3/19
熨斗付けて進呈できるならしたいんだよ俺は。
「毎月300字小説企画」様、3月のお題「おくる」で書かせていただきました。
空白、改行、ルビを除く300字。
1月、2月から続く兄妹のお話ですが、単独で読めます。
卒業式の前日、俺は先輩の牛島に呼び出された。
これで奴が女だったらロマンスのひとつも始まるのだが生憎と男。
まぁ今の今までBがLになる兆候などなかったし、と無理やり納得させて赴けば。
「卒業する俺に餞のひとつも贈りたいって思わねぇか?」
「カツアゲっすか」
「違う! いやお前、少女漫画の主人公みたいな妹がいるんだってな」
奴のLは俺の妹に向いていた。
若干の誤解を笑う権利は俺にはない。
しかし。
この話の流れは。
「紹介しろ」
「嫌っす」
キャトルミューティレーションされるぞ、とまでは言わないが、これも先輩を思えばこそ。
いつか今日のことを泣いて感謝するはずだ──
そんな俺がシスコンと呼ばれることを、今の俺はまだ知らない。