ギャル幽霊との出会いは突然に
家に帰ると身に覚えのない同居人がソファでくつろいでいた。
「おかえり。アンタがここの新しい住人? 」
くるくるに巻かれた茶髪に、天井に向かってカールしたバサバサのまつ毛。勝負服か! と突っ込みたくなるような露出度の高い服を着こなすギャルっぽい見た目の彼女の身体は――透けて向こうが見えていた。一目で分かる。この子は幽霊だ。絶対に。
「貴方幽霊ですよね? 成仏できないんですか。可哀想に。」
「初対面のクセになんなの?! 冷たすぎない? 」
「出ていってくれます? 」
せっかくの新居。ウキウキで帰ってきたのにコレは最悪だ。駅徒歩5分の2LDK、オートロックで風呂とトイレは別。なのに家賃は月5万。こんな好条件の家なんて他にはない。一刻も早く出ていってもらって平和な生活を取り戻さねば。
「アタシだってこっから出たいんだけど…… 」
「出ていけないんですか? 」
「どうしてアタシが死んだのか思い出せないから成仏出来ないんだよねー。ここで死んだのは間違いないなんだねど。」
「はぁ。」
「冷た! 」
ギャルは大袈裟に傷ついたふりをしてソファに顔をうずめる。随分と騒がしい幽霊だな、と思いつつ私はギャル幽霊に歩み寄る。
「あの、死んだ理由が分かればいいんですよね? 」
「たぶん。アタシが成仏できない理由そのせいだと思うから。……そうだ!!」
ギャルは突然ガバっと起き上がった。私にぐいっと顔を近づけて胸の前で両手をパシッと合わせる。
「お願い!アタシの死因一緒に見つけてくんない?」
キラキラと目を輝かせて渾身のお願いをするギャル。ついでに爪の飾りもギラギラ光っている。ギャルの眩しさに目を背けつつ私は少し考える。ちょっとめんどくさいな。いや、早く出ていってもらおう。こんな幽霊と2人暮らしなんて絶対やだ。
「いいですよ。私の平和な生活の為にも、協力します」
「やった!」
ギャルははしゃいで私に手を差し出した。
「アタシはユウカ。よろしく。アンタは?」
「松井華英です。あんまりうるさくしないでくださいね。」
覚悟を決めた私は自己紹介をしてユウカの手を握り返す。ユウカの手を包み込む掌に変な感覚が駆け巡る。
こうして私とユウカの奇妙なふたりぐらしが幕を明けた。――ユウカの死因を探る、という変な同盟付きで。




