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2/10

嫌われ令嬢ハーキラ

分かりにくい箇所を改稿しました


初回は2話、R2/9/6 22:42,23:00

 ここカエサン国がシラーネ朝になったのは、200年程前のこと。その時から地方領主を中央政治に参加させ、移動にお金を使わせるようになった。


 妻子は常に、首都サンキン郊外に点在する『サンキン屋敷』で人質として住まわせる。


 サンキン屋敷は官舎ではない。此方も領主に用意させる。こうして気力と財力を削ぎ、反乱を防ぐのだ。



 ところで、この政策は、


「田舎暮らしなんてあり得ませんわ~」


 と、奥方・ご令嬢方には大人気の政策だ。


「都会の女は良いねぇ」


 と、ご令息方も大絶賛。


「道中、観光に副業の行商まで出来て、うるさい妻も、まとわりつく子供達も居ない」


 と、ご当主様がたにも大好評。

 カエサン国民は、昔から隠し財産を溜め込むし、抜け道、(じゃ)の道、ヘビの道、あらゆる手段で国主の目を盗む。


 そして、反乱等と言う疲れる行動は、元々しないのである。



 そんな地方領主の1人、チュケーン伯爵ツーカー・レータ。その長子ハーキラ嬢は、ゲルマン美女だ。ガッシリ体型である。加えて、体術・魔術が得意だ。


 ハーキラ嬢は、カエサン国立魔術研究院に16歳から3年間通っている。研究院で、教養科目の護身術にはまった。それ以来、魔術と体術を独自に組み合わせ、研鑽に努めている。


 今、産まれた時からの従者ツッキー・ビトーに、下町言葉を使うなと苦言を呈され、反論する。



「下町じゃあないわよ。誇り高きカエサン国辺境騎士団言葉よ」


 ハーキラ嬢は、どういうルートか辺境騎士団に紛れ込み、国境の小競り合いに首を突っ込む時すらあった。


 そこを、ハッキス王子に嫌われた。王子の夢は、何かの事情で断絶した他所のお(いえ)の領主を任され、可愛い妻と家庭を築くこと。けして、辺境で魔獣や他国と小競り合いの人生は望まない。



「まあ、恐ろしいのね。ハッキス様、おかわいそう」


 ハッキス王子に聞こえるように、デーレニナ嬢が可愛らしいソプラノを響かせる。


 これは、ハーキラ・レータ嬢への当てこすり。しかし、表情や声の調子、加えてそれまでに勝ち取った『優しい人』と言う評価が印象を変えてしまう。


「ああ、そなたは解ってくれるのか」

「まあ、ハッキス様、出過ぎたことを申しましたわ」


 デーレニナ嬢は、王子が居たことに今気付いた振りをする。


「よい、気に病むな、優しき方よ」


 隣国から来た留学生、公爵令嬢デッレ・デーレ二ナは現在18歳。ハーキラ嬢と同じ学年にいた。16歳だったこの時の発言を切っ掛けに、瞬く間にハッキス王子と(ねんご)ろになってしまった。

ねんごろになる――男女が大人の関係になること。健全交際には言わない。


次回、冤罪令嬢ハーキラ

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