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護衛依頼【5】

 次の日。天井は創ってなかったので、陽の光で目が覚めた。

 ていうかもともと神龍である影響なのか、あまり睡眠を必要としないんだよね。だからちょっと眠りが浅い。


 起きて壁を消して、ベットを無限収納庫(インベントリ)に収納する。

 馬車の中を見ると、まだ皆寝ていた。おそらくサーニャさんはハーフだから、私と同じように眠りは浅いだろう。だけど私の魔法の効果でぐっすりと眠っている。


「ふふっ。よかった」


 実はサーニャさんの顔が疲労しているように見えたのだ。今はゆっくりと休めたのか、顔色はいい。

 ……顔色が悪そうだったのは、疲労のほかにもあるだろうけど。


 とりあえず馬車から離れ、結界の様子を確認する。


「フォレストウルフがまだいる…」


 結界が解除されるのを待っているのか、ウロウロしている。

 索敵に引っかかって鬱陶しいので、遠隔魔法で仕留めておく。地面から棘が出てきて、フォレストウルフの体を貫く。


「うわぁー…えげつない」


 自分でやっておいてやらなきゃ良かったと思った…。あ、ちなみにここからでは見えてない。私のスキル、神眼の効果だ。

 一応龍として視力は桁違いにいいが、神眼はそれ以上の力がある。

 ……まぁ目を凝らせば、素の目でも壁くらい見通せるらしいんだけどね。まじでハイスペックだと思うわ。


「…回収しとこ」


 ちょっと素材としては微妙なくらいやられちゃってるけど、残しておく訳にもいかないので回収しておく。ついでに血の臭いも消してっと…よし。


「ふわぁ……おふぁようごじゃいます」


 可愛らしい声を出して、サーニャさんが起き出してきた。まだ辺りは薄暗い。


「ふふっ。おはようございます。よく眠れましたか?」


「はい……眠らせてくれたんですね」


 私は曖昧に微笑んでおく。


「…ありがとうございました。近頃眠れてなくて…」


 やっぱりそうだったか。


「何か手伝うこと、ありますか?」


「そうですね…」


 正直やることはない。朝ごはんは作り置きのスープと簡単なサラダ。それと……白パン。

 そう、やっとパンが作れたんだよ!長かった……まぁまだ目標より遠いけどね。それでも硬いパンよりましだ。


「……では、テーブルのセッティングを任せても?」


 私の無限収納庫(インベントリ)にはテーブルが入ってるんだけど、組み立て式なんだよ。だから組み立ててもらいたい。

 いつまでも馬車で食べるより、外で食べた方がいいよね、ってことで。


無限収納庫(インベントリ)で組み立てできますよ?』


 いいの。こういうのもね大事なんだから。


「分かりました」


「じゃあ出しますね」


 無限収納庫(インベントリ)からテーブルを取り出して、組み立てて貰っているうちに、食事の準備をする。

 スープは軽く温めたいから、魔石で動く簡易コンロの上において、温める。

 これはこの前商業ギルドで買っといた。一口タイプと二口タイプの2つね。出したのは一口タイプ。なかなかに使い勝手がいい。

 サラダは……適当に刻んで、醤油ベースの和風ドレッシングをあえておく。


「できました!」


 一仕事やり遂げて達成感溢れるサーニャさん。なかなか小柄な体で苦戦してたみたいだけど、できたらしい。


「では、起こしてきてもらえますか?」


「分かりました」


 サーニャさんが呼びに行っている間に、スープをとりわけ、テーブルに並べる。サラダも同じ。パンは真ん中にバケットで出しておく。色々と遊んだ結果、クロワッサンとか、コッペパンもどきみたいなのが入っている。まぁ味は保証するから大丈夫…だと思う。


「おはよう……早いのね」


 1番に起きてきたのはリナさんだ。ギルさんかと思ったんだけど、意外だね。


「それよりごめんね。いつの間にか寝ちゃってて…」


「いいですよ、別に。でも、ギルさん達と一緒でもよかったんですか?」


 今更である。そう言えばサーニャさん、男の人と一緒に寝たんだよね…


「あー、まぁ大丈夫よ。サーニャさんは?」


「私も特に気にしませんよ」


 どうやら杞憂だったらしい?

 ……いやサーニャさん、気にしないのはさすがにどうかと思う。100歳くらいだとしても、可愛いのだから。

 いっその事一緒に外で寝たら良かったかな?


「(もしマリーナ様と隣合って寝たら私死にます!)」


 小声で言っても丸聞こえなんだけど。何を言っているんだか……


「おはようさん…お、美味そうじゃねえか」


 ギルさん達も起きてきた。案の定、フィーナさんが最後だ。


「じゃあ食べましょうか」


 全員が席につき、食事が始まった。



「美味い!おかわりあるか?」


「ありますよー」


「私もー」


「俺もー」


 結局私を除く全員がおかわりした。ただのコンソメスープなんだけどなぁ?


「はぁ食った食った。いやー、スープもサラダも、オマケにパンも美味かったなぁ。」


「ええ、ほんとに美味しかったわ。ありがとうね」


 どうやら気に入ってくれたようだ。良かった…


「じゃあ今日はバケットとフィーナが護衛。もとい監視?だったか」


 監視って聞こえ悪いんだけど。まぁそれ以外に言い方ないかもだけどさぁ…。


「じゃあお願いしますね」


「まっかせてー」


「ん。やる」


 あれ、そう言えばバケットさん。サーニャさんがいるのにいつもの調子だ。機嫌がいいからかな?


「今日は少し奥まで行ってみましょう」


 確かに昨日はあまり時間がなかったからね。今からなら、奥まで行けるだろう。

 私は食事の後片付けをして、サーニャさんを先頭にして、森へと入っていった。



 ………だけど、何故かさっきから妙に胸騒ぎがする。なにか起きなきゃいいけど……



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