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あなたのノーゲームワールド

作者: 紺一色
掲載日:2022/12/15

とある明け方、渋谷で今年最低気温を記録したニュースと共に、テレビの中の独裁者は語り出す。「ゲームなど必要ない。」説得力も無く繰り返される主張は、脳が大事な情報ではないと切り捨てた。私の右側にはスマホ、左側にはテレビゲームが乱雑に置かれていた。部屋は私に問いかける、「君にはゲームしかないのか?」と。私は答える、「ゲームなんて無くても生きていける」と。独り言を呟いた私を窓は不審に思ったのか、今年最低の冷気を浴びさせる。テレビから、「ゲームイズノー」という簡単な文が流れた、不気味な声と共に。その瞬間眩しい光が放射され、私の目は閉じた。

目を開けたとき、私の世界は変わっていた。右側にあったはずのスマホは、「この世の全て」という陰気臭い自伝に、左側にあったテレビゲームはラジオに変わっていた。テレビ画面に速報が流れた。「ゲームは流行しすぎたために、この世から消しました(あなた以外ゲームという実体を知りません)。」友人に固定電話をかけた。「ゲームって分かる?」「げーむ?ってなに?」どうやら本当にゲームが消えたらしい。町の様子を確かめたくなって家を飛び出した。前は電車に乗れば皆スマホを見ていたのにここでは本とラジオを聞いている。前の日本に戻った気がして日付を新聞で確認するが、やはり世界からゲームがなくなっただけだった。暇になった。ゲームがない世界でどうすればいい。自分の頬を引っ張ってみて、痛いから夢ではないみたいだ。電器屋は本屋と共同経営されることになり、本と一緒に売られている光景が私を刺激した。家までの帰り道、疲労が溜まった。眠くなって地面に倒れ込んだ。

誰かが耳元で「ゲームイズイエス」という幼稚な文を囁いた、その瞬間、家で目を覚ました。なぜか友人が隣にいた。「君はこの世界にどうやらいなかったみたいだね」友人の姿をしていた不審者は透明になっていく。「ゲームのない世界は楽しかったかな?君はあの独裁者の実験体に選ばれて変な世界に飛ばされたのさ、失敗したけど」「失敗?」「こうやって元の世界に戻ってきたからさ、本当は永久移住させるつもりだったのさ。君はもう実験体に選ばれないから安心してくれ、さらばだ!」どうやら独裁者の秘密裏プロジェクトに巻き込まれていたみたいだ。右、左側には・・・確認はもう必要ないな。私は「ゲームのない世界で生きていけるか?」そう聞かれたら「無理だ」ってはっきり言うね。


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