↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

魔王(確定)が召喚されました。

作者: たまご
掲載日:2023/02/25

 広間で、神官達が一心に祈りを捧げている。


 この国は武力により、近隣諸国を征服し弾圧していた。


 新たなる力を手に入れるため、王が召喚を命じたのだ。


 祈りが終わりに差し掛かった頃、広間の床がまばゆい光を発した。

 その中心に、ふっと小さな影が現れた。


「おおっ!」


「これは……」


 夜の闇のような漆黒の毛並み。


「……」


 凍てつく月のような、鋭い眼差し。


「…………」


 耳は警戒のためか、伏せられている。

 何かを思案するかのように、長いしっぽがゆらゆらと揺れている。


「「「猫だろ!」」」


 大きな声に驚いたのか、黒猫は目を見開いた。


 王は怒り狂った。


「この役立たずどもが! 神官達の首をはねろ!」


「お、お許し下さい!」


 慈悲を乞う神官達が、広間から引きずり出されていった。


「ふん、つまらん」


 第一王子が、猫の元に歩み寄った。

 すらりと腰の剣を抜く。


「どうせなら、虎でも斬りたかったがな」


 王子が剣を振りかざした瞬間、猫の目がぎらりと光った。


「……っ!」


 王子は息を飲んだ。

 ごろりと床に転がる自身の首を見たような気がしたのだ。


 王や大臣達に見られている事に気づき、王子はかっと頭に血がのぼった。


 よくも、恥をかかせてくれた。

 たかが猫のくせに。


「このっ!」


 王子が切り刻もうとすると、猫は素早く身を翻した。

 

「うなぁぁおぅぅぅ!」


 猫が唸り声をあげると同時に、火柱が吹き上がった。

 王子の体が、炎に包まれる。


「うぎゃああああ!」


 あまりの熱さに、王子はのたうち回った。


「王子!」


「火を消せ!」


 騒ぎの最中、いつの間にか黒猫は姿を消していた。


「あの猫を捕らえろ!」


 王が命令を下す。


「あの力があれば……」


 世界さえ思いのままに出来る。


 黒焦げになった王子の死体を前に、王はにんまりと笑った。




 黒猫は、あてどもなく国内をさ迷った。

 

 意味もなく石を投げられ、水をかけられた。

 食べ物を手に親切そうに近づいてくる者もいたが、猫が口をつけようとした瞬間に取り上げ、げらげらと笑った。


 この国の人間は、上から下まで腐り果てていた。


 黒猫の足元から、ゆらりと炎が立ち上った。


「うなぁぁぁぁぁおぅぅぅぅぅ!」


 怒りに満ちた声が、国中に響き渡った。


 空からは無数の岩が降りそそぎ、川からは水が溢れた。

 あらゆる所から炎が立ち上ぼり、家々を焼き付くした。

 逃げ惑う人々を激流が押し流す。


 それは、さながら地獄絵図のようであった。


 かくして、栄華を極めた大国は一夜にして亡びたのである。





 







 


 


 




 



 


 

面白いと思ってくださった方は、ブックマーク、評価などよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。