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天使のツバサ  作者: 黄原凛斗
天使どもがやってくる
3/9

転校生は?



 廊下を全力でダッシュ。自分の教室の扉を豪快に開け滑り込むように教室へと入った。

「セーフ! セーフだよな!?」

「ギリギリなー。今日こそ遅刻するかと期待したのに」

 そう言って茶化してくるのは悪友の恭一。なぜか俺よりモテるらしい。

 すると恵美も近寄ってきて少し心配そうな顔をした。

「何かあったの? やけに遅かったね。あたしと会ったとき遅刻しないみたいなこと言ってたのに」

「余計な心配すんなって。まあちょっとしたトラブルだよ」

 乱暴に鞄を机に乗せて大きく息を吐く。呼吸を整え椅子に座ると狙ったかのように先生が教室に入ってきた。

 担任の神原美穂(かんばらみほ)という先生で国語の教師だ。

 ちょっと抜けてそうな若い女性だが女子には好かれているらしい。なんでも可愛いとかなんかで。

 まだざわついている教室をなんとか静かにさせると一息置いて言った。

「はいはい、静かに。えー、実はこのクラスに転校生がくることになりましたー! みんなわかってると思うけど仲良くねー!」

 そのセリフにクラスメイトは浮き足立った。この時期、五月に転校生なんて時期はずれなうえに転校生自体珍しいので気になるのだろう。

 ガラッと扉の開く音がやけに頭に残った。

 長い、綺麗な金髪。芯の強さを感じさせる瞳はなんと青。多分金髪碧眼と呼ばれるものなんだろう。

 顔は日本人っぽくはない――とそこで気づいた。


『また後でねー! 今はちょっと色々しなきゃいけないからー』


 さっき踏んだ美少女だ。絶対に。

 先生がスラスラと黒板に名前を書いている。その間、クラスメイトたちは転校生を見て驚きを隠せていなかった。

『金髪碧眼って外国人? 超かわいくない?』

『すっげぇ美少女じゃん! どこから来んだ』

『なんでこんな時期に転校なんだろうな。わけあり?』

 大半が男子という悲しい事実。女子は女子で反応しているが男子の方が圧倒的にざわついてる。

 名前を書き終えた先生がこちらを向き黒板を示す。

天野由良(あまのゆら)さんです。まだ引っ越してきたばかりらしいので皆さん色々教えてあげてくださいね」

 天野はにっこりと笑顔を浮かべる。俺と目が合った気がしたがすぐに視線が窓のほうに移ったのでよくわからなかった。

「じゃあ天野さん、あそこの席に座ってくれる?」

 先生が指さしたのは俺の右隣。ちなみに俺の席はなんのいじめか一番後ろの左右後ろが誰もいない状態の席である。前は恵美だがまわりに人が少ないのは悲しいものだと思う。

 ゆっくりと指定された場所近づく天野。そしてすぐ目の前に来てそこでとまった。

 じーっと俺を感情のよくわからない目で見つめる。

 そして次の瞬間、なぜか天野に抱きつかれていた。

「は……?」

 いきなりのことに驚く俺。

「え――」

 なぜか絶句する恵美。

 そして、

『えええええ!?』

 大げさなクラスメイトたちの困惑の叫び。

「あら、汐崎君、天野さんと知り合いだったの。それじゃあ色々教えてあげてね」

 なぜか勝手に面倒を任せる先生。

 そして朝のHRは終わりとばかりに教室から立ち去った。

 ついていけてない俺をよそに天野はものすごく嬉しそうに笑う。

「よかった~!ちゃんと会えたね! これからよろしくね、カイト」

「え、なんで名前――」

「海斗、あんた……」

 なぜか恵美が怒っているように見える。そしてクラスメイトたちは勝手な憶測を飛ばしあっている。

『え、海斗って恵美ちゃんと付き合ってるんじゃないのか』

『二股……俺なんか彼女どころか女子ともまともに話せないのに……』

『汐崎君真面目だと思ってたのに浮気? 恵美かわいそう』

『さいてー。汐崎君ってそういう奴だったんだ』

 なぜか俺と恵美が付き合ってる前提で話が進んでいるが付き合っているわけない。幼馴染だから話しやすいし家も近いのでよく一緒にいるだけだ。それを周りは勘違いしている。

 恵美は怒っているのかむしろ笑っているのかすらよくわからない表情を浮かべていた。

「海斗……よかったわね……かわいい彼女ができて……」

「おい待て、何言ってんだお前まで。俺は――」

「海斗! お前俺に内緒でそんなかわいい子と知り合いだなんて……ずるいぞ!」

「恭一まで……頼むからお前ら人の話を――」

 その時、ざわついたを通り越して騒がしくなった教室の扉を必要以上に音を立てて入ってきた生徒がいた。

 

 霧夜優矢(きりやゆうや)。頭脳よし、運動神経よし、顔よしの超イケメンと女子から人気な奴だ。

 しかしまともに会話したこともなければ関わることもない。霧夜自身、あまり他人と関わろうとしないので話に聞いたことしか知らない。

 「お前らうるさい黙れ。くだらないこと騒ぐな」

 霧夜は不快そうに顔を歪め教室中に聞こえるように、けれど大声ではない音量で言った。

 その言葉に騒いでたやつらは凍りついた。

 顔はいいけど性格難アリの霧夜は黒い噂が絶えない。そのためか機嫌の悪そうな霧夜を逆立てないようにほとんどの奴が静まり返る。

 一時間目の授業が始まるためかみんな小声で話したりしている。天野はやっと俺から離れてくれた。

「あのさ、俺お前と会ったことないよな? 確かにさっき踏んじゃったけど」

「え? 会ったことないよ」

 その言葉に少し安堵し次の言葉で更に不安に叩き落とされる。

「でも、アタシは知ってるよ。カイトのこと」

 なんか恵美がまた怒ってるような笑ってるような表情になってる。めちゃくちゃ怖いんですが。

 そしてなぜか霧夜がこちらを見て舌打ちしてきた。なぜだ。

 



 そんな混乱のなか授業を告げるチャイムのおかげでとりあえず質問責めは免れることができた。

 ――が、昼休みになっ途端爆弾投下されたような事態が起こった。

「かーいとっ! 案内してー」

 天野がぴょんと俺に飛びついてくる。

 その様子を見ていた恵美は後ろに鬼でもいるんじゃないかってくらい怒りを露にしていた。

 恭一は困ったような面白がるような微妙な表情で俺から距離をとっている。触らぬ神になんとやらか。

「とりあえず、不純異性交際は認めないわよ。そ、そもそも彼女ができたならあたしに言ってくれたら……」

 後半は小声だったため聞こえなかったがなにやらもじもじとはっきりしない。

 すると天野が焦れったいのか俺の襟首を掴み教室から立ち去ろうとする。

「ちょ、待って――」

 思ったよりも強い力で引きずられ驚いていると天野は気がついたように俺の弁当を勝手に取り出し教室の外へと連れ出した。

 教室から出る際、恵美と目が合って……その目付きに思わず身震いしてしまった俺であった。



 由良と海斗が出ていった後の教室はやはりというか騒がしかった。

 憶測や妄想が飛び交い彼女を不愉快にさせていた。

「まさか……もう来るなんて……」

 不愉快になる原因は二つ。

 海斗に馴れ馴れしすぎる態度。そしてもう一つは――

「人間舐めないでよね……」

 恵美は髪を苛立たしげかきあげ強く拳を握り悔しそうに舌打ちした。



 天野は人気のない廊下につくとようやく離してくれた。

 俺のほうをじーっと見つめ愛らしい笑顔を向ける。こうして見るとやっぱりかなり可愛い。

「あのねあのね、アタシ、カイトのためにここに来たんだよ!」

「ごめん、意味が分からない」

 会ったことはない。だが天野は俺のことを知っている。無論、俺は有名人でもないし部活とかもしていないから他校と関わりもないので名前も知られていないはずだ。

 ではなぜ天野は俺のことを知っている?

「あれ? もしかして知らないの?」

 首を傾げる天野は思いついたように言った。


「そういえばアタシ、天使だって言ってなかったね!」


 当たり前のように、満面の笑みでそう言った天野を見て俺は確信した。

 こいつ、頭逝ってるな。

 電波に付き合ってられない。早々に立ち去ろうとすると強く引き止められた。

「アタシねーカイトを護るためにわざわざ来んだよー! でもね、仲間とはぐれちゃって困ってるのー。どうすればいい?」

 俺に聞くな。そしてそろそろ危ないこと言うな。

 ぶーぶーと文句を言っている天野を振り払おうとし角を曲がると誰かにぶつかった。

「あ、ごめ――」

「邪魔だ」

 不遜に言い放つのは霧夜。相変わらず不機嫌そうな顔で睨んでくる。すると天野に視線を移しただ一言吐き捨てた。


「お前も、こいつも存在そのものが不愉快だ」


 それだけ言って霧夜は去った。

 天野といい霧夜といいこいつらは人を混乱させたいのか。

 天野は霧夜の言葉が気に食わなかったのか頬を膨らませながら何か言っていた。

「何よー、そんなに嫌わなくてもいいじゃん。アタシたちだって任務なんだし……」

 その隙に俺は天野から逃げ出す。

「あっ、ちょっと!」

 天野の制止の言葉を無視し次の授業まで適当に時間を潰すことにした。



これからカオスになっていくと思います。感想とかもらえると嬉しいです

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