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魔法少女はフィクションか

不透明だった小説の雰囲気や展開が地味に固まったので、短文ですが投稿します。前の話での行動に若干の違いや、下手したらキャラが全然違うなんて事があるかもしれませんが、そのまま行きます。

「まぁ、普通にモモちゃんがお休みの間、ここら辺皆で見回ろうってだけなんだけどね」


「後はね〜、あれだよ!森の中を調べるの!」


タンと机を叩く。聞いてくれと言わんばかりに話すその内容に、私は耳を傾ける。


「森?」


「人の目が少ないから、地域の魔法少女に巡回してもらったりしてるの。その役割を私達が、ね」


「夜はイオファとか大人の人に、お休みの日はあたし達若い人がね!〜ぐる〜っと森を回ってはお菓子を食べて〜交代しながらまた回るの」


「…私結構若い方だと思うんだけどな……」


静かに呟く魔法少女を無視して、チアさんは気合いが入ったように手を叩いた。


「じゃあこの料理達も母からの労いの意味も…?」


「うんうん!」


「そうかもね、ありがたい限りだよ」


魔法少女には色んな特性があるらしいというのは、なんとなくわかってくる。


夜の田舎道に魔法少女がいる姿は、昔からよく見た光景ではあった。でも、具体的に何をしてるのかは分からなかったし、夜でも可愛い服を着て、夜が怖い子供達のためにステッキを振り回して可愛いハート型なんて見せてくれたりした記憶は、とうの昔に忘れかけていた。


今思い出して、ふと懐かしい、微笑ましい記憶だなんて思ってはいる。


「やっぱり、大変ですか?」


反応は様々だった。やはり特性によるとしか言えないし、『魔法少女の素質を持つ未成年の子に夜道を歩かせられない』そんな言葉を聞いて、魔法少女も人間の集まりだよなと少し遠くの方を見てしまう。魔法少女の年齢って、気にしたこと無かったな。


「それって、やっぱり魔法少女じゃないとダメ…?なものなんですか?飛べるから〜とかではなく?」


「そうだね〜、もちろん地域の人に案内してもらったり、おまわりさんと動いたり色々あるよ!」


クラゲをふわっと手に乗せて、淡い光でふよふよと浮かせているイロさんのクラゲは、自然と私の方に向かってくる。


「便利ですね」


「そう、やり方によっては通話みたいな事も浮くことも出来るし、こういうのにはぴったりなんだよね〜」


「魔法少女にしか感知できない魔物とかも居るし、ここら辺は任せてね〜」


「助かります…」


そういえばと流れるようにスマホを取り出し、チャームやお洒落な写真が挟まっているスマホを差し出す。


「はいこれ、何かあったらイロとか〜ライカとかに言うように」


そこにはプライベートで使うであろう電話番号と、分かりやすく色つけされたアドレス。ゴテゴテのスマホカバーが地味にスマホを揺らしながら、時々暗くなる画面をタップし続けるモノさんを見ながら、一つ一つ間違えないように自分のスマホに入力していく。


「すみません本当にありがとうございます…わざわざ…」


「ここら辺住んでるんでしょー?いいってことよ」


「ついでに私のもいる?チームで動いてるから、一人に連絡したら皆に届くと思うよ」


有難い事にイロさん、ライカさんの連絡先が電話帳に追加されている。メッセージの方も、簡単なメンバーカラーのアイコンに、『イロ』『ライカ』と分かりやすく追加されていた。


そんな事をやっている間、分かりやすく焦った顔をしていた蘭さんを気遣ってか、イオファさんは少し気まずそうにスマホを差し出してきた。


「あの、グルラを作るから…そこから個人メッセ繋げたら早くない?」


「あ、イオファが成長してるー!」


「余計な事ばっか…。はい、後は莉緒さん入れたら完成」


かわいいスタンプがポコポコと各画面に写されながら、アカリさんはイオファさんのスマホをポチポチしている。

プロフィールに飛ぶと、どこで活動しているのかがひと目でわかる内容になっていて、意外にチームとしての年数は少ない事がわかった。


「チアさん達って、普段は関西地区なのか…へぇ」


「九州なんてほとんど来ないからたのしーよ!方言全然違う!」


「ですよね…なんというか、福岡の田舎にこんなバリバリ戦ってる魔法少女がこんなに揃うことあるんだ?って感じです」


「モモちゃんが居るんだもん〜そりゃ色々と駆けつけますわな!」


どうやら本当に蘭さんは凄い魔法少女らしい。最後に追加された人をクリックしたら、知りたいと思っていた蘭さんのアカウントに当たったらしい。


他の人よりも細かくプロフィールが書かれている。他と違うのは本当に全国どこでも駆けつけると書いている事。現在は活動休止と名前に付け加えている。

アイコンには少しの泥が顔に掛かっていたが、満面の笑みでステッキを握っているとても可愛いツインテールの魔法少女が写っていた。


「これが蘭さんですか」


拡大してみると、逆光気味ではある写真だがそれを思わせない程の笑顔の周りに、同じように笑う魔法少女がよく見える。衣装の差はジャンルの違う漫画キャラだと思えるが、この写真には不思議な魅力があった。


「いい思い出だったので、アイコンにしてもらいました…」


「そうなんですね、素敵です」


「撮ったの私なんだよね、このアイコンにする前デフォルトアイコンだったんだから…それでなりすましと思われて、めっちゃ間違えられてたんだよ〜 ?!」


妙に納得してしまった。イロさんの言葉に可笑しいよねと笑う蘭さんと、静かに見守るライカさんを見て、ふとライカさんのアカウントを開く。魔法少女の情報を見逃したくないからと、ライカさんが映るアカウントをタップする。


証明写真みたいな写り方をしてた。だけど、私が嫌々撮った時とは違う正義感に溢れていると感じた。やっぱり瞳が綺麗だ。作り物みたいな。


魔法少女をしているライカ…次の文章を読む為に続きを推す。なんというか、まぁ、理解出来た。


『シングルマザーです。子供がふたりいます。』


急な体調変化の場合は、他の魔法少女に頼むかもしれない。普段は頼れる知人に子守りをしてもらっている。


その文を見て一気に現実に戻される。魔法少女が怪我をする。死亡するのなんて、珍しくない。わかってるし、創作物ならよく見た展開だ。だが子供が関わっていると知ると、魔法少女の異様な飾り付けが嫌にフィクションに見える。


あ〜、大変だろうな、本当に。


思いっきり、静かに息を吸った。


その後に、明るく、柔らかく魔法少女を照らしている蛍光灯を見た。眩しいと感じても、それが現実だからと気にも止めないように。


魔法少女の連絡先を貰った、そのあたたかさに、優しさに、私は胸がいっぱいになる。


久しぶりだ、色んな思想が、事情が交わる場は。


魔法少女を知ってよかった。勝手に感慨深い気持ちになって、まるで漫画の展開がブワッと進んだかのような、怒涛の勢いを、流れに身を任せてるかのような、そんな気持ち。


「なにか困った事があったら、すぐ言ってください」


察したようにアカリさんがイオファさんのスマホを差し出してくる。紺色で、マッドな質感が手によく馴染む。保護フィルムも綺麗に貼られていて、無駄がない、イオファさんらしいと感じた。


画面を見て、文字を理解するまで少し緊張した。


グルラとはまた違う、ホームページだった。


「これは…」


「私に繋がる電話番号や、住所が書いてある簡易的なホームページです。何かあったら、遠慮なく連絡してくださいね」


県も違えば、あまり知らない地名、ふわっと見たことあるような、そんな所。


「もしかしたらあたしも出るかも…?」


「電話に出るのは私でいいでしょ、電話を貰ったらすぐ駆けつけること」


「確かに、それはそうか」


アカリさんにスパッと返されるチアさんを見て、皆が笑う。ほとんどお皿に残っていないサラダを一つ一つ箸でつまむ。小皿に分け、ドレッシングを掛け、イオファさんは丁寧にモノさんに差し出していた。彼女も笑っていたし、私も笑った。モノさんも、口を隠していたが、耳が揺れていた。


「なんで笑うのさー!」









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