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メモ用紙を発見

作者: MANA

希美(のぞみ)は、ある地方都市の図書館で非常勤職員として働いている。


カウンターでの対応や、返却された本を清掃して棚に戻す作業、


返却ポストに入っている本の処理、新刊コーナーの本を入れ替える作業などで一日が終わる。


彼女自身も図書館の利用者カードを持っていて、


月に1冊か2冊の本を借りていた。


ほとんどは10年以上前に刊行された推理小説で、


毎晩少しずつ読むのが日課だった。


冬の最中で、かなり寒い日。


希美は30年以上前に故人となった小説家の本を1冊借りて帰った。


その作家の全集も図書館にあるが、借りる人はほとんどいない。


新刊しか読まない人たちは、その作家の名前を知らないだろう。


夕食と入浴を済ませた希美は自分の部屋に戻り、


電気こたつとエアコンで暖房をとりながら、


借りて来た本を広げた。


そのときに、本にはさまれていたメモ用紙がこたつ台に落ちた。


A4サイズの用紙が四つ折りされていて、


面と裏に細かい字で数字がびっしり表示されている。


用紙はまだ白さを保っていて、そんなに古いものではないと思われたが、


米粒より少し大きいくらいの数字が、


手書きではなく、プリンターによる印字で並んでいる。


希美の部屋は2階。


彼女は静かに階段を降りて、家の電話機(ファクス機)を使い、


メモ用紙を広げて表裏をコピーした。


また階段を静かに上って部屋へ。


数字にどういう意味があるかと考えてみたが、


どうしてもわからない。


「これは乱数による暗号?


図書館の本にそういうメモを入れる人がいるのかな」


彼女はしばらく思案してから、高校時代の女子の同級生で、


今は自衛隊で事務官をしている娘にメールを送った。


その娘とは今でも時々メールや電話でやりとりしていて、


その晩はすぐに返信があった。


「こんばんは。お疲れ様。そのメモだけど、写メール送ってもらえる?」


希美はすぐに用紙の一部を撮影して返信した。


「こっちに暗号に詳しい人はいると思うの。


月曜に写メールを上の人に見せてもいい?」


希美は了解した。


(続く)

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