表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/10

魂寄令嬢ハーキラ

今回は完結まで3話投稿です


サブタイトルが前話と逆になっていたので直しました。


全10話 完結

R2/9/7 11:35,12:00,13:00

 帰りに寄った喫茶店で、悲劇は起こった。

 居眠り運転のトラックが窓を突き破って飛び込んできた。平和な店内に悲鳴が響く。硝子が飛び散り、テーブルや椅子が壊れて転がる。


 キミト青年は、咄嗟にハーキラを安全圏に突き飛ばす。


「キミくん!」


 叫んだ時には、もう遅い。彼は血だらけで倒れている。即死だった。


(問題ない。禁術上等よ)


 ハーキラ嬢は、血だらけの遺体をかき抱く。



 キミト青年の遺体を、ハーキラの家に連れ帰る。


「師匠、今から禁術つかう。他言無用、言ったら殺す」

「物騒だね。禁術なんか、ばんばん使ってるくせに」


 ハーキラ嬢には、未認可の常軌を逸した自作魔術が、そもそも禁術に当たるとは認識していなかった。


「そうなの?」


 ハーキラ・レータ嬢は、間抜けな声を出す。



 気を取り直したハーキラ嬢は、愛しい青年の亡骸を見つめ、


「兎に角、魂を呼び寄せる」


 と、宣言した。


「まあ、そうだろうな」


 大魔術師デール・オ・ソトーは、慣れきった様子で傍観を決め込む。恐らくは声を聞き付けたであろう従者ツッキー・ビトーも、同じ心境だ。今、ハーキラ嬢が生命の(ことわり)を歪めようとしている、まさにその扉の前に居る。


 ツッキーは、レータ家の人々には、


「ハーキラお嬢様が、お部屋におられるようです」


 との報告だけはするが、部屋に入ろうとはしない。巻き込まれるのはごめんである。


 彼は、ハーキラ嬢や大魔術師と違い、ただの従者である。禁術に関われば死罪だ。逃げられない。



 そんな周囲の心境など露知らぬハーキラ嬢は早速、今完成した新魔術の、魂寄(たまよせ)を行う。気付けの魔術をしてはいけない方向にいじった、ハーキラ会心(かいしん)のオリジナル魔術だ。


(ついでに、今回だけサービスしちゃお)


 キミト青年のいた世界では、辺りの惨状が瞬く間に回復する。事故は、無かったことになった。



 キミトの魂は世界を渡る。体が無い状態で、異世界へと移動する。世界間の境界線を越える時に、彼は死んだ人の魂として登録されてしまった。



「ここは……俺は……」


 キミト青年はハーキラ嬢の腕の中で、ゆっくりと目を開ける。肉体の損傷は、完璧に修復されていた。ただ、世界を移動するときに、ずっとハーキラ嬢の魔術に覆われていたので、元の人体組織から変質している。


「キミくんっ!」

「君は……?何故泣いてるの?」



 ハーキラは、キミト青年に状況を説明する。


「生き返ったの」


 一言である。


 師匠が気の毒そうにキミト青年を眺める。

 キミト青年は、じっとハーキラを見る。


「君は、ハーちゃん?」

「えっ、記憶があやふや?大丈夫?」

次回、完結

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ