて自分を見つけてくれる存在に出会えた。
彼は少女とともに行動するようになる。
少女と少年すぐに意気投合し、仲良くなったが、2人ともどこか似たところがあったのだろう。
居るようでいない者扱いされる少女。いないようで居る者の少年。
少年は、そんな少女の境遇を知ると少女を守る決意をする。
そんな、ある日少女との帰り道で突然の襲撃を受けた。だが、それは少年の手によって撃退した。
そんな彼等は時がたてばたつほど互いに惹かれあっていった。
そんなある日。少女とともに居たのだが、少年は突然の攻撃を受ける。
その攻撃した者は協会の人間であった。
協会は彼女に異端者認定を出したのだ。
悪魔に魂を売った哀れな聖女と…
少年は強い。それこそ、少女を守るために必死の努力をした。
だが、1対多数それも守って戦わねばならなかった彼に勝ち目はなかった。
少女は、少年を助けるために投降した。そのときの少女の顔は少年が忘れられないだろう。
お元気で…今までありがとうございました。
そして最後にゆっくり微笑む彼女の笑顔には涙が伝っていた。
少年は悔しかった。
少女を守るために一生懸命の努力をしてきたのに、結局少女を守り通すことはできなかったのだ。
少年は少女を救い出す、方法を探した…そしてある一つの話を思い出す。
それはこの近くにある霊峰の頂上に1本の剣。聖剣が突き刺さっているという話だ。
聖剣は少女から聞いたお伽話で知っていた。
だが、霊峰には多くの魔物が存在し、どれもかなり強いものだった…。
だが、それは少年の今まで積み上げてきた努力と少年のスキル「インビジブル」で突き進んでいった。
そして少年はとうとう、霊峰の山頂に着き、1本の剣を見つける。
白く輝く綺麗な剣。
そこに確かに聖剣はあった。
そして少年は聖剣えお手にする。その絶大な攻撃力は触れるだけで分かった。
だが、聖剣の能力はそれだけではなかったのだ。
聖剣のもう一つの特殊能力…それは「スキル無効化」なのだ。
少年のスキルの「インビジブル」は聖剣の特殊能力によって打ち消された。
そして、少年は全力で山を駆け下り、街に向うと今にも火あぶりにされそうな少女の姿があった。
少年は全速力で駆け寄り、彼女を火あぶりにしようとする協会の者を聖剣で次々と倒していく。
そして少年は少女を救い出すと、お互いに抱き合い。キスをした。
そして、少女は振り返ると、街にいる民衆に真実を語ったのだ…。
少年と少女はそのあと逃げるように街を去った。
そして、少年は少女にプロポーズをする。そして少女からの返事は、はいであった。
少女は笑顔に涙を伝わせる。
だけどその笑顔は、前の悲しい笑顔ではなく、うれしい笑顔であった。
そして少年と少女は森の仲でひっそり暮らし、一人の子供が生まれる。
その子供の名前はルーナ・フェリーナ
後に聖女と呼ばれる少女であった。
うーんwwwwちょっと前に考えたチートスキルがあったけど、上手い具合に小説短編に纏められたかな・・・?