召喚組3
次の日、俺たちは魔法の訓練を受けることになった。
「昨日に引き続き宜しく」
講師は昨日と同じローブの人だ。質問攻めにされたので名前をきいたのだが、"ゾロディア"と言うらしい。その人が言うには勇者と聖女が魔王を倒せる唯一の存在なのだとか。だが、俺が思うにそれは少し違うのではないかと思う。俺たちは聖属性というものを持っている。これはこの世界にない属性だと言う。ということは、魔王を倒すためには聖属性の魔法が使えればいいのではないかと思った訳。確かめることはまだできそうにないけどな。
「今日は魔法の訓練だ。といってもいきなり魔法を撃ち合う訳じゃないよ。まずは自分の魔力を感じてください」
なんでも異世界からきた俺たちは必ず魔力を人より持っているらしい。確かにみんなのステータスを見てみると全員魔力は500以上あった。
「どうやって感じるんですか?」
質問してきたのは山田 結、聖蘭の親友だ。確か職業は結界士だったか?
┠ステータス┨─────────────
名前:山田 結
種族:人間
年齢:17
レベル:1
職業:結界士
ステータス:魔力 2000 HP 500
魔法:聖属性Ⅲ 治癒Ⅲ 結界Ⅲ
ユニークスキル:全言語理解EX
スキル:結界展開短縮Ⅴ 魔力消費削減Ⅲ
称号:異世界から転移者
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結界士は結界を張ることに長けている職業で、戦うというより、守りに徹する。聖女である聖蘭を守ってくれるはずだ。
「魔力を感じるには意識を体の中に向けてください。そしたら胸の真ん中あたりに温かいものがあるはずです」
言われた通り意識を体に集中する。すると日本…地球では感じなかった温かいものがあるのが分かった。
「それを体の中で循環させてみてください」
循環…血流のようなものだろうか?俺は血流のようにその温かいものを循環させてみる。すると体が暖かくなった。
「しばらくはそれを練習してください。明日には使えるでしょう」
そうか、そんな直ぐに使えるものじゃないんだな。
「勇希く~ん、助けて~」
「うん?どうした、聖蘭?」
「上手くいかないー」
「ああ、血流をイメージしたらいいさ」
「本当に?!」
「ああ」
「…やってみる」
俺はこんな感じで上手く出来てない奴らに教えて行った。
「次は実技ですね。こっちにきて、武器を選んでください」
そう言ってゾロディアさんが指さした先には訓練用と思われる剣などの武器がいくつか並んでいた。
俺はなんとなく直感で長さ1メートルくらいの剣を選んだ。
「お、勇希はそれか」
「そういう剛は…籠手か」
「おう、なんとなくこれがしっくりきたんだよな」
大体俺と同じ理由だ。職業の関係だろうか?
「では、各々素振りをしておいて下さい。他の教官が見ていますので、その都度指導してもらえるはずです」
素振り…ねぇ?
「…俺、どうすんの?」
「…シャドウボクシング?」
まぁそらそうなりますよね。
俺たちはその後素振りをし、それで直すところがあったら教官が来て指導してくれるみたいな感じで訓練を続けた。
「よーし!今日はここまでです!お昼を食べたら次は講義ですよー」
「「「「「ええー?!」」」」」
…えらく地獄です。
その日の夜はみんな死んだように眠りについた。明日もこんなんかー…そうそうにリタイアしたくなってきた…
しばらく召喚組の話が続いたので、そろそろ戻ります。話の展開上、同じような説明ばかりですいません。