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人見知り少女

作者: 兎波志朗


21世紀になり行く年が過ぎていき、平成から令和になった昨今。

ポケベルがスマートフォンになり、テレビはブラウン管から壁掛けもできるスリムなテレビに。

プリクラが証明写真のちょっといい感じから最早誰だかわからないような加工が出来るようになり遂にはメタバースの時代と言われそろそろ車が空を飛ぶんじゃないかと人類の進化は素晴らしい。


医学だって昔は不治の病が今では手術、もはや手術ではなく薬でも治る病も増えていった。これも人類の素晴らしい進化だ。



そう、素晴らしい進化なのだ



しかし、私、荻野さくらはこの素晴らしい人類の進化でも治らない病に侵されている。

正直そろそろ市販薬くらい出ても良いんじゃないかくらい思っているがまだ出ない。

恐らく人類が誕生したその瞬間からある病にして未だ治療法のない病



それは



人見知りだ!



いや、ちょっと待って。

そんな顔しないで私の話を最後まで聞いてほしい。


人見知り。

そうこの病にかかってない人からしたら何を言ってんだ?と思うでしょうよ

しかし、この病は本当にタチが悪い。


まずは初めての人に話かけられる時に陥る言語障害

「あ…はい…そうなんですね…そうですね…」

この4単語しか出てこない!

もはや「あ」ってなに?

自分でもなに?って思うけど「あ」って最初に言えないと喋れないんです!


そして初めての人に自分から話しかけようとすると

「…」

何も出てこない!

会話の引出しは鍵をかけられたように開けられず、頑張って開けたと思ったら自分の声とは思えないほど上擦った喋り声!

わざと上擦ってるわけじゎないんです!

必死に引出し開けた反動なんです!!


仲良い友達と遊ぶ約束してたら友達が友達を誘って来るパターン

一気にお腹痛くなっちゃう…

友達の友達は友達って考えは陽キャ過ぎませんか!?

絶対仲良くなるからー

って、貴方と友達になるのにどれだけ時間かかったか覚えてますか!?


言語障害に手の震え、腹痛に吐き気…

これもう立派な病気じゃないですか!?


学校でもバイトでも社会人になっても言われるこの一言


「わからないことがあったらすぐに言ってね?」


…これが直ぐに言えたらどんだけラクか!!

わからないことも聞けない、人見知りは社会的な病なんです!



こんな大病なのに未だに市販薬すらない。

これはまさに不治の病…


そして私が何故こんなにも不治の病について熱く語っているかと言うと


今まさに発病中だからなんです。


現在の私はバイト終わりの帰り道。


そして私の10m先を歩いているのは同じバイト先で絶賛片思い中の佐々木くん。


そして私と佐々木くんの間には佐々木くんの鞄から落ちた某ゲームのイカ人間のマスコット。

このマスコットは佐々木くんが友人達(全員男)と遊んだ時に買ったらしい。

なんで知ってるかって?

…もちろん休憩中に他の人と話したのを聴いていたに決まってるじゃないですか…


佐々木くんとはホールとフロアーで分かれているからバイト中に親しくなるポイントもないし、一緒だったとしてもあんなクリックリの二重瞼で見つめられたら固まって何も出来ない!!

令和のメデューサはなんて可愛い瞳なの!!?


そんな佐々木メデューサと私は幸運な事に本日はバイト上がりが一緒!

話しかけれる筈もないのに一緒だということにウキウキしていた私、いざ上がると帰り道が一緒のルートで更にウハウハ!

んなことを思っていると佐々木くんのカバンからイカ人間のマスコットがポロッと落ちた


そんなマスコットを私は



現在拾うか拾わないかで迷っていた…



こ、これを拾ったら私は佐々木くんに話しかけなければ行けない…

は、話しかけられるのだろうか…?


もし拾って話しかけれなかったら…

話しかけたい!いや、話しかけれない!話しかけたい!

そんな問答をしてるときっと佐々木くんは家に辿り着いてしまう。そして私は後をつける黒いパーカーに黒いズボンの真っ黒い女。

完全にストーカーだ…


そんな名探偵の犯人のような黒い人間がお目々クリックリの男の子の後ろなんて歩いちゃってるのがクリックリのお母さんに見られちゃったりなんかして


「キャー!ストーカーよ!警察呼んで!!」


そんなこんなで110番なんてされちゃって、そしたらイケメンのストーカーだからって凄い数のパトカー来ちゃって私は連行されるんだ…

その時、佐々木くんはきっと凄い冷たい顔をしているんだ…


イヤだ…いや、ちょっとされたい…いや!やっぱりイヤだ!!


そんな問答をしていると私は徐ろにマスコットを拾っていた…


怖い、無意識って怖い!!


いや、そんなことを言ってる場合じゃないわ荻野さくら!

これでもうストーカーになるか話しかけるかしか道はない!

けど上擦った声で話しかけたりしたら佐々木くんに気持ち悪がられない?

そもそも佐々木くんの私物勝手に持っちゃって大丈夫!?

ダメだ…話しかけれない…


私がウダウダしてると


「あれ?荻野じゃん、お疲れ〜」


私の後ろから誰かに話しかけられた。まさか話しかけられると思ってなかった私はビクッとして振り返る。振り返ってみるとそこに居たのは

同じバイトで同じフロアーの子でバイト規定ギリギリの髪の色をしピアスなんかもしちゃってるバリバリギャルの松中愛奈!!


いや、本当にギャルかはちゃんと話したことないからわからないけどこの髪の色とキラキラのピアスをつけてる子は絶対ギャル!!

そしてギャルってことはきっとチャラ女!


店長だっていつも地面に鼻がつきそうなくらい伸びきってるし、きっと他の男なんかもすぐ手玉に取っちゃって、二股、いいえオロチもビックリな股してるんだきっと!

そんなチャラ女が佐々木くんと同じ帰り道、まさかチャラ女!?

いいえ、チャラ女のタイプは佐々木くんみたいなタイプじゃないわ、きっとヤンキーよヤンキー。


私が警戒し軽い会釈で会話を終わらせようとすると


「あれ?それイカ人間じゃん?」


チャラ女松中が佐々木くんのイカ人間に気づいた!

もしかしてこの展開

「それ佐々木のじゃね?お、前に佐々木いんじゃんウチが届けてあげるよ」

「あ…」

そんなこんなでイカ人間は奪われてきっと簡単に佐々木くんに話しかけて松中はきっと佐々木くんも簡単に奪っていくんだ…!!

それだけは嫌だ…大蛇の1人にカウントさせてたまるか…

私がそんな被害妄想をし1人折れかかっていると


「な、なんか大丈夫?」


気付けば私は松中に心配されていた。


「あ、はい」


私は振り絞ってそう言い頷く。


「そ?大丈夫なら良いんだけど!そのマスコット前歩いてる佐々木のだと思うよ?」


「あ、そうなんですね」


「うん、佐々木大事にしてたみたいだから早く届けてあげな」


「そうですね」


「んじゃウチこっちだから!明日もよろしくね〜!」


「あ、はい…お疲れ様です!」


私がそう言うと笑顔でオツカレ〜!と言って松中は去って行った。

初めて松中さんと喋った。4単語とプラスのお疲れ様ですだけだけど確かに喋れた。

勝手にイヤなヤツだと思っていたけど喋ってみたらそんなことなかった気がする。気がするだけかも知れないけど。

私が明日バイト入ってることも知っててくれた。

やっぱり思ったよりイヤなヤツじゃないのかも…かもだけど。


かもだけど、松中と喋らなかったらイヤなヤツの認識から絶対変わらなかった。

喋ったから良いやつなんてことはこの先もなくて、こんなやつと話さなければ良かったって思う時もあると思う。

でもそれは話してみたから解ることだ、今のままじゃ何も、わからない。


よし。

今日のこの気持ちならいけるかも知れない、きっと明日はまた発病して動けないに決まってる、だから今日この一瞬だけ


そう思い私は自分の中にある1ヶ月分の勇気をかき集め一歩一歩と佐々木くんに向けて歩き出す

歩幅が違うし止まっていた時間があるから歩いては追いつけないと思った私は気がつけば走り出していた

普段走らないから追いついた時は絶対息も切れてる、話しかける時に発病して上擦っちゃうかも知れない。


それでも


それでも良いから彼に話しかけてみよう。

勇気と走ってるせいでアドレナリンが出た私はもう迷わない。

彼に追いつくまで後3歩、2歩…


「あ、あの!」


自分でも笑ってしまうような酷い声が空に響き彼の足を止めた。




FIN

【人見知り少女】を読んで頂いた目の前の貴方様。

誠にありがとうございます。

ところで貴方様は人見知りでしょうか?

ちなみに僕はとてもとても人見知りです笑

毎回初めての人と会う時はかなり緊張してしまいます…

オフラインでもオンラインでも緊張してしまいます。

個人的に全く見えない相手なのでオンラインの方が緊張します。友達ほしいんですけど難しい笑


しかしやっぱり人見知りって損かな?と思い頑張って踏ん張って喋っているような状態です。


今回はそんな僕が人見知りの女の子が好きな男の子に話しかける1分にも満たない瞬間をピックアップした作品です。


ちなみにタイトルを少女と症状を掛けたくて女の子を主人公にしてみました☆



この作品が貴方様の暇つぶしになれたのなら光栄です。


また兎波の作るSF(少し不思議)な世界でお会いできるの日を楽しみにお待ちしております。


それではまた次回の暇つぶしの時間まで。





-兎波志朗-

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