そして永遠の愛へ
意味不明な会話を改稿。
今回は完結まで3話投稿です
1話増えて全10話
R2/9/7 11:35,12:00,13:00
青年は、申し訳無さそうに微笑む。
「ごめん、覚えてるんだ、でも、俺は多分、もうキミトじゃない」
死んだ人の魂が、変質して別物と成った体に定着する。
「転生だね。別人だ」
非情にも、デール師が宣告する。
(記憶はあるのに、別の人になってしまった!)
ハーキラ嬢は、嘆く。
「ごめんね。俺はもう別人だけど、キミトは、君が生きていてくれて、嬉しいんじゃないかな」
性格も違うようだ。人外の体に入ったせいなのか、キミトよりドライな男になった。
「俺に命と体をくれて、ありがとう」
キミト青年だった男は、立ち上がり出ていこうとする。
ハーキラは、もう目の前の男にキミト青年を重ねない。ただ、自分に転生の責任はあるので、しばらくサポートしようと決めた。
「どこ行くの?初めての世界で、名前も無く」
吹っ切れた顔のハーキラ嬢に、男は少し驚いた顔を見せる。
「なんとかなるだろ」
「しばらく家にいなよ。世界になれるまで、さ」
元キミト青年は、照れたように笑う。魂のベースは一緒なのだ。
「切り替え早いな。それに、優しいね。キミトが惚れたの、すげぇ解る」
笑顔の後に、男は切なそうに言った。
キミト青年の魂なので、同じ女性に惹かれてしまう。それが複雑なのだろう。もう、自分がチトセ・キミトではない事に、もどかしく悔しい気持ちを抱く。
ハーキラ嬢は別に優しい訳ではないが、キミトの魂を悲しませたくない。
(浮気じゃないよね。魂はいっしょだもん)
「大きな事件にあって、精神的に成長するなんて、よくある」
ハーキラは、自分に言い聞かせるように呟いた。キミトだった青年が聞き咎める。
「え、俺は別人」
「でも、魂は同じだよ。体だって、変質しちゃったけど同じなんだし。諦めて」
「はっ?」
男が警戒して後ずさる。
隣で成り行きを見守っていた師匠が、苦々しい顔になる。
「あなた、あたしと結婚しない?」
事故現場から持ってきていた2人の指輪を取り出し、ハーキラ嬢は求婚する。指輪を見つめているキミトだった青年が、苦しげに顔を歪めた。同じ魂を持ち、同じ女性に惹かれているのは事実だ。自分がライバルのような奇妙な感覚で、葛藤が生まれたのだろう。
「よく考えなさいよ、キミト君」
師匠が止めようとする。キミトは深呼吸をした。目を瞑り、一度ゆっくりと頷く。それから静かに目を開け、ハーキラの瞳を真っ直ぐに見つめた。
「俺はキミトじゃないけど、ハーちゃんの事は好きになると思う」
ハーキラは嬉しそうにキミトを見つめ返した。
「もう、ちょっと好きになってる。ハーちゃんが辛くないなら、名前もキミトで良い」
男の心は決まったようだ。魂の記憶に残る愛称で呼ぶ。
「君は、禁術の影響で不老不死だ」
「彼女だけ老いて、先に逝ってしまうのか」
師匠の言葉に、キミトだった青年は悲しそうに肩を落とす。不死者を伴侶に選ぶ者の宿命である。
「いや、ハーキラも、禁術を遣いすぎる影響で、とっくに不老不死になってるんだよ」
「じゃ、問題ないよね?なんなの、師匠」
「嫌になるほど永い時を、共に過ごすんだよ?もっと慎重に」
師匠の助言を真面目に聞いていた男が、決意の表情で、ハーキラの手を取る。
「ハーちゃん、俺と結婚しよ」
「うん、嬉しい、キミくん!」
(2人の愛は永遠なのよ!)
世界を越えても、身体が変質し、魂は転生の別人扱いになっても、2人の心は変わらなかった。それからふたりは、長い長い終わらない愛を紡いでゆくことになったのである。
完
これにて完結。
最後までお読み下さり、ありがとうございました




