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第41話


「何故、君は数百年経っても姿が変わらずに生きていられる?」

 

 オクタヴィオの意識はイザイアの声によって呼び戻された。

 遠い昔の事を思い出していたオクタヴィオだが、面倒な状況であることに変わりはない。

 

 質問の答えにどう答えたものかと、オクタヴィオは腕を組んで考え込むフリをする。

 

(さて、どうするかねぇ)

 

 そう考えつつも答えは決まっていた。

 オクタヴィオ達が昔から生きていること知られていると言うならば、下手に誤魔化しても意味がないからだ。

 なので正直に話すことにした。

 

「そうだな、簡単に言うと俺は不老不死ってやつさ」

 

 それを聞いたイザイアは一瞬驚いた顔をするものの、すぐに納得したような表情を浮かべる。

 

「なるほど、そういう魔法もあるとは聞いたことがあるな」

 

 ユイエの魔法の効果は伏せつつ、オクタヴィオはさらに続けた。

 

「まぁそういう事だ。 それともう一つ言っておくことがある」

 

 そこで一旦区切ると、真剣な眼差しでイザイアを見つめる。

 その視線を受けて彼女は澄ました表情でオクタヴィオを見る。

 そんな様子を確認してから、オクタヴィオはゆっくりと口を開く。

 

「君達が俺達の生活を脅かすって言うなら容赦はできない」

 

 そう言って睨みつける彼の眼光に気圧されながらも、イザイアはその質問に答える。

 

「それはどういう意味かな?」

 

 それを聞くと、オクタヴィオは小さくため息をついて首を横に振る。

 そして心底苦しそうな表情を浮かべて言い放つ。

 

「本当は誰とも戦いたくない。 ましてや君達の様な可愛い娘達に手なんてあげたくない。 傷つけるなんてもってのほかだ。 ただ俺は平穏に暮らしたいだけなのに」

 

 それはオクタヴィオの本心の吐露であった。

 自らの不手際で、ユイエに人を消し尽くす罪を負わせてしまったことの負い目が彼にはあったのだ。

 

 だからせめてもの贖罪として、これ以上被害を広げないように自ら動くことを決めたのだった。

 しかしそんな思いとは裏腹に、彼女達の反応は様々だった。

 そればかりか呆れた様子で肩をすくめる始末である。

 

「君らしいと言えばそうなのだろうけどね。 私達としては、君が大人しくしていてくれればそれでいいんだ」

 

「だったら放っておいてくれてもいいんじゃないのか」

 

 思わず反論してしまうオクタヴィオだったが、そんな彼に対してアルフは冷静に返答する。

 

「残念だけど、それはできない」

 

「どうしてだよ」

 

「理由は簡単だよ。 君の側にいる魔女が全ての障害だからさ」

 

 その言葉にピクリと反応すると、オクタヴィオの表情が一気に険しくなる。

 その表情の変化を見た二人は一斉に身構えると臨戦態勢に入った。

 

 それを見てオクタヴィオは両手を上げて敵意がない事を示すように左右に振る。

 

「おいおい、それじゃ話が平行線になっちまうぜ?」

 

 オクタヴィオとしても、どうにかして妥協点を見つけたかったのだが、どうも上手くいかないようだ。

 

「そこまで言うなら、君に彼女の説得を頼みたい所だね。 君からの言葉なら彼女も耳を傾けるだろうさ」

 

「あー、確かにそれもそうか……」

 

 オクタヴィオは納得しつつも頭を抱えてしまう。

 そもそもの話、この話を聞かなければ良かったのではないかと思ってしまうが今更遅いだろう。

 

 それにここまで聞いてしまった以上、放っておくわけにもいかないのも事実なのだ。

 何故ならそれが、オクタヴィオが守ろうとしている魔女という存在なのだから。

 

 仕方なく覚悟を決めてイザイアに話しかける事にした。

 

「……なぁ、イザイアさんよ」

 

「……なんだい?」

 

 オクタヴィオに話しかけられた事で少しだけ警戒心を強めたのか、先程までより固い口調で返事が返ってきた。

 その事に緊張しつつ、オクタヴィオは言葉を続ける。

 

「一つ確認したいんだが、あんた達は俺の敵なのか? それとも味方なのか? どっちなんだ?」

 

 その問いに、しばらく沈黙が続いた後に答えが返ってくる。

 

「難しい質問だね。 味方と言えば味方であるし、敵と言えば敵になるだろう」

 

 それを聞いて少し考え込む素振りを見せるオクタヴィオだったが、やがて決心したように顔を上げるとこう言った。

 

「どちらも選ばない奴とは仲間になれない。 どこかの誰かが言った言葉だったけど、今になってその言葉の意味がわかった。 俺は、君達を止めるとしよう」

 

 そう言い切ったオクタヴィオの顔 からは迷いが消え去っていた。

 それを見たイザイアは一瞬目を見開くものの、すぐに不敵な笑みを浮かべるとこう返すのだった。

 

「なるほど、つまり私達は君と敵対しなければならないわけだね?」

 

 その言葉に、今度はオクタヴィオが驚く番だった。

 まさかそんな事を言われるとは思ってもいなかったからである。

 だがそれも一瞬のことで、すぐに平静を取り戻すとオクタヴィオは強がる様にニヤリと笑ってみせるのだった。

 

「ああそうだとも。 交渉は決裂ってわけか」

 

 それに対して、イザイアもまた笑みを浮かべて答えるのだった。

 

「いやなに、最初からこうなる事は分かっていたからね」

 

 その言葉と同時に、シエルが前に出て指を打ち鳴らす。

 転移門が空間の揺らぎと共に現れ、扉が勢いよく開かれる。

 そこから出てきたのは多種多様な魔物達の群れであった。

 

 その光景を見て、オクタヴィオはやれやれと言った様子で肩をすくめると、ホルスターからベティを抜いて構える。

 

「俺は君達を傷付けるのだけは死んでもやりたかないがーーー」

 

 襲い掛かってきた犬型の魔物の眉間を正確に撃ち抜き、返す勢いで他の魔物の急所を寸分狂いなく弾丸をプレゼントしていく。

 

「止める方法はいくらでもあるんだよ」

 

「……流石ですね。 呼び出した魔物をこうも易々と」

 

 シゼルの呟きを聞いているのかいないのか、イザイアは再び指を鳴らしながら告げる。

 

「さあ、どうするオクタヴィオ? そこまで啖呵を切ったんだ、全力で止めてみせてくれ」

 

 その声に呼応するかのように、次々と襲いかかってくる魔物達を迎え撃つべく、オクタヴィオは銃を構えたまま応接間から飛び出ていく様に走り出すのだった。


「さあ、オクタヴィオ……君の覚悟を、想いを見せてくれ……!」


 遠くから聞こえるイザイアの声は、オクタヴィオの耳によく残っていた。


感想や評価がありましたら、作者のモチベーションに繋がりますのでよろしくお願いします!

後、誤字や脱字があったら教えてくれると助かります。

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