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第12話


 しばらく進むと、大きな扉が見えてきた。

 どうやらこの先が屋敷の最奥部のようだ。

 警戒しつつ、扉を開けるとそこは大広間になっていた。

 天井からは豪華なシャンデリアがいくつも垂れ下がり、壁には様々な絵画や彫刻などが飾られている。


 部屋の中央に置かれたテーブルとソファには、見知った男が座っていた。

 その男、ゾルダートがオクタヴィオ達に気付くと声をかけてきた。


「ようこそ、我が屋敷へ」


 オクタヴィオはベティを抜き放って向けつつ、ゾルダートの様子を窺った。

 ゾルダートは立ち上がると両手を広げる。


「私なりの歓迎は如何でしたかぁ? かなり楽しめたようですがぁ?」


「あの子の力を使って襲ってきたのは一体どういうつもりなのかしら?」


 ユイエの言葉に、ゾルダートは笑いながら答える。


「決まっているでしょう? 彼女の力を知ってもらうためですよぉ」


「どういう意味かしら?」


 訝しげな表情を見せるユイエに対して、ゾルダートは言った。


「そのままの意味です。 彼女の魔法は使用者の身体能力を飛躍的に強化出来る効果を持っているのですよぉ? それを私達が有効活用してあげようと言うのです。 使い方がわからない者よりよっぽど有意義な使い方ではぁ?」


「胸くそ悪い話だな。 そんな御宅はいいからベルナデッタを返せ。 彼女は何処にいる」


 苛立ちを隠さずに問いかけるオクタヴィオに、ゾルダートは答えた。


「あぁ彼女ですか? それならばあちらの方にいますよぉ」


 そう言ってゾルダートが指をさした先にあったのは拘束椅子だった。

 その椅子に座らされている人物を見て、オクタヴィオは思わず息を吞む。

そこにいたのは紛れもなくベルナデッタだったからだ。

 しかし様子がおかしいことにすぐ気付いた。

 目は虚ろで焦点が定まっていないように見えるし、口からは涎を垂らしている。

 さらに手足には枷のようなものが付けられており、鎖で繋がれていた。

 服も少しはだけており、胸の谷間が見えてしまっている状態だ。

 明らかに正気ではない様子であることがわかる。

 それを見たオクタヴィオは慌てて駆け寄ると声をかける。


「おい! 大丈夫か!? しっかりしろ!」


 肩を揺すりながら声を掛けると、ようやく反応があった。


「あれぇ……オクタヴィオしゃんじゃないれすかぁー」


 舌足らずな口調で喋るベルナデッタの姿にオクタヴィオは一瞬思考が停止したが、すぐに我に帰るとゾルダートを問い詰める。


「あんた一体何をした!?」


 怒鳴るように言うオクタヴィオに対してゾルダートは特に悪びれる様子もなく答えた。


「なにって、彼女の魔力を吸わせてもらっただけですよぅ」


 その言葉にオクタヴィオは絶句した。

 まさかそんな事をしていたとは思いもしなかったからだ。

 魔女には普通の人とは違う魔力を生成する器官というものが存在している。

 常に魔力を生み出すが、それを根こそぎ吸収、または奪った場合はどうなるのか。


 正解は今のベルナデッタのようになる、という事である。

 

 その様子を見たゾルダートは愉快そうに笑うと更に続けた。


「最初は抵抗していましたけどねぇ、徐々に大人しくなってくれましたよぉ? もうすっかり体から魔力を吸い取らせて貰いましたぁ」


 それを聞いた瞬間、オクタヴィオはベティの銃口をゾルダートに向けていた。

 銃口を向けられたゾルダートだったが、それでも余裕の表情を崩すことはなかった。


「やれやれ、乱暴ですねぇ……」


「どっちがだ」


 オクタヴィオは引き金を引くと銃弾を放った。

 ゾルダートはそれを避けると、お返しとばかりにナイフを投げつけてくる。

 オクタヴィオもナイフを避けると、再びベティを構える。


「次は外さないぞ」


「怖いですねぇ、ですが私も負けるわけにはいきませんのでねぇ」


 ゾルダートは笑みを浮かべると、懐から何かを取り出した。

 先程戦ったトマスが使っていた物と同じようなもので、淡く光る石が手に握られていた。


 それを見た途端、嫌な予感を感じたオクタヴィオはすぐに行動に移した。

 素早く銃を構え発砲するが、ゾルダートは既にその場から姿を消していた。


「くそっ、またか……!」


 毒づくオクタヴィオであったが、同時にある事に気がついていた。

 それはゾルダートの気配が全く感じられないということだ。

 いくら探してみても全く見つからないのである。


「どこだ……?」


 必死に探すものの一向に見つからず焦りばかりが増していく。

 そんな中、不意に背後に気配を感じたオクタヴィオは振り向きざまに蹴りを放つが空を切るだけだった。

 空振りに終わったことで体勢を崩したところを狙っていたのか、死角から放たれた拳が顔面に直撃する。


「ぐぅっおっ!?」


 鈍い音と共に吹き飛ばされるとオクタヴィオは地面を転がっていく。

 何とか立ち上がろうとするも視界が歪んでおり上手く立ち上がることが出来ないようだ。


(まずい……!)


 そう思った時には既に遅く、眼前にゾルダートの姿があった。

 彼は笑みを浮かべながら語りかけてきた。


「おやおやぁ? お強い貴方でも私の気配を探ることは出来ないんですねぇ?」


「……っ!」


 図星だったのか何も言えずにいると、ゾルダートはさらに言葉を続ける。


「私はね、特別なんですよぅ」


 その言葉を聞いた瞬間、背筋に冷たいものが走るのを感じた。

 本能的に危険を察知したのか、咄嗟に距離を取ろうと後ろに飛び退くと、先程までオクタヴィオが立っていた場所に何かが突き刺さっていた。

 それを見て冷や汗を流すオクタヴィオに対して、ゾルダートは得意気に言った。


「ふふん、気付きましたか? 気配が消せればこんな事も簡単にできるんですよぉ」


 見るとそこには無数の針のようなものが生えていた。

 いや違う、あれはナイフだ。

 恐らく投げナイフの一種なのだろうが威力が桁違いすぎる。

 あんなものが刺さったら間違いなく致命傷になるであろうことは想像に難くない。


「なるほどな……確かにあんたは特別らしい……」


 オクタヴィオは冷や汗を流しつつも強がってみせると、ゾルダートは嬉しそうに笑うと言った。


「そうでしょうとも。 ですから貴方の負けは確実なのですよぉ!」


 勝ち誇ったように言い放つゾルダートに対して、オクタヴィオは小さく舌打ちをするのだった。

 

 オクタヴィオは今現在窮地に陥っていた。

 

 というのも、相手は姿を消せる上に気配を完全に消すことが出来るらしく居場所が分からないのだ。

 そんな状態で一方的に攻撃されては反撃のしようがなかった。


「くそっ……!」


 悪態をつくオクタヴィオに対し、ゾルダートは嘲笑うように言った。


「どうしましたぁ? 威勢が良いのは最初だけでしたかぁ?」


 嘲るような口調のゾルダートに対して、オクタヴィオは冷静に状況を分析する。

 まず最初にやるべきことは相手の居場所を突き止めることだ。

 その為にはどうすれば良いか考える。


 そこで思いついたのが音を頼りにすることだった。

 オクタヴィオは耳を澄ませると、周囲の音に意識を集中させる。

 すると微かにではあるが足音のような音が聞こえた気がした。


「そこか!」


 裏拳の様に銃を振り回し、その音の元へと勢いを付けて叩きつける。

 すると、ガツンと何かにぶつかるような音がしたかと思うと、呻き声のようなものが聞こえてきた。


「ぐあっ!?」


 どうやら命中したようだ。

 手応えはあったので、これで仕留められれば良いのだが……。


 そう思いながら待っていると、やがて姿を現したゾルダートが苦悶の表情を浮かべながらこちらを見てきた。

 どうやらダメージはあるようだが、まだ動けるだけの体力が残っているようだ。


 ならば次こそは確実に仕留めるしかないだろう。


 そう判断したオクタヴィオは再びベティを構えたまま距離を詰めようとするが、ゾルダートの方が早かった。

 ゾルダートはポケットから新たな石を取り出すと、それを胸元に当てる。


 そして一気に押し込んだ瞬間、ゾルダートの体に変化が起こった。

 筋肉が盛り上がり、血管が浮き出ると同時に全身の体毛が逆立つ。


 その姿はまるで獣のようだった。

 ゾルダートはニヤリと笑うと雄叫びを上げた。


「ウオオォォォォォン!!」


 その咆哮と同時に走り出すと一瞬で距離を詰められてしまい、オクタヴィオは回避が間に合わずに吹き飛ばされてしまう。


「ぐっ、この野郎……!」


 立ち上がり様に蹴りを入れようとするが避けられてしまう。

 それどころか逆にカウンターを受けてしまったようで左肩に激痛が走った。


「ーーーちぃっ!」


 痛みに顔を顰めていると今度は足に噛み付かれてしまう。

 鋭い牙を突き立てられたせいで出血してしまい、痛みで意識が飛びそうになるが歯を食いしばって耐えると、そのまま足を振り上げて顎を蹴り上げる。


 その衝撃で口が離れた隙に抜け出すことに成功したが、休む暇もなく次々と攻撃を仕掛けてくるため防戦一方になってしまう。


 このままでは不味いと思いオクタヴィオは一旦距離を取ろうとしたその時、ゾルダートの視線がユイエの方を向いた。


「オマエモ魔女ダナァ? 魔力ヲ……寄越セッ!」


 そう言ってユイエに向かって突進していくと、そのまま組み伏せるように押し倒した。


「きゃあっ!?」


 悲鳴を上げるユイエだったが、すぐに暴れ出しゾルダートを引き剥がそうとする。

 しかし、ゾルダートの力が強く引き剥がすことが出来ない。


「やめろッ!」


 オクタヴィオが動く前に、ゾルダートが動いた。

 ゾルダートはユイエの首を掴むと力を込め始めたのだ。


「うっ、あぐっ!? ああぁっ!?」


 苦しそうな声を上げるユイエを見て、ゾルダートは笑いながら少しずつ力を込めていく。

 ユイエから響く苦悶の声にゾルダートは笑みが隠しきれていない。

 もう少し、もう少しでユイエの首をーーー!


「グゥゥゥゥ! ーーーッ!?」


 だが次の瞬間、突然ゾルダートの手がユイエの首から離れるとその側で咳き込む音が聞こえてきた。

 ゾルダートも何が起こったのか分からず困惑していると、不意に背後から声が聞こえてきた。


「ユイエから離れろ」


 振り返るとそこにはベティの銃口をゾルダートに向けているオクタヴィオの姿があった。

 ただ、その表情からは表情の色が全くと言っていいほど見て取れない。


「……ヤレヤレ、邪魔ガ入リマシタネェ」


 ゾルダートは溜め息を吐くように言うと、今度はオクタヴィオを睨みつける。

 しかし、オクタヴィオの表情は一切変わらない。

 無表情のまま淡々と言葉を紡ぐ。


「俺の相棒に手を出したんだ……覚悟は出来てんだろうな?」


 それを聞いたゾルダートは一瞬キョトンとしていたが、直ぐに笑い出すと言った。


「ククッ、アハハハハッ! コノ魔女ガ貴方ノ相棒デスカ! コレハ傑作デスネェ!」


 ひとしきり笑った後、再びオクタヴィオの方を見ると言った。


「デモ残念デシタネェ、ソンナニ勇ンダ所デ私ニハ勝テマセンヨォ?」


 挑発するように言うと、オクタヴィオは無言のままベティを構え直すとゾルダートに告げた。


「お前なんぞラスト1発の銃弾で十分だ」


 その言葉にゾルダートの表情が変わるのが分かった。

 先程までの余裕が消え去り、怒りに満ちたものへと変わっていくのが分かる。


「ホザケッ!! 人間如キガ調子二乗ルナァッ!!」


 激昂しながら叫ぶゾルダートに対して、オクタヴィオは小さく鼻を鳴らすと答えた。


「調子なんざ乗ってないさ。 できるから言ってるんだよ」


 その言葉を聞いた途端、ゾルダートの目が大きく見開かれた。


 それは驚きによるものだろうか?

 それとも恐怖によるものなのか?


 どちらかは分からないが、少なくともオクタヴィオの言葉が癪に障ったことだけは確かだろう。


 その証拠にゾルダートは殺意を込めた目でこちらを睨みつけているからだ。


「……ナラバ死ヌガイイ!!!」


 そう叫びながらこちらに向かって走ってくるのが見え、オクタヴィオは側に落ちていた瓦礫を幾つか放り投げる。


「コンナモノッ!」


 飛んできた瓦礫を弾きながらゾルダートはオクタヴィオを肉薄する。

 そしてその身にある鋭利な爪を用いてオクタヴィオの心臓を貫かんと腕を伸ばしていく。


「そいつは喰らえないな」


 ゾルダートが放つ爪撃をオクタヴィオは左足を軸にしながら時計回りに回転して紙一重で避けていく。

 背後を向くオクタヴィオにチャンスだと言わんばかりにゾルダートは攻撃を加えようとするーーー


「ーーーッ!?」


 今度はゾルダートの背筋が粟立つ。

 少し下を見ればオクタヴィオのベティの銃口がアッパーのように伸びて来ている。

 そしてそのままオクタヴィオは引き金を引く。


「グゥオォッ!?」


 間一髪の所でゾルダートが顔を上に逸らし、弾丸を避ける。

 その音を聞いてゾルダートの獣の顔が愉悦に染まる。


「ナニガ最後ノ弾丸ダケデ十分デスッテェ? 使イ切ッテシマイマシタネェ!」


 これ以上オクタヴィオがゾルダートに対して傷をつける事ができない。それが面白くてゾルダートは笑いが込み上げてくる。


「誰がラスト1発を使ったって?」


「ーーーハッ?」

 

 その瞬間、銃声と共に放たれた弾丸は真っ直ぐにゾルダートへ向かって飛んでいく。


 それを見たゾルダートはすぐに避けようとしたが、それよりも先に弾丸が吸い込まれる様に胸元へと命中する。


「グゥゥゥォォォッ!?」


 被弾した箇所を押さえながら蹲っている姿を見て、オクタヴィオはリボルバーをホルスターへと戻した。

 まるでこれ以上は必要ないと言わんばかりに。


 それを見てゾルダートは何が起きたと蹲りながらパニックに陥る。


 そんな様子を気にすることなく、オクタヴィオはゆっくりと歩き出すとユイエの元へと向かう。

 そして手を差し伸べると優しい声色で言った。

 

「大丈夫か、ユイエ?」


 それに対してユイエは喉を抑え、咳き込みながらも小さく頷いて答える。


「え、えぇ……ありがとう……」


 その様子を見ていたゾルダートは、忌々しそうに舌打ちをするとオクタヴィオを睨みつけながら言った。


「貴様……! 弾丸ハ何処カラ……!」


 今にも襲いかかってきそうな雰囲気を漂わせていたが、オクタヴィオは全く動じる様子もなく口を開くと言った。


「1回目は空砲だよ。 空の薬莢を入れといたのさ」


 そう言ってオクタヴィオが指差す先は2つの薬莢。

 先程放った回転して避けた際に足先で跳ね上げて空の薬莢を回収していたのだ。


 それがどういう意味なのか理解したのか、ゾルダートの顔が青ざめていくのが見える。


「ソンナ馬鹿ナ……!」


 ゾルダートの胸元にある魔石が甲高い音をたてて割れると辺りを煙が包み込む。

 そして、煙が晴れたその先には元の人間の体に戻ったゾルダートが蹲っていた。


 その光景を見たオクタヴィオは大きく息を吐いた後で言う。


「ふぅー、何とかなったみたいだな」


 そう言ってベルナデッタの元へ歩み寄ると、拘束具を叩き壊していく。


「それじゃ、目当ての人は返してもらったから俺らは帰る。 今後会わないことを切に願うわ」


 そしてベルナデッタを抱きかかえたまま、オクタヴィオ達はその場を後にした。

 屋敷から出た後、遠くの方で男の絶叫が聞こえて来たが、オクタヴィオは敢えて聞かないふりをして歩いていったのだった。

 こうして事件は解決したのだが、まだ一つ問題が残っていたことに気がつくことになる。


 そう、ベルナデッタのことである。

 彼女は未だにボケた状態のままなのだ。


 このままにするわけにもいかないのでどうしようかと考えていると、ユイエがまた指を打ち鳴らした。


「これで大丈夫だと思うわ。 あと少し記憶を弄らせてもらいましょう」


 オクタヴィオの背中に背負われていたベルナデッタの顔に生気が戻り始める。

 数秒もしないうちに体を揺すり始め、すぐに目を覚ました。


「……あれぇ……? ここは何処ですかぁ……?」


 ぼんやりとした表情で周囲を見渡した後、オクタヴィオの顔をじっと見つめて首を傾げる。


「あれ……? 私は何を……?」


 その問いに答えようとしたがオクタヴィオは少し事実を変えて伝えることにした。


「ベルナデッタ、君は少し夢を見ていたんだよ」


 そう言うと、ベルナデッタは首を傾げながらも納得してくれたようだ。

 だが、そこでふと思い出したかのように口を開いた。


「そういえば……何でこんなに目の前が揺れているんですかね?」


 その言葉にオクタヴィオは思わずビクッと反応してしまう。

 魔力枯渇の弊害がまだ残っていたかと冷や汗が流れる。

 とはいえ、聞かれた以上答えないわけにはいかないので濁して答えることにする。


「あー、すまない。 ここまで運んでくるのに揺れてたからじゃないか?」


 それを聞いた瞬間、ベルナデッタの表情が笑顔に変わったのが分かった。


「そんなっ!? 居眠りをしてここまで運んできてくれたんですか!?」


 目を輝かせながら詰め寄ってくる彼女に気圧されつつも、オクタヴィオは頷いた。

 するとベルナデッタは再び深々と頭を下げてくる。


「本当にありがとうございます! 何と言ったら良いのか分かりませんが、とにかくありがとうございます!」


 そこまで言われるとは思っていなかったのでオクタヴィオは思わず苦笑いを浮かべてしまう。

 その様子を横目で見ていたユイエが小さく溜め息を吐いていたことには見て見ぬ振りをしておいた。


「いや、気にしないでくれ。 それよりもとりあえず家に戻ろうか」


 そう言ってオクタヴィオはユイエの方を向くと、彼女も頷いた後に口を開いた。


「そうね、私も少し疲れたわ」


 ベルナデッタはそれを聞いて少し考える素振りを見せた後、呟いた。


「すいません、ここまでやってもらって何なんですけど、この依頼を取りやめてもいいですか?」


「へぇ? それはなんでまた?」


 ベルナデッタの言葉にオクタヴィオはわざとらしく首を傾げた。


「えっとですね、なんでかよくわからないけどもう大丈夫って私の勘が告げているんです」


 それを聞いて納得したオクタヴィオは頷くと、笑顔で言った。


「そういう事なら仕方ないな。 でも、何かあったら言ってくれよ? その時は力になるからさ」


 その言葉を聞くと、ベルナデッタは嬉しそうに微笑んで頭を下げた。


「はいっ、わかりました!」


 元気よく返事をするベルナデッタを見て、オクタヴィオは安心したように微笑むのだった。


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