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第八話

賑やかな喧騒に俺は眩暈がしそうだった。

父様に連れられてやってきた王都は一言で言えば「とてもファンタジー」だった。

何故ならば、王都は「浮島」だったのだ。巨大な湖の上に浮かぶ巨大な島。それが「王都」だった。

馬車の中から見たときは顎が外れるんじゃないかというくらいポカンと口を開けていたらしく父様に面白そうに顔を覗き込まれた。


だって、島が浮いているんだよ!?

どこの天空の城かな!?

動力は「飛●石」かな!?


その時の俺の瞳はキラキラ輝いていたと、後で父様が母様に笑って教えていた。

どうやってあの島に行くのかと思えば、転移陣というものがありそれを使って行くらしい。

飛んで行く人はいないのかと問いかければ「許可証があれば飛んで行くことも可能だよ」と父様が教えてくれた。

ただ、その許可証を得るのには相応の金額が必要で許可証を持っているのは「王族」「貴族」「裕福な商人」「騎士」くらいだという。

もちろんそんな許可証を持っていない俺たちは転移陣の利用者の列に並び順番を待っていた。

ズラッと並んでる間の時間は父様に王都での滞在先になる父様の実家の話を聞いていた。

王国騎士団の片翼である「ヴェントプーソ騎士団」の騎士団長を代々担っているらしい。

騎士団長職は世襲制ではなく、騎士団長を決めるのは御前試合の結果と騎士たちの投票で決まるらしい。


ちなみに片翼ということは、もう一つ騎士団がある、こちらは「テルトレーモ騎士団」という。

この二つの騎士団が大陸でも有名な我が国の双璧ともいえる騎士団だ。


そんな話をしていると転移陣の順番が回ってきた。

父様と転移陣の上に立つと陣がぼんやりと光を放ち視界がぐにゃりと揺らぐ。

反射的に目を閉じると僅かな浮遊感があり父様に肩を叩かれ目を開けると先程とは違う場所に立っていた。


「…うわぁ」

「この出口は市場に直結してるんだ」


そう、転移陣から出るとそこに広がっていたのは活気溢れる市場だったのだ。


「父様、見て回りたいです!」

「そういうと思ってこの出口にしたんだよ」


話を聞いてみると転移陣の出口は選ぶことが出来るらしい。

そして父様は俺が市場に興味があると見抜いて市場に直結の出口にしてくれたらしい。


辺境では野菜や果物の数は少ない。土地に適した物しか育てていないからだ。

しかし、さすがは王都である。色とりどりの野菜や果物が所狭しと並んでいる。


「アル、これお小遣いね」

「いいんですか?」


父様はそう言って俺に硬貨を渡してくれた。

その金額を見て少しなら買い食い出来る金額だと把握して笑みが浮かぶ。

市場だから、野菜や果物そんな食材の店だけでなく屋台も並んでいる。

お肉の焼ける匂いや香ばしいパンの香りが食欲を誘ってくる。


「そうだな、30分後に転移陣の前で集合ってことで」

「父様はどこに行くんですか?」

「実家に連絡してくる、一応貴族街に入らなきゃいけないからその手続きもね」

「ついていかなくていいんですか?」

「アルはお腹すいたでしょう、軽く何か食べて待っていなさい」


そう言って父様は俺の頭を撫でて市場から離れていった。

よし、まずは腹ごしらえしよう。

何を食べようかな?


 

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