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第一話

俺には『前世』の記憶がある。今の俺として生まれる前の記憶。

何故、そんなものが残っているのか、考えても考えても答えなんて出てくるはずが無くて、俺はその記憶を受け入れた。

受け入れざるを得なかった。



俺として生まれて早くも三年の月日が流れた。最近、どうも身体の調子がおかしい。具合が悪い訳ではないが、身体を廻っている力を伴った何かが溢れだしそうな気配がある。

その力は、外から得られたものではなく、どうやら俺の身体の内側から溢れだしているようだった。


「………」


その日も、突然やってきた力の波に俺は迸りそうになる力を何とか身体の近くから離れないように押し留めていた。

この力は油断すると周囲に飛び散り物を壊したりしてしまうのだ。だから、俺は身体の周囲に押し留めながら隠れるように木陰に入り込み、ふくふくとした柔らかな両手を地面に押し付けた。


「………」


飛び散らないように注意しながら両手から大地に力の奔流を流し込む。迸りそうになりながら、ゆっくりと確実に大地に流し込む。身体から溢れそうになっていた力を大地に流し込むと俺は深く息を吐いた。

流石は、母なる大地。全てを飲み込んでくれる。

俺は両手に付いた土を払いながら立ち上がる。

木陰から出る際に周囲を見回すのを忘れない。周囲に誰もいないのを確かめると俺は何事もなかったように木陰を後にする。

チラリと力を流し込んだ土を見ると周囲に比べて黒くなっていた。


そう、何故か力を流し込んだ大地は周囲に比べて肥沃な土になるのだ。何でかは知らないが。

土地が痩せるよりはマシだろうと思い俺は木陰を後にする。


そんな俺の後ろ姿を小さな小さな影が見つめている事に気付かないまま。


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