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マリーナ、帰る

 みんなが美味しそうに食べてくれたので、私的には大満足。

 食べ終わったお皿や使い終わったフライパンを片付ける。

 地球でなら洗わなきゃいけなかったけど、こっちには魔法があるからね。クリーンを使えば一瞬で綺麗になる。楽だねぇ〜。


 《主様、これからどうするの?》


「うーん、そろそろ帰ろうか」


 リナさんが心配してるかも。まぁ街を出てから1日だけだし。

 ……うん?ちょっと待った。


「ね、ねぇ。私がここに来てからどれくらい経ってる?」


 《え?えっと…多分4日?5日?くらいだよ》


 えっとー……やばくない?いや、別に私はいいんだけど。何日空けるとかギルさんたちには言ってないし。ちょっとまずい…?


「急いで帰ろう!」


 《え?!う、うん》


 ゴザを片付けて、システムキッチンも収納する。神力の制御の特訓はまだ完全ではないけど、循環はだいぶできるようになったから、大丈夫なはず。


 〈おや、もう行かれるのですか?〉


「うん。ここまで時間が経ってるなんて思ってなかったから」


 プレナに聞いたら、瑠璃を助けた後3日も眠っていたらしいからね。そら気づかないよ…。


 〈そうですか…〉


 瑠璃が寂しそうにする。可愛いけど、私よりよっぽど歳上のおじいちゃんだよね?今の姿からはそうは思わないよ。

 瑠璃は私の眷族になってしまったけど、この聖域を管理してるそうだから、一緒には行けない。


「また時間があったら来るね。じゃあね」


 食事をした時から集まっていた魔物たちにも手を振ってその場を後にする。

 まだ日は高いから門限は大丈夫なはず。日が落ちると閉まっちゃうからね。


「プレナ、走るけど大丈夫?」


 《うん?多分大丈夫》


「落ちないようにね」


 聖域を出て、霧の森をハクの案内で抜ける。ハクがいなかったら迷ってたね。そうなると迷わないギルさんは凄いね。


「よし、行くよ!」


 《うん!》


 プレナは4つの足でしっかりと私の肩に掴まる。

 身体強化は……5割でするか。

 多分人とかにぶつかったら大変なことになるから、道はそれて行く。


「うわ!?」


 自分で自分の速さにビックリ。だって音が置いていかれたんだもん。音速だよ音速。






「あ、着いた」


 あっという間に到着。間違いなくガドールだ。スピードはガドールが見える前に落としてあるよ。


「後ろは……見なかったことにしよう」


 さすがに走った後が抉れたり燃えたりはしてないけど……草が無くなってる。なんで?


『おそらく走った際に風が発生し、それが草を刈り取ったものと思われます』


 ……うん。もう何も言うまい。てかそれって危険だなおい!


『走るだけで魔物の討伐もできますね。わぁ凄い』


 ……馬鹿にしてる?そんなことしないからね!?


 《うぅ……目が…》


 プレナはどうやら目が乾いてしまったらしい。目を閉じておくように言っておけば良かったね。


「大丈夫?」


 《…うん。なんとか》


 プレナが目をぱちぱちする。とりあえず入ろう。

 門番の人にギルドカードを見せる。すると少し目を見開いた。なんで?


「えっとー…マリーナちゃんで合ってるのかな?」


「はい。どうかしましたか?」


「いや、人が探しててね。リナって人なんだけど、知ってるかな?」


「…はい」


 ええ、とてもよく知ってますよ。


「そうか。じゃあそこで待っててくれないかい?呼んでくるから」


 指さしたのはちょっとした小屋。多分門番の人の休憩所。


「分かりました」


「ああ…っと。その前にこれを」


 水晶に手を当てる。青色に光る。


「うん。じゃあ待っててね」


 門番の人が走り去る。名前は知らないよ。というよりクライヴさんしか知らないけど。

 小屋に入ると、そこは小さなテーブルと椅子があるだけの質素な部屋だった。


「まだかなぁ?」


 椅子に座って足をプラプラさせる。

 ……うん。私足短いね。いや、5歳児だから当たり前なんだけどね?なんだかなぁ…


 《主様、誰かきたよ》


 プレナが気付くのも当然。ドタドタドタって凄い足音聞こえるから。


 バタンッ!!


「マリーナちゃん!?」


「ぐえっ!」


 扉が開いた瞬間に誰かが入ってきて、そのままの勢いで抱きしめられた。

 いやまぁ誰なのかはわかってるけどさ。


「り、リナさん」


「マリーナちゃん…はぁ良かった」


 なにが?


「ちょっと、苦しいです…」


「あ、ごめんね…でも、心配したのよ?」


「えっと…ごめんなさい?」


 まぁかなり私も反省してる。私だって、知り合いが連絡もなしに長い間居なくなったら心配するもん。

 ……今回の私の場合は不可抗力だけど。


「怪我してない?」


「大丈夫ですよ」


 そもそも戦うようなことしてないし。

 あ、でも3日は寝てたな。言わないけど。


「ギルさん達は?」


「ここに居るぞ」


 いつの間にか扉のところにギルさん他3名。フィーナさんにバケットさん、門番さんね。


「じゃあ俺はこれで」


「ああ。済まなかったな」


 門番の人は去っていった。


「ったく。リナも心配し過ぎなんだよ」


「えー。ギルだってマリーナちゃんのこと心配してたじゃない」


「おまっ!それは言うなよ!」


 どうやらギルさんも心配してくれてたらしい。


「ふふっ」


 思わず笑いが漏れる。


「笑うな!」


「まぁまぁ。とりあえず無事だったんだし」


「…そう言うリナが1番心配してた……喚いて大変だった」


「ちょ、言わないでよ!」


 フィーナさんがそう言うけど、フィーナさん、私のこと見て安心した顔してたよね。ついでにバケットさんも。


「皆さん、心配かけてすいませんでした」


 ペコッと頭を下げる。


「いや、マリーナも冒険者なんだ。こっちこそこんな心配してすまねぇな」


「でもマリーナちゃんはまだ5歳よ?心配するのは当たり前じゃない!」


「いやでもマリーナちゃんはあの深淵の森にいた訳だし。実力はあるでしょー?」


 なんか言い合いになってしまった。


「あのー、そろそろ…」


「あ、ああ。すまねぇ。ところで、なんでこんなに帰ってくるのが遅かったんだ?」


 うっ!どうしよう。聖域のことは話さないほうがいいだろうし…とはいえ薬草採取で野宿っていうのも……


「あっと…し、深淵の森に行ってました」


 深淵の森なら以前私が使ってた洞窟があるし。


「なんでまた?」


「ちょっと採取しに」


「あぁ。ジリル草か」


「そうです」


 嘘です。ごめんなさい。


「じゃあ商業ギルドか?」


「あ、いや。冒険者ギルドで常時依頼の薬草を納品したいです」


「うん?そうか。じゃあ行くか」


「はい」


 やっと初めての依頼達成…あれ?初めてじゃないか。2回目かな。まぁソロでは初だね。

 だいぶ採れたから、いくらになるか楽しみだなぁ。

 ま、お金には困ってないんだけどね。













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― 新着の感想 ―
[一言] 「だいぶ採れたから、いくらになるか楽しみだなぁ。 ま、お金には困ってないんだけどね。」 お金に困っていないと、自覚しているのだから、強制依頼の可能性が出てくるランクアップに拘る必要性は、な…
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