目覚め
「…知らない天井だ」
いや、1回言ってみたかったのよ。でもほんとにどこ!?
私が目を覚ましたのは、ログハウスのような部屋のベットの上。上半身を起き上がらせて周りを見渡す。どうやらベットしかないちいさな部屋みたい。窓と扉は一つだけ。
「ここは…どこ?」
ベットのすぐ横にあった窓から外を覗く。
そこから見えたのは…木。どこまでも木。
あー…ちょっと思い出してきた。確か霧の森に入って、聖域を見つけて、そこでうさぎを助けて…
「そうだ!うさぎ!」
ガバッとベットから飛び起きる。思い出しながら寝かかっていた…恥ずかしい。
その時、扉がギイッと開いた。
《あ!主様!!》
扉から入ってきたのは、プレナだった。部屋に入るや否や一目散に私のところまで走ってきた。
「プレナ!どうしたの」
《どうしたのじゃないの!心配したんだから!》
「ご、ごめん」
ベットの上の私の膝の上でプンプンと怒るプレナ。…可愛い。
《…反省してないでしょ!》
「あ、いや、そんなことない、よ?」
鋭いよ!
「それより、ここは?」
《ここは私と聖域の魔物達が協力して作った小屋なの》
協力?作った?1から?
「す、すごいね…あ、あのうさぎは?」
《もう!少しは自分の体の心配くらいしてよ!》
「ご、ごめん」
私起きてから謝ってばかりな気がする。
〈ふぉっふぉっ。起きましたかな、神龍殿〉
私がプレナと話していると、突然そんな声が頭に響いた。神龍殿?
《あ、長!》
長?プレナの目線を追いかけると、そこには私が解呪したうさぎが立っていた。
「あ、大丈夫だったんだ」
〈はい。お陰様で元気になりましたわい。神龍殿には感謝してもしきれませぬ〉
「えっとー…その神龍殿って私のこと?」
〈もちろんでございますが?〉
いや、さも当然みたいに言ってるけど、なんで私が神龍だって知ってるの?
「なぜ、私が神龍だと?」
なんか人生の先輩と話してる感じかして、つい喋り方が変わる。
〈ふぉっふぉっ。なに、年の功というものですわい〉
…やっぱり人生の先輩だ。ただなぁ〜…
「あの、神龍殿ってやめて貰えませんか?ちょっと恥ずかしいので…マリーナで結構ですよ」
〈左様でございますか、では、マリーナ様とお呼びさせていただきます〉
か、堅い…
「えっと、あなたの名前は?」
〈我に名前はありませぬ。強いて言うなら、皆から長と呼ばれております〉
神眼で見てたから分かってたけど、名前がないのはなぁ…
「名前を付けてもいいですか?その、色々と不便かと思うので」
〈なんと、付けて下さるのですか?有難い…是非、お願いします〉
な、なんか重い。確かに名付けは契約だから、仕方ないとは思うけど。
何がいいかなぁ…体は灰色だけど、瞳は瑠璃色…
「じゃあ…"瑠璃"」
我ながら安直……だって他にいいの思いつかなかったんだもん!!
私が名前を言うと、うさぎ…瑠璃の体が眩い光に包まれた。思わず目を閉じる。
〈おぉ…ありがとうございます、マリーナ様〉
声が聞こえ、目を開けると、さっきまで少しヨボヨボな印象だったうさぎが、若々しい感じに様変わりしていた。いや、ちょっと変わり過ぎじゃない?
プレナと同じく、1本の金色の線が走っていた。でも、プレナとは違う場所。鼻から頭のてっぺんを通り、背中の真ん中から尻尾にかけて走っていた。
《主様!まだ無茶しちゃだめ!》
「えぇ?!無茶してないよ?」
確かに魔力はちょっと持ってかれたけど、そこまでだよ?なんか寝る前より魔力増えてるみたいだし。
『その通りです』
あ、やっぱり?そろそろステータス確認しないと…って、今するか。
「ステータス」
そう呟くと、目の前に見慣れた半透明のプレートが現れた。
┠ステータス┨────────
※( )は隠蔽している本来のステータス
名前:マリーナ・フェル・バーニア
種族:人間 (多分神龍)
年齢:5
レベル:85
職業:Cランク冒険者
ステータス:魔力 500(95400) HP 500 (64050)
魔法: 水属性Ⅴ 風属性Ⅴ 火属性Ⅴ 収納Ⅴ(火、水、氷、雷、風、土、草、光、闇、無、聖、時、空間、結界、転移、治癒、神)
ユニークスキル(全隠蔽中):無限収納庫EX ハク[前ナビゲーター]EX 全言語理解EX 魔力超急速回復EX 全状態異常耐性EX 神眼 隠蔽
スキル:早覚えⅩ 魔力循環Ⅹ 索敵Ⅹ 魔力制御Ⅹ 料理Ⅹ 木工Ⅶ 武器制作Ⅴ 武器の心得Ⅴ 錬金術Ⅴ 魔力節約Ⅲ
称号(全隠蔽中):神の被害者 地の神グランドリアの加護 八百万の加護 水の女神オケアニスの加護 風の女神エアリーズの加護 火の神イシュワームの加護 ∀★ゝ○Σ#⊂
眷族:トゥベルガ種[プレナ] ヴェルトーラス種[瑠璃]
(一言)
隠蔽のユニークスキルを付けておきました。これで自由に隠蔽してください。あと、他神が加護を与えたので、色々とお話する為にも近々教会に来て貰えると有難いです。
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うわぁー………ますます人に見せれないよ、これ。ていうかまた文字化け!?もう知らない!
「はぁ…」
《あ、主様?大丈夫?》
うぅ…心配してくれるプレナが可愛い!
「大丈夫だよ、ちょっとステータスが、ね」
そう言いながら膝に登ってきたプレナをモフる。
《ふにぁー…》
……猫か。
「あ、瑠璃の呪いの原因は?」
〈それは…いえ、見てもらったほうが早いかと。無理なようでしたら明日でも…〉
「ううん。もう大丈夫。それにあまり時間はないでしょ?」
〈それは…はい。ではついてきて下され〉
私は伸びてしまったプレナを肩に乗せて、部屋を出ていった瑠璃を追いかけた。
マリーナは知らない。自身が3日も眠っていたことに……