表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/130

護衛依頼【3】

 とりあえず馬車まで戻ってくる。日は既に落ち、馬車のところでは、焚き火がされていた。


「あ、帰ってきた」


「戻りました。大丈夫でしたか?」


「問題ないよー」


「ん、なにもなかった」


 それは良かった。もしかしたら魔物だけでなく、盗賊とかが襲ってくる可能性があったからね。


「それよりマリーナちゃん。ビックボアの解体は?」


 あ、そうか。私は無限収納庫(インベントリ)で解体できるけど、それは本来有り得ないんだ。


「えっと……」


 どう説明しようか…もう正直に無限収納庫(インベントリ)のことを言ったほうがいいかな?


『それはやめたほうがいいです。アイテムボックスというスキルの上位互換ですが、未だ認知されていないので』


 それって…無限収納庫(インベントリ)というスキルがないって思われてるってこと?


『はい。なので言うのならばアイテムボックスと言ったほうがいいです』


 じゃあアイテムボックスには解体機能ある?


『ないです』


 ……どう説明すんのよ。


『普通に解体を頼むか、解体済みのビックボアが元から入っていたと言うか、ですかね』


 …私は解体できないし、今からギルさん達に解体を頼むのは酷だと思うし、元から解体してたのをだすことにしよう。


「…実は解体済みのビックボアがあるので、そっちを使おうかと」


「そうなの?まぁそれなら楽ね」


 納得してくれたようだ。

 さて、何を作ろうかな。


「……ステーキぐらいしか出来ないか」


 システムキッチンが出せないので、あまり凝った料理は作れそうにない。だから、ソースにこだわってみることに。


「フライパン…多いから鉄板でやるか」


 この前作っていた鉄板を取り出す。焚き火の上にそれを乗っけて、ステーキを焼いていく。


「ステーキ?」


 リナさんが話しかけてくる。


「はい。でも、ただのステーキじゃないですよ」


 焼いている間にソースを作る。醤油ベースの和風ソースだ。

 ボウルに材料を入れて混ぜる。ちょっと多めに…


「それは?」


「ソースです」


「そーす?それをどうするの?」


「これを掛けて焼いてもいいですし、あとがけでもいいですよ。どっちがいいですか?」


「うーん…私は分からないから、マリーナちゃんのオススメは?」


「私はかけて焼くほうが好きですね」


 その方が香ばしくなるし。


「じゃあそっちで」


「分かりました。じゃあ全員それでいいですよね?」


 1枚の鉄板でやってるからね。


「それでいいと思うわ」


 リナさんかいいと言うので、ソースをかける。すると、ジュワァ〜っと湯気が立ち、美味しそうな匂いがし始めた。


「な、なんですか、この美味しそうな匂いは!?」


 サーニャさんが叫びながら近寄ってきた。


「あと少しでできますよー」


「うぅー、早く食べたいです!」


 その気持ちはサーニャさんだけではないらしく、全員の視線がステーキに集まっていた。

 ちょっと目付きが怖いよ……


「よし、できた!」


 できたステーキを皿に盛り付け、サーニャさんに渡す。


「え?」


「最初はサーニャさんがどうぞ」


「あ、ありがとうございます…」


 馬車の中で食べ始めるサーニャさん。


「私も!!」


「分かってますから落ち着いて」


 御者さんを含めた全員のステーキを盛り付ける。ギルさん達も馬車で食べるようだ。

 そしてやっと全員にいき渡ったところで、私も食べ始め「なんですかこれは!?」……られなかった。デジャブだ…

 声がした方を見ると、サーニャさんが馬車から飛び出してきて私の方へと駆け寄ってきた。


「ステーキです」


「いやそれは分かりますけど!でも違いますよね!?」


「うーん…和風ステーキです」


 今考えた。


「わふう?ステーキ?これもレシピ売ってるんですか?」


「売ってないですね」


「えぇ…こんなに美味しいのに」


 そんなホイホイレシピ登録するのはめんどくさいので。

 でもステーキは塩味しかないみたいだし、登録したほうがいいかもね。帰ったら考えとこ。


「考えときますよ。でも、そんなに気に入ったのなら、レシピくらい教えますよ?」


「ほんとですか!?」


 お、おう…いきなり寄ってきたから驚いたよ。背丈があまり変わらないから、目がバッチリと合ってちょっと怖い。でも、そこまで喜んでくれるのは嬉しいかな。


「後でお渡ししますね」


「約束ですよ!」


 そう言って馬車に戻っていった。多分まだ食べきれてないんだろうね。

 やれやれ。やっと私も食べれるよ…


「……魔物か」


 …食べようと思ったら、魔物が索敵に引っかかった。どうやら匂いに釣られたようだね。


「はぁ……」


 戦ったほうがいいんだろうけど、今は精神的にもちょっと疲れてるからやりたくない。

 なのでこちらに来れないように結界を展開する。ついでに匂いもクリーンで消しておく。


「反応は…フォレストウルフか」


 索敵で見つけたのはフォレストウルフの群れ。

 フォレストウルフっていうのは、狼型の魔物の1種で、3匹から5匹ほどの群れで行動する。肉食で、死体も漁ることから別名森の掃除屋とも呼ばれている。とりあえず結界で十分だろう。





「あのぅ…マリーナさん?」


 フォレストウルフのことを考えていると、いつの間にかサーニャさんが近くに来ていた。


「はい、なんでしょう?」


「えっと、ご飯ありがとうございました。とっても美味しかったです」


「それは良かったです」


 そのご飯を私は食べれてないんだけどね!

 ちなみに、私は今外にいる。馬車はちょっと狭いし、後片付けもしないとだからね。


「あ、まだ食べてなかったんですね。すいません…」


「大丈夫ですよ。それより、他に話でも?」


 ステーキを食べながら尋ねる。

 うん、美味しい。でもちょっと塩っ辛いかな。


「……この結界、マリーナさんですか?」


「…そうですよ?」


 私としてはちょっと驚いた。だってこの結界は、多少適当だけど、張ったことがバレないようにしていたから。

 え、なんでバレないようにしたかって?


 …………私が今隠蔽しているステータスでは、この規模の結界を維持できないからだよ。だからバレたら説明が面倒なのよね。


「……ちょっと質問してもいいですか?」


 いきなりサーニャさんが真剣な顔になる。


「改まってどうしたんです?別に構いませんけど」


「では、単刀直入に聞きます。…マリーナさん、あなたは……」








 ──────本当に人間ですか?






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 人間かどうかを疑われる元人間。 なお、現在は神龍のため既に化け物である模様。草
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ