執行される罰
俺は沢山悪いことをしてきた。
俺の名前は十紋寺 冴斗。
俺はホストでいろんな女と恋をした。
もちろん疑似恋愛、本当に好きになったわけではない。
自分が一番になるためなら何でもした。
時には枕仕事もした。
沢山の女を抱いた。
女達は俺に沢山の金を出してくれた。
しかし、中には俺に惚れた女達がいた。
そいつらは俺が他の女といるのが悲しくて涙を流す。
自殺しかけたやつまでいた。
たが俺には関係ない。
金を落とさない女など俺には必要ない。
女など金を落とす物でしかなかった。
そんなある日、用事があり夜の1時頃電車を待っていた。
いつもならこんな時間でも人はいるだろう。
しかし、今日は俺だけがホームにいた。
『電車が通過します。危険ですのでーー』
電車が来るアナウンスが流れる。
すごいスピードで走る電車は眺める。
その時だった。
後ろから誰かにぶつかられた。
俺はよろけた。
電車はすぐそこだ。
そしてホームから落ちたとたん目の前は真っ暗になった。
俺は電車に轢かれた。
轢かれる直前振り返った。
ロングコートを身にまとう黒髪ロングヘアーのおんなだった。
俺は闇へと落ちていく。
目を開けてみても目の前は真っ暗。
いや、目を開けているのかもわからない。
俺は死んだのか?
いや、生きているはずがない。
俺が轢かれた瞬間、体に強烈な痛みが走ったことは覚えている。
しかしそれはほんの一瞬これが死というものか?
これが死というものであれば俺は認めたくない。
まだ死にたくないやりたいことは沢山ある。
死にたくない
そんな中、知らない声が聞こえてきた。
『お前は生前、悪いことを沢山した』
悪いことだと?
『沢山の人々を悲しみの海へと突き落とした』
そんなこと俺には関係ない。
『金に目がくらみ、人を死まで追い込んだ』
それは勝手に死のうとしたやつが悪い、俺には関係ない。
『この罪はとても重い、お前にはその代償としてこの罪を一生償ってもらう』
待てよ、そもそも俺は死ぬ予定ではなかった。
あの俺を突き落とした女が悪い、何故その女を罰しない。
すると頭が締め付けられるような強烈な痛みが走る。
くっ...。
すると遠くの方から何か音が聞こえてきた。
ジジジ...。
聞き覚えのある金属音だ。
だんだん音が大きくなる。
それと共に頭の痛みも薄れていく。
遠くの方に光が見えた。
それに向かって走る。
光が近づくにつれ音も大きくなっていく。
俺はその光を掴んだ。
「はっ!!」
気づくとそこは見覚えのある部屋だった。
「ここは...」
さっこのは夢か...?
辺りを見回す。
...俺の部屋?
実家の部屋だ。
そうか夢だったのか。
いや、俺は実家のは居ない。
ならばこっちが夢?
俺は頭を振り、枕元で鳴り響いている目覚まし時計を止める。
そして枕元に置いてある携帯をチェックした。
日にちは7月20日、そう、俺が轢かれた次の日だ。
俺は部屋のテレビをつけた。
どこをかけてもあるニュースで持ちきりだ。