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奴(兄)は妄想であることをすっかり忘れている。いや、妄想を現実と錯覚している──友人談

「毎月300字小説企画」様、2月のお題「忘れる」で書かせていただきました。

 空白、改行、ルビを除く300字。

 注意書き:昨年1月から続いている地球人兄とUMA妹の話です。


 妹が帰って来た。

 これも俺が薬の原料を採って来たからだ感謝しろと言いたいところだが、もとを辿(たど)れば研究所に無断侵入した罰なわけで、さらに辿(たど)れば妹の負傷も俺を手伝おうとしたからで……藪蛇(やぶへび)になるから黙っておく。

 とにかく! 日常が戻って来た。それでいいじゃないか!

 と思ったのも(つか)の間。

 薬の後遺症かマッドサイエンティストどもが小細工したのか、妹はここ一年の記憶をすっかり忘れていると来た。


 どうする?

 ラブコメなら「また恋を始めればいいさ」と爽やかに笑う俺のアップで終わるところだけれども生憎(あいにく)とこれはラブコメじゃないし俺は人外と恋愛する気は──


「こっち見んな」


 何も言わないうちから悪友に蹴られた。

 何故(なぜ)だ? 未来の義弟(おとうと)よ。

 

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