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ノリナ国 御前会議 1

 「退屈であるな…例の村に行く手筈…どうなっておるか?」

  「どうも何も、反対です。許可なぞ出せませぬぞ。」

 …硬いのぉ…義兄上あにうえ殿は。

 「貴族間への通達は終わっているのであろう?」

  「通達?ええ。近郊に接してる者を中心に。ですが、かえって子飼いの領地なしの貴族に無理させる可能性が拭い去れませんな。」

 「ふむ。ならば、親貴族も連帯責任とせよ。」

  「解りました。追って通達いたしましょう。当主は斬首…厳罰をもってあたると…」

 「うむ。こちらからの手出しは一切不要。何も虎の尾を踏むことはあるまい。」

  「誰かある。貴族院の…そうだな…クテナンティ公爵を。」

  「は!」

 「で、ゴルディアの方は何とする?」

  「はい。”魔の森”の恵みを得るための重要な拠点。”魔の森”があふれた時の”壁”になり得る都市です。”城壁結界”の設置を提案します。」

 「しかし、魔石がないのではないか?」

  「此処は、王都の予備魔石を供出しようと思っています。」

 「…そうか…ゴルディアを抜かれたら意味がないモノであるな…市場に回らぬと思うが、監視だけしておけ。」

  「はい。帝国にはまだ余裕があると聞きますが…」

 「こちらで用意できる”対価”がない。”勇者”がいる手前、もはや、息子を人質に出すくらいじゃ動かないだろうさ。」

  「…そうですな…勇者をよこせと言ってくるでしょうな。」

 「ああ。うちの”所属”ではないのだが…向こうから見ればな…うむ頭が痛い…追い出そうとすればアヌヴィアト一帯を切り取られるであろうな…」

  「ふっ、王よ、いっそのことひざを折り、傘下に入れてもらおうか。」

 「それもいいな!伝説の商業国家の再来となるやもしれんぞ。」

  「まぁ、冗談はさておいて、”城壁結界”実行に移します。併せてナーナ再建を。」

 「…義兄上殿、冗談じゃないのだが?」「「…」」

  「クテナンティ様、御来室でございます。」

 「お、来たか、入れ!」

  「呼び出しの事、まかり「すまんな、急に呼び出して」…いえ。それで?」

 「例の”勇者の村”の件だ。訪問の話もサッパリ進まないからな。それと貴族たちへの通達状況を…な。」

  「ん?どうした?」

  「いやな、ラヴィス伯爵辺りがな…彼奴の領地からは離れているのだが…子飼いのフミリス子爵と教会とで何やらたくらんでるとか…」

 「おいおいおい!そいつを監視し、止めるのが、其の方の仕事であろうが!監視は付けているであろう?」

  「…一応、軍部に報告は入れたが…」

  「貴公!下手をすれば国の大事ぞ!」

  「仕方あるまい…先日知ったばかりだ。伝達日時だってあるわ。」

  「そうは言っても…」

  「其れであれば、告知と同時に、貴族一人一人に監視を付けるべきだったな!彼の村の周辺の貴族には目を光らせては居たが、ラヴィスが動くなど…」

 「よい。…良くはないがな。ラヴィスとは俺も予想が付かなんだわ。むしろ”聖王国”から焚きつけられたかもしれん。」

  「…ラヴィスには”食人あの”噂もありますしな…聖王国とつながりも強いかと。」

 「ちっ、ここでも聖王国か…本当に排除したいわ…まぁ。うちにも黒い噂もちが沢山いるからなぁ…」

  「聖十字王国から続く歴史…仕方ありませぬな。」

 「…勇者殿の村…はどうなっているのだ?」

  「さて、どうでしょう。獣人族も多いし、聖王国からないがしろにされてきた人々…教会すらないのかもしれませんな。」

  「獣人族の間には、古より伝わっている多神教”原初の神々”を崇める風習もありますれば…」

 「俺も改宗しようかな…」

  「…王…」

 「デェフェンの大聖堂で暴露がなされたのであろう?」

  「今火消しに躍起になっておりましょう。歴史もありますし、”神”の真の御姿…破壊することもできますまい。」

 「そうだな。茶でも入れるか。休憩にしようか」

 

 茶の準備をしている間にセラティを呼びにやる。ゴルディアの件の事後処理のまとめに力を貸してもらっている。

 ほかの4竜将も例の村に護衛としてついていく気なのでまだ王都に滞在している。早くに予定を立てないとな。

 「セラティ、すまぬな。楽にしてくれ。で、その後の展開は?」

  「はい、ゴルディアの件でしょうか?在住していた貴族家、客として来ていた貴族家。当主が23家が巻き込まれた模様ですね。執行部の貴族家…こちらは後日処刑されるものが4家。領地持ちが含まれていないとはいえ、多くの王国貴族の命が失われました。」

 「ふむ…で、クテナンティ。相続の届けは?」

  「はい。寄せられていますが、認めない方針です。本来であれば魔石代を請求したいところですが…そういったことを加味し、断絶としようと思っています。」

  「…大きく出ましたな。」

  「もともと、貴族家が多すぎるのだ。先代、先々代が無軌道に増やし過ぎた。仕事もせずに、昼間から遊んでいた結果であろう。」

 「”親”がだまっておるまい。」

  「多くが、王兄、元王弟の支持者と聞いていますぞ。」

 「ふむ…」

  「今回の事変の責任ということで押し切ろうかと。」

 「他の派閥の貴族…特に領地なしの者には審査が必要…いや全貴族に必要か…」

  「内政干渉になりましょう…今回は、ゴルディアの件として押し切るしかないでしょう。書類の数々。名が出ている貴族も多くおりますれば…」

 「宰相、頼むぞ。」

  「はい」

 「して、何時行く?」

  「…許しませんぞ…」

  「王…」

  「暫くは…戦の後のようなものですぞ…しかも負け戦の…」

  「そ、そうだ、セラティ殿の言う通りだ。」

 「ぬぅう。ナハスたちはまだ王都にいるぞ?」

  「さっさと持ち場に還してください。まったく彼らは面白半分。セツナ様を前にすれば…」

 「そうだな…負け戦か…」

  「…敵対してはいけません…それともう一点」

 セラティの報告が始まると思ったその時であった。

  「伝令!伝令!セラティ様!」

  「何事か!王!」

 「よい。通せ!」

  「よい。内容は!」

  「はっ!フミリス子爵以下、聖王国司祭、冒険者ギルドが例の村へ!近くの村で警護に当たっていた隊員、2人負傷!」

  「何!」

 「おいおい。今話していたところだぞ!」

  「フミリス子爵…くそ!ラヴィス伯爵のところか!」

 「して、日時、人数は!」

  「はっ!書状によりますとフミリス子爵以下、私兵20、聖王国から司祭、神父数名。聖騎士4人、冒険者ギルド職員及び構成員約20名。一昨日…午前中になりましょう…」

 「間に合わぬ…な…」

  「申し訳ありませぬ…甘く見ておりました。」

 「仕方あるまい…時は戻らぬ…」

  「…ここは私が…面識のある私が出向き弁明を…」と跪くセラティ。

 「俺も…」

  「王はいけませぬ。安全が担保されておりません。私が行きましょう。」

 「義兄上殿?」

  「セラティ、護衛として足の速い…手練れを10騎」

  「…宰相殿…早がけに貴殿が耐えられないでしょう」

  「な、なにを…」

 「文官の義兄上にはきつかろうさ。途中で尻と腿の皮膚が全て剥けるぞ…王家の馬車で行け…」

  「王の仰る通り。誇張した話ではありません。今から出ても真夜中を走ることになりましょう…明日早朝、日の出前に出発ということで準備しましょう。」

  「解った。頼む…」

  「はい。では、準備に取り掛かりましょう。失礼します。」

 談話室を出ていくセラティの背を見送る…”勇者”の力を唯一目にしている男…見るからに足が重そうだな…この問題が片付けば休暇をやろう…にしても…

 「困ったな…頭が痛いわ…」

  「まことに「良い!」…は。」

 「して…どうなると?」

  「考えるだけ無駄でしょうな…一応、”対魔法障壁”の準備、及び軍属の招聘を…だれかある。ファレグ達4竜将をよべ。」

  「は!」

 「攻めてくる…と義兄上殿は思うか?」

  「五分五分でしょうか…貴族の暴走…いや、向こうから見れば侵略か…」

 「4度目となるか…こいつは腹をくくらぬといかんか…様子を見に行くどころではないな…」

  「しかし…賠償…何を献上したものか…」

  「ファレグ様、ヴァルク様、ナハス様来所されました。」

  「通せ!」


 「聞きましたぞ…厄介な…」とファレグ。

  「明日出立とか?私も共しましょう!」とナハス。

  「して…軍属の招集を?」とヴァルク。

 「その辺りも含めて相談したいで、どこまで聞いておる?」

  「おおよそは…」

 …雁首揃えたところで現状は変わらない…セラティも手配を終え、話に加わったが、結局は、明日の交渉団の派遣、義兄上殿にセラティとナハスが随行する。

 それと並行し、防御準備を行う…対魔法障壁…城塞都市が抜かれた時の最後の砦。”人”には効果はあるまい。それに、”勇者”の魔力で破壊されたな…皆には言ってはいないが、来たときは門を開き、この首捧げようと決めている。それだけの”価値”があればいいのだがな…

 

 

あれれ。時間が。基本17時にいきます。すいません。

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