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第十三話

場所を移して、落ち着いて話をすることになった。

案内されたのはこじんまりとした可愛らしい部屋だった。大きな窓からは温かな陽光が惜しげもなく降り注ぎ、部屋の調度品に柔らかな光を当てていた。

そこに用意されていたテーブルとソファに腰掛ける。四人掛けのソファがローテーブルの左右に置かれその隣にそれぞれ一人掛け用のソファも置かれている。

優に十人は座れるソファとテーブルに今は俺と父様が四人掛けに座り、祖父と祖母おばあちゃまが向かいの四人掛けに座り。伯父と伯母マリーカおばさまがそれぞれ一人掛けに座った。


「さて、今回王都に来た理由をルドから聞いて、その足で陛下に問いただしに行った」


ちょっ、祖父じいちゃーん!!?

父様も、母様もちょっと不敬罪かなって思ってたけど…もしかして最たるのが祖父じいちゃんなの!!??


「さすが父上です。それで陛下の言い訳は?」

「…アルが領地で行っていた土壌改良方法や、温泉をメインとした観光地の開発。その他諸々…一度詳しく話を伺いたいということだ。学園への入学も本来ならば免除ということだったが、先の事を考えて顔繫ぎの場として入学してほしいとのことだったな」

「…成程、確かに書面のみでは伝わらないことも多いでしょうね。顔繫ぎという面も理解出来ます」

「……というのは建前で、レオナルド王子と友人になってほしいと言っていたな」

「…………」


スゥッと父様の目が開かれる。紫水晶アメジストの様に透き通った瞳が侮蔑の色を孕んでいる気がして俺はビクリと肩を震わせた。


「あの馬鹿へいかの言う友人とは、『友人』とかいて後処理係ゆうじんと読むんです」

「ルドは、昔っから陛下に振り回されてたからなァ…」

「笑い事ではありません、兄上」

「まぁまぁ、それでとりあえず五日後に行われる御前試合を観戦してほしいってお達しが来てる。謁見は明日にでも来てくれればいつでも会うってさ」


伯父は屈託なく笑って俺を見た。


「陛下もアルに会いたいってことだろ、可愛い甥っ子な訳だし」

「…甥って? お、私の事ですか?」


動揺しすぎて一人称が『俺』と言ってしまいそうになるのを抑えて問い直すと伯父は目を丸くした。

そして父様を見ると驚いたように言った。


「ルド、お前…言ってなかったのか!?」

「…言う必要を感じませんでしたから。領地にいる限り必要ない話ですし」

「はぁ…アル。お前の母親は、今の陛下の妹君だ。つまり王妹殿下おうまいでんかってことだ。つまり陛下は俺と同じでアルの伯父にあたる」


伯父の言葉に俺は父様を見た。

父様は静かにコクリと頷き伯父の言葉を肯定する。


つまり…?

俺は侯爵の孫で、現国王の甥で、辺境の領主の息子ってこと?

肩書多くない?

俺は静かな所でのんびり過ごすのが好きなんだけど。

こんな肩書があったら、絶対面倒なことに巻き込まれるよね?


俺はこれから先に訪れるであろう面倒事を憂いて遠い目をして薫り高い紅茶を喉に流し込んだ。



 


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