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きのこ博士 5

 それから…いろいろあったなぁ…ここに来てかれこれ10年近くになる…かなぁ?お国の方も大きくなってるよ…まぁ、それは別の誰かが違う機会に語るだろうさぁ。うん?誰に言ってるんだ僕は?

 

 キノコ図鑑も順調だ。絵画芸術室の子が、二人手伝いに来てくれている。先方の室長には大いに驚かされたが…なにせ、”大悪魔”だ。うちの室長に聞いたら、”俺らには何の不自由もないぞ?”でおしまい。良いのだろうか。まぁ、勇者様だし?そうそう。明日、【真・キノコ図鑑 第一巻】が発売される。著者はなんと…私…に…辞退したんだけど…

 「よくまとめたな。クロック、お前の手柄だ。問題ない。俺かぁ?う~ん、”鑑定”協力者くらいで載せてくれ。ははははは」だって

 …そういう訳にもいかないって…結局は共著も嫌っていうし…アドヴァイザーとして載ってもらったわ。”鑑定””採取者”として。

 装丁がしっかりしている図書館用と、簡易版2種類の販売となった。こちらはギルドの窓口や村長宅などにおいてほしいと、室長のたっての願いだった。

 室長に願い出て、装丁版を森林国に送った。もちろん、キュスティエリアーレ姫様宛に。姫様、やっと成果が出せそうです。

 

 販売からひと月。予想以上の反響があった。誠実な絵や特徴。”鑑定”の裏付け。薬師、料理人、村、各種ギルドからも問い合わせがあった。面白いのは、奇麗な絵図が、貴族の収集癖に触れたようだ。しかも、200部の限定出版とされている。コレクター心も大いにくすぐるのでしょう。結構…かなり!高価なのに…もちろん一冊頂いたけどぉ。むふふふ。初めての本…ぎゅっと、抱きしめる…いやつじゃぁ!

 

 すぐ装丁版の予約分は完売。こっちには直筆のサインを入れないといけないから大変で…面倒くさい!

 「クロック。予想以上の反響だな。装丁版は完売だぞ。簡易版もまだ注文が止まらない。お貴族さんも自分で装丁して飾ってるんだって。バカだよなぁ。」

 「そう言いう生き物ですよ?貴族って。エルフ国も変わりませんよぉ。」

 「そういえば、エルフ国から手紙が来てたぞ。ほれ。」

 「あ、ありがとうございます~。どれどれ。あ!姫様だ!何々…し、室長!も、もう一冊、送って良いですかぁ!」

 「どうした?」

 「姫様が研究機関に提出してくれたようなの。国立図書館に置くことになったんだって!」

 「ほう。それで?」

 「王家の書架にも置きたいから、送ってって。あ、もちろんお金は、僕が払いますよ!姫様のもとに置かれるのなら…あ…完売でしたっけ…」

 「わかったよ。しかたがない。俺の予備を出そう。」

 「室長の予備?」

 そういうとトワ室長は”収納”から黒光する図鑑を取り出す…背表紙表紙とも銀で書かれている、箔押し?…何よあれ…

 「ああ。俺のサイン入りだ。うちの各村に置く特装版だ。皮もバジリスク首の上革を使用…どうよ!この高級感!しかも丈夫!至高の手触り!」

 「…何やってるんですか…室長…アホですか?」…マジで…

 「失礼な奴だな。文句あるならやらんぞ。」

 「すいませんすいません!一冊頂いても?」

 「ああ。予備を出そう。」

 「予備ですか?」

 「こっちが普段使い、保存用、展示用その予備だ。」

 「…何してるんですか…ってか!ずるいです!僕もほしいです!」

 「仕方ないな…次巻から姫様の分と2冊回してやろう。」

 「…ケチ。」

 「結構高いんだぞ…これ。あ…まじで売っちゃおうかなぁ。」

 「しょうがないですね!おいくらです!買いますよ!もう。」図鑑のお金も入るし。

 「じゃ、一冊、金貨1000枚でいいぞ。弟分価格の特別価格だ!ほれ、触ってみ、この肌触り。紙も特上だ。」へ?

 「…まじ?」

 「まじ。ほれ。」

 「わあぉ!すごい。手触り。滑らないのに、やわらかぁ~~い、高級ぅ~…って、なにしてるんですかーーー室長ぅーーー!」…そんなの買えるわけないじゃない…

 

 おちゃめな室長からどうにか一冊、譲り受け、あ、私用にもくれたよ。その辺は優しい。

 村に置くのを普通のにするそうだ。当たり前でしょうよ…怖くて使えないわよ!そんなの!奇麗に梱包して輸送隊に依頼。姫様に出荷。手渡しで配送する。普通の配送じゃ任せられないわよ!あんなの!ああ…お金が…直ぐに、図鑑の報酬入るけどね…

 

 「ほれ、手紙が来てるぞぉ。」

 「ありがとうございます!室長!第二巻ももうすぐまとまりますね。」

 「ああ。楽しみだよな!特装版何色にする?」

 「ええ!黒でいいでしょう?」

 「せっかくのバジだぞ!」

 「じゃぁ、虹色にします?」

 「良いな。次は白にして…それから、七色に…ぶつぶつ…」10冊も続くの?

 「もう…あ、姫様からだ。お礼状…ちょろっと、欄外に請求書回せって…ふふふ。姫様らしい…姫様のモノは私の気持ち…収めてください…返事かこう。もう一通は…父上…」萎えるわぁ

 「ん?どうした?渋い顔して。」

 「…成果を認める。帰ってこい…ですって。あほくさ。あなたに絶縁されてるんですけど?。森林国に帰っても家には帰りませんよ~だ。あ、兄上にはお礼が言いたいな…」

 「帰ってみれば?話も出きるだろうさ。親だろう」

 「親と思ったときなんかないですよ。物心付いたときから、出来損ない出来損ないってね。それ以降、叱られるためだけに呼び出され、笑った顔なんか見ていませんよ。」

 「おう…なかなかに凄惨だな。まぁ、クロックの家だ、好きにすればいいさ。」

 「はい。まぁ、ここから出ることはないですねぇ。今の家はここ。キノコ天国!」

 {ははははは。}

 

 父上の手紙は放置で。姫様に返信のお手紙を書いてっと。乾燥キノコの詰め合わせでもつけましょう。ここで作られた乾燥シイタケものすごく美味しいんだよねぇ。

 それから数回、父上から帰還命令?の書状は来たが無視。その間に第二巻も発売。これは発表と同時に装丁版は完売となった。ますます、買い逃すわけにはいかぬとお大尽様は10巻くらいまで予約を入れてるそうだ。全国にあるヴァートリー商会からの発売なので、転売屋が入り込むす隙もない。相手がヴァートリーだから、手も足も出ないだろうね。良いことだとおもう!普通版の売り上げも上々。第一巻の増刷依頼も来てるってさ。

 早く毒キノコ編だしてくれぇ~って…それは、装丁版と薬師やギルドのみの販売になると思う。いろいろとね…でも、本当に手にしちゃいけないところにはいくのだろうなぁ。今は髑髏マークの3段階評価くらいの記載で済まそうと思ってるけど…ね。

 

 ある日、トワ室長に、マッシュルームの栽培ができないか聞いた、

 「あれ?マッシュルーム?自然に結構あるぞ?ほかにもっと美味いキノコがあるんだ。要らんだろうさ。」

 「そりゃ、ここは、大王シメジやら、マイタケやら、にょきにょき生えてるけどぉ。マッシュルームって森林国でも人気なんですよぉ。」

 「そんなことより、爆発茸の人工栽培をな!」

 「あんなの食べられないじゃないですかぁ。髑髏マーク3個です!」

 「アホ抜かせ。ドワーフ族の至宝だぞ。」

 …そうだったわ…エルフ族よりなぜかドワーフ族が大好きだったわ…うちの室長は…代々の勇者様はエルフ好きなのに…変わってるから…トワ室長…

 「それで、栽培方法ってあるんですか?」

 「あるぞ。確か…おっさんが詳しく知ってると思うけど…論文にするのか?」

 「どうしようかなぁ。検証ができれば、特許になるけどぉ。」

 「好きにしろ。ありゃ確か、たい肥に良く生えるぞ。うちで積んでるヤツ使って試してみな。」

 「げ!…そうでしたっけ。」

 「ああ。まぁ、そういったキノコも結構あるし…気にすんな。」

 「はぁ…」

 堆肥って…牛のうんこと藁、もみ殻を混ぜた長期堆積物ね…毎日かき混ぜている…キノコの培地に使ってるけど…結構、ショッキングだから、論文にしてみっか…ぷぷぷ。」

 「おいおい。心の声が漏れてるぞ?ふざけて書くなよ。」

 「了解です!」

 

 …ああ…生えたわ…ポコポコと…たくさん…これだけ生えれば、かなりお安くなるわね…十分に寝かせたたい肥は確かに臭くないし…中心部も発酵熱で高温になり、理屈でいえばほぼ無菌なんだろうけど…栽培前も殺菌したけど…でも…でも……美味しそうね…。

 「お!成功か?美味そうだな?」

 「ええ。チョット複雑ですけどぉ」

 「もともとが”分解者”って立ち位置なんだから…仕方なかろうが…どでかく作ってソテーにしても美味いぞ?肉詰めも良いな。」

 「はい。試してみましょう。」

 その日は、わきの七輪で楽しみました。ちゃんとジューシーで美味しかったです…論文用に、腐葉土と堆肥の混合率などの実証実験。堆肥が多いほうがいい感じだわ。大きくカサの開いたモノ…めちゃくちゃ美味しいわ…癖になる…ミッツ様が、フライにしてくれたのなんか…あああっ…っと、論文論文。

 森林国の引きこもり共!美味しいマッシュをたらふく食うがいいわ!

 

 論文提出後…4巻の発売のころかな?森林国キノコ院から、【マッシュルーム栽培における、考察と…】の論文が、”聖銀賞”をいただいた。図鑑の功績もあわせ、「一等博士位」も授与された。

 出来損ないが、国立大学で教鞭をとる資格を得た瞬間である。しかも、キノコ院の上級研究者の資格も。キノコ院に研究室を構える資格を得られるご身分だ。

 キノコ院…字面は変だけど、キノコ好きのエルフじゃ、かなりの権威のある団体なんです。勇者文化院と肩を並べるほど。

 「ほほぉ~やったな!クロック!「博士号」か!」

 「し、しつちょ~お!室長のおかげですぅ~」

 「いや、クロックの地道な研究の成果だよ。褒美は…この研究所をやろう!」

 「へ?いや。しかし?」

 「今日からお前が室長だ!」

 「トワ室長…室長は何を?」

 「ん?隣にもう一つ作るぞ。爆発茸栽培研究所?」

 「なら、一緒でいいですよ!もう。」

 「まぁ、なんだ。この研究所はお前にやるのは決定だ。好きにすればいい。」

 「は、はい…まだ一緒に研究してくれますか?」

 「ああ、もちろんだ!深淵はまだまだ先ぞ!」

 「はい!」大好きです。室長!今でも”弟分”ですけどぉ!    <完>

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